ある漢字を知らない男

2007-01-06 00:00:31 | しょうぎ
10b08fd4.jpg勝浦修九段は詰将棋の名人の一人である。特に、将棋盤全体でなく狭い部分で駒の入れ替えをして、寄木細工のような作品が得意だ。したがって新聞の詰将棋欄のような小さなスペースでは非常に重宝がられている(つまり、シノギがデカイわけだ)。個人的には、あまり好きな詰め棋風ではなく、解くのに時間がかかる。

その勝浦氏の最新刊が「勝浦詰将棋選集」だが、100題で1000円とは割高なようだが、これがなかなか解けない。とは言っても何とか一問ずつ前に進んで70問あたりまできている。

一方、時々なのだが、夜寝るときのナイトキャップに詰将棋を使うことがある。もちろん、図面を頭に入れ、部屋を暗くして頭の中で色々ひねって詰ませるのだが、何しろ、睡眠誘導のためなので、詰まないことが殆どで、翌朝、考えると直ちに答えがわかることが多い。その場合、覚える図形は簡単でなければならない。覚えきれないほど大量の駒の配置は、向かない。

そして、先日、勝浦選集の第25問を覚えてから暗闇の中で解き始めた。駒が少なく、初期配置は角が二枚と歩が3枚。持駒は飛と桂。そして、コトの始まりとなったヒントを思わず覚えてしまう。「4五歩が動く」。

他人様の詰将棋の答えを書くのはマナー違反だから、ぼんやり書くと、初手は消去法で桂打ということがわかる。そして玉が逃げたときに、予想と逆の方に角を成捨て、下から飛車を打って、角を捨てて詰む。というところは早々とわかるのだが、途中3四に逃げた時に、角が引いて成れば・・ところがそういう漠然としたコースはなかなか読みにくいものだ。それに最大の問題は、そのコースでは「4五歩は動かない」わけだ。

10b08fd4.jpgそして、徐々に眠くなり、現実と非現実と詰将棋の問題が混ぜこぜになっていき、安眠コースに落ちる直前に、ある答えが見える。「夢の途中図」になって、歩が前に進むと詰む。そして安心して熟睡に入る。

そして、翌朝、もう一度思い出すと、なぜか、その「夢の途中図」に辿りつかない。そして、どうしても、歩は動かなくても詰むことになる。そして、あれこれと思い悩んで、やっと結論に到達する。

それは、将棋盤上の問題ではなく、「4五歩が動く」というのが間違いで、「4五歩が働く」と書くべきところのミスプリントだろう、ということ。やっと「一件落着」ということで、原書にあたってみると、なんと「4五歩が働く」と書かれている。夜のうちに枕元の本を書き換えた人がいるわけだ。

それに、おおた葉一郎の脳内辞書には、「働」という漢字は存在しないのだ。


さて、今回の問題は、正月モードで軽量級。ヒントは、「夢の途中図」である。角が働いたり動いたりして詰む。

いつものように、正解を見つけたと思われる方は、コメント欄に、最終手と手数と酷評いただけば、正誤判断。

10b08fd4.jpg前々回の出題作の解答だが、何だか最初から双玉逆王手。友人に出題したら、自玉を詰めてしまおうと努力していた。右の端にいる王様を左側の王様捕獲キットに追い込むわけなのだが・・

▲3六角 △1八馬 ▲3二王 △2四玉 ▲2三竜 △3五玉 ▲2五竜 △4四玉 ▲4五竜 △5三玉 ▲4二竜 △6四玉 ▲4四玉(詰上図)。まあ、見てのとおりの終結。もちろん11手目の▲4二竜まで押さえ込みフォール、という図も駒数が少なくていいのだが、2手伸ばして、プロレスの「釣り天井」のような技を使ってみた。