ある羊羹たちの Long & Winding Road

2007-03-07 00:00:29 | 市民A
芸能界のニュースも「複雑な話」がウケている。本来、盛り上がるべき「宇多田ヒカル離婚」は、あまりに予定通り感があって、「やはり・・」とか「やっと・・」とか、まあそんなところだ。そもそも無理があった。そして、叶姉妹の話題は、誰しも「早く、法廷で彼女達の実生活の裏側、つまり俗な言葉で言えばカネヅルの秘密を知りたいものだ」ということだろう。そして、妙にこじれているのが「森進一(59)VS川内康範(87)のおふくろさん紛争」だ。

最新状況は、森側が日刊ゲンダイ、川内側が夕刊フジと二大イブニングペーパーに手記を掲示。両者の意見を知りたければ二誌買わなければならない。職場で取替えっこという方法もある。

しかし、なかなか両者の論点のすれ違いが大きく、とても話し合いという雰囲気にはない。なんとなく、今後の法廷闘争、あるいは条件闘争の準備モードに入っているような匂いである。だいたい、問題は30年前に川内氏の作詞に、勝手にイントロをつけたことにあるのか、あるいはそれを最近になって(川内氏によれば6・7年前、森側は直近と言う)突然問題になるのは何か新たなきっかけがあったのだろうか。「森の態度が悪い」とか言われても、実際には具体的対応策は見当たらないし、要は、「年寄りは理不尽なことを言う」という一般的な原理に過ぎないようにも思える。

さらに、ジャスラック(日本音楽著作権協会)に歌唱禁止措置を申し入れようとしているようだが、協会も困るだろうと思ってしまう。何しろ、今まで著作権料については作詞家も受け取っていたはずだからだ。さらに森が「おふくろさんはボクの作品」と言ったことを根に持っているようだが、実際、堅い話をすれば、作詞家と作曲家の権利があるとしても、森進一が歌わなければ、1円にもならなかっただろうし、なにしろ、「何で今頃・・」というのは誰しも思うところ。

そして、川内氏が「三文芝居」と評した、森のアポなし八戸訪問だが、まあ、弁護士の入れ知恵風に思えないでもない。「誠意」を費やした日数や持って行った手土産という具体的数値を、記録に残すことが重要というのだろう。東京のホテルで門前払いになったのが2月23日、八戸で無駄足になったのが2月27、28日の両日である。

そして、面会できなかったからと、川内邸に置いてきた手土産は森側に宅配便で逆送されたのだが、テレビで公開していたのだが、それは金色と黒色の「とらや」の豪華紙袋だった。縦に三段構えで虎三匹。おそらく、これがまた逆効果だったのだろうと思う。

東京から出張慣れした方ならわかるだろうが、あれは羽田空港の「とらや売店」で買ったのだろうと、森のイージーさが窺われるわけだ。まあ、「東京ばなな」というわけにはいかないだろうが。そして、紙袋の大きさや、その袋を持ち歩く森進一の手の動きとか見ていると、おそらく「竹皮包大棹極上羊羹一本6,000円の化粧箱入り5本セット」と思われるわけだ。

老人に物を贈る時の作法の一は、歯がなくても食べられるもの。その二は、喉につまらないもの。その三は、食べ過ぎても病気にならないこと。だが、森はこの三原則の一は守ったが、二、三については、懸念を感じたものの、あえて無視(未必の故意)したのかもしれない。

そして、五本入り羊羹セットは、重さが8.3キロと私の飼犬くらいにもなってしまうのだが、逆送宅配料金も安くないはずだ。軽く調べると、八戸から東京までのこの羊羹の宅配料金は、佐川(1,470円)、クロネコ(1,260円)、ペリカン(1,160円)、ゆうパック(1,100円)ということだ。そして、行きは飛行機だったのだろうが、東京へ帰ってきたのはトラック便。既に少しは荷崩れしているかもしれない。とらやファンとしては、今後、この羊羹が誰の胃袋に落ち着くのか、それは大きな問題である。

さて、この両者の間で感情のもつれが生じた最大の原因は、「森進一が、川内氏に対して、素直に『センセイ!』という一般用語を使えない心理的トラウマを負っているからではないか」という仮説を立ててみたのだが、たぶんハズレているのだろう。