ピストンエンジンは永遠か!な?

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クランクバランサー③

2007年01月05日 | エンジン

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ようやく本題に入ることができます。

もちろんご存知のように、ピストンは直線の往復運動で、クランクは円運動です。

往復運動の速さは回転速度と往復の距離(ピストンストローク)によりますが、往復運動する物体(ピストンなど)が重いほど、速度が早いほど、エネルギーが大きくなって発生する振動も大きくなるのは容易に想像できます。

携帯電話のバイブレーターのモーターは小指の先ほどの大きさ(もっと小さい?)でも、あれだけの振動を発生することも想像してみてください。

クランクのカウンターバランサーはコンロッドのビッグエンド(ピストンの反対側)の、クランクピンのクランク軸中心を挟んで反対側にあります。

写真はピストン上死点付近ですが、ピストンのモーメント①と、クランクバランサー②とバランサーシャフト③のモーメントが釣り合う雰囲気が分かると思います。

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ピストン下死点付近でも同様です。残念ながらスペースを取らない一軸のバランサーシャフトでは、モーメントがズレてしまいますから振動は完全にキャンセルできません。

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ピストン上死点、下死点 付近では、ピストンなどの重さと釣り合っていたクランクバランサーの重さも、ストローク途中では余計な仕事をしてしまいます。

この写真の状況では、クランクバランサーの前後方向に働くモーメントを、バランサーシャフトが打ち消していることが分かります。

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この写真のピストン上昇時でも同様です。

クランクバランサーは地味な存在ですが、発明される以前はエンジンが巨大なバイブレーターであり、特に飛行機などは振動で部品が脱落して故障の原因になると考えると、決して無視できるものではなく、クランクの周囲にシリンダーを配置する星型エンジン(2気筒のボクサーエンジンを含む)の発展はコレと無関係ではないでしょう。

ヤマハSR400/500などのバランサーシャフトを持たない単気筒エンジンは、回転を上げるほどに振動が大きく増す理由もコレで分かると思います。

ハーレーのようなV型シリンダーのエンジンは、この状況がもっと複雑になりますが、古くはSRからSRX、割と最近ではエボエンジンハーレーからTC88Bに乗り換えた方は、バランサーシャフトの効果の程を身をもって知ったことだと思います。

このシリーズの続きでは、シリンダー配置の違いによる振動特性を考察してみたいと思います。その際は今回の記事の内容が基本になります。

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