新進気鋭女流棋士のはまりそうな罠

2007-01-13 00:00:56 | しょうぎ

191ba639.jpg14歳の女流プロ棋士、里見香奈さんについて、1月11日午後9時からのNHKニュースウォッチ9で特集していた。


この1年で驚異の上達ぶりを見せ、昨年4月からの年度成績は14勝3敗。プロ入り3年目の彼女の、最初の2年間の成績が12勝9敗だったことを考えれば、まさに進化中ということなのだろう。男子プロでも理屈は同じなのだが、多くの棋戦はトーナメント方式のため、1年間勝ち続けると、ほとんどのタイトルを手にすることができる。そしてレディース・トーナメントという決勝3番勝負に登場してとりあえず、矢内女流名人にまず1勝。

男性棋士の将棋連盟から女流棋士会が独立を宣言した以上、女流棋界にスター棋士がほしいのは当然。と、いう時にタイムリーな特集だったのだが、実は問題がないわけでもない。彼女はまだ中学生。自宅は島根県である。いつも対局日の前日に、出雲市駅発東京渋谷マークシティ行きの深夜バス「スサノオ号」に乗って、遠路、対局に上京。確かに、貰える対局料から母親と二人分の飛行機代とホテル宿泊費を支出すると、何のために将棋を指しているのかわからなくなる。具体的に言うと、深夜バスは片道1万2千円。二人で往復しても5万円。方や飛行機は、出雲空港は赤字航空会社の方が専用で使っていて、各種割引の結果でも2万4千円ほど。さらに宿泊費を足せば、親子で11万円を突破。

しかし、深夜バスというのは、結構体力を消耗する。乗ったことはあるが、あまり安眠はできない。シートは150度位までは倒れるが、180度ではない。横を向いて眠る習慣の人は、朝起きると、打ち損じた釘のように背骨が曲がっている。対局の前日の夜にバスに乗り、翌朝対局。夜X時のバスでまた出雲へ向かう。0泊3日旅行。

そして、秘かに懸念される問題とは、そのバス通勤ということではなく、女流棋士会が主催する各種の行事(多くは集金活動)に積極的に参加できない、ということだ。まあ、できることなら、そういう行事参加は遠慮したいと考えている棋士は多いだろうが、そうもいかないのである。実は、昨年、この行事に欠席を続けていた女流棋士2名が、再三の警告にも従わなかったため、「女流棋士会から除名処分」を受けている。

なかなか、難問題である。まして、勝負に勝ち続ければ、独立準備委員会で活動中の女流棋士とも対戦するだろうし、一方は、忙しくて将棋の勉強どころではないという時に、軋轢が生じる可能性も感じてしまう。といっても片八百長などとんでもない。

とはいえ、中学生一人で東京のアパート暮らしでは、両親も不安だ。過去には、福岡出身の天才女流棋士が、結局タロットカード占い師に転進して(その間、各種職業を経験)、破産した例もある。どうみても私の詰将棋より難問だ。


次回は「女流棋士会から除名」ということについて書いて見るつもりである(単に予定)。


191ba639.jpg今週の出題は、古典的な問題。たぶん、過去に同一作とかあるだろうな、と思う。持ち駒が飛金でなくて飛銀というところがやや、難易度を上げている。

わかったと、思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評をいただければ正誤判断。



元旦の出題問題だが、入玉、双玉、逆王手、合駒選択と賑やかだが、元々、「一」の字の失敗作にしょうがないのでめでたいとされる左馬を配置。

一応、手順は、▲6五角 △3七玉 ▲5五馬 △4六金 ▲同馬 △同玉 ▲4七香 △3五玉 ▲2五金 △3六玉 ▲2六金 △3七玉 ▲2六金まで13手詰

191ba639.jpg解説:初手▲6五角は逆王手に対する移動合いが明き王手で逆王手という奇妙な手。問題は3手目の▲5五馬に対して、4六に金以外を合駒する場合。▲3八飛、△2六玉、▲2七香、△同玉、▲4五馬と横滑りすると詰む。玉方の4九金はぶざまだが7手目の香打ちを限定打にするだけの配置で情けなし。3一の桂は9手目に▲2六金からの余詰め防止で、情けなし。

そして、さらに推敲した結果、盤上の駒を2枚減らすことが可能になった。手順は、ほぼ極似。