ペコちゃんのせいにして・・

2007-03-19 00:00:55 | マーケティング
ペコちゃんとお別れの日が近づいているのだろうか。余命1年?なんとも唖然の報道を読む。読売3月17日(画像:読売より)。

 来週中に洋菓子の販売再開を予定している大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京)で、イメージキャラクター「ペコちゃん」とは別の、新たなイメージキャラクターを作る構想が浮上している。

 有識者の改革委員会が先月、「新キャラクターを作るぐらいの気概を持て」と助言したのがきっかけだ。これを受け同社は社内に特別チームを設置、新キャラで「新生・不二家」をアピールする狙いだが、ファンの間からは「ペコちゃんに罪はない」と擁護論も出ている。
 「ペコちゃん」が誕生したのは1950年。子牛の愛称「べこ」が名前の由来で、年齢は6歳という設定。翌51年、ボーイフレンドとして誕生した「ポコちゃん」(7歳)とともに、練乳入りキャンデー「ミルキー」の箱に印刷され、子どもたちの人気者になった。
 日本中の販売店の店先には、首を振る「ペコちゃん人形」が登場。76年には南極の昭和基地にも運ばれたほか、98年にはポコちゃんとともに、特許庁から「立体商標」の第1号に認定された。

 しかし、今回の不祥事でペコちゃんはすっかり肩身が狭くなった。東京都大田区のフランチャイズ店では、店頭のペコちゃん人形に「こんなに長くケーキを作れなくなってしまい、本当にごめんなさい」と書いた紙が掲げられた。
 そうした中、「外部から不二家を変える改革委員会」(委員長=田中一昭・拓殖大教授)は2月中旬、「さらに前進するという気概を持って、新しいキャラクターを生み出すぐらいの活力が必要」という提言を打ち出した。
 不二家は、若手社員を中心に「キャラクター分科会」を設置。約1年かけてキャラクター戦略を練る方針だ。同社の永森徹・特別顧問も3月1日の記者会見で「ペコは大事に守っていくが、新しい不二家を象徴するような何か視覚的なものが欲しい。ペコに並ぶキャラクターなど幅広く検討中」と話した。

 だが半世紀以上にわたって親しまれてきたペコちゃんを応援する声は根強い。
 不祥事が発覚して以降、本社や各店舗には「ペコちゃんは悪くない」といった激励の手紙が多数届いた。東京の飯田橋神楽坂店で「ペコちゃん焼」が復活した5日には、早朝からファンが列を作った。
 ペコちゃん関連グッズを100個以上も集めているという経済アナリストの森永卓郎さんは、「他の企業キャラクターと比べ、長く万人に愛されているという点でペコちゃんは圧倒的な存在。再生記念の限定グッズを発売するなど、ペコちゃんこそ新出発の象徴に掲げてほしい」と提案する。 2007年3月17日15時51分 読売新聞

81e1b315.jpgあまり、数値で考えにくい問題を書くのは、難しいが、簡単に言うと、

1.今までの経営は「ペコちゃん」というブランドを持っていたため、ブランド頼りになって、経営努力を失ってしまった。

2.従って、古いキャラクターとは決別し、

3.新しいブランドのもとに社員は結束しよう。

といったところなのだろう。森永卓郎氏が「ペコちゃん存続」と言うなら廃止したほうがいいかもしれない、と言うのは冗談とし、少し考えてみる。

まず、「ペコちゃん」があったから、その効果で経営努力が不要だったか、どうかだが、それは「潜在的効果」だったのではないだろうか。キャラクターが商品に直結している「ミルキー」自体の売上げは極めて少なかったと思うが、「洋菓子やレストラン」という実態のある商品やサービスと「不二家」という企業と「ペコちゃん」というブランドが横型に三連結だったのだろうと考えられる。つまり、レストランに行こうと考えると、不二家レストランを思い出して、さらにその潜在意識が「ペコちゃん」というイメージキャラだったはずだ。

つまり、ペコちゃんを変えるということは、企業側の勝手な理由ということで、既にイメージを認識しているユーザーを捨てることになる、ということが、まず一点。もちろん、新しいユーザーがそれ以上増えればいいのだろうが。

次に、不二家の経営的問題は、言い尽くされているが、同族経営の悪例というところに根がある。一概に「同族=悪」とは言いすぎだろうが、「裸の王様」ということだったのだろう。徐々に競争力を失い、ついに削ってはいけないコストに手を付けた。結果はご存知の通りだ。だから、「ペコちゃん」とは無関係だ。マスコミは勝手に「ペコちゃんのブランドイメージは大きく毀損された」とか書くが、「不二家」という企業名のブランドイメージが毀損されたのであって「ペコちゃん」のイメージが毀損されたわけじゃない。

「ペコちゃん」が悪いわけではなく、「ペコちゃんの会社の社長や社員」が悪いということは、幼児にだってわかるはずだ。「サンタクロースの秘密」より明解だ。

不二家が出資して、製造しているサーティワンアイスクリーム(日本国内)への影響はほとんどなかったことを見ても、「不二家」という創業家「藤井家」の名前を刷り込んだ企業名の方こそ毀損しているわけだ。仮にサーティワンへ影響がでていれば、米国の合弁親会社は、遅滞なく不二家を切り捨てただろう。


一方、角度の違う話だが、読売の記事の中で、

>不二家は、若手社員を中心に「キャラクター分科会」を設置。約1年かけてキャラクター戦略を練る方針だ。

とあるが、たぶん、考えるのは、最終的には、不二家の社員ではなく、「山崎パンの社員」ということになるのではないだろうか。山崎が不二家の救済に手を貸した理由のうち、かなりの部分は「ペコちゃん」ブランドだったのではないだろうか。山崎パンは、身の丈に相応しいブランドを持っていない。食パンには向かないとしても、「ペコちゃん」を菓子パンに冠するつもりだったのではないだろうか。山崎側は「廃止なんて、とんでもない。子会社ごときに・・・」と思っているのではないだろうか。

それに、もう一つ。ペコちゃん関連グッズを100点以上集めているという森永卓郎氏。「ペコちゃん廃止」になると自分の関連グッズの評価損が発生するのだろうか。あるいは逆か。その前に、その100点だが、どうやって集めたのだろう?

そして、もしもペコちゃんが廃止になった時、現在、店頭にならぶ「ペコちゃん」は、どうなるのだろう。人畜無害であっても保管には場所をとる。「燃えないゴミ」ではもったいなさ過ぎる。名案としては、こちらも心を入れ替えて働きはじめる会社「日本郵政公社」に譲ったらどうだろう。若干の改造は必要だろうが、「郵便ポスト」に転用したらいいのではないだろうか。