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マフラーの容量⑱

2006年07月09日 | マフラーの容量

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今日の記事の図は色使いが微妙であるため、ディスプレイによっては分かりづらい可能性があることをお断りしておきます。ワタシの自宅にあるノートパソコンでは、前回までの記事にも見えにくい図がありました。

*主題は「抜けの良いマフラー」に交換すると低速トルクが無くなる理由です。

S41_5

これは前にも使ったことのあるバルブオーバーラップ時の図ですが、燃焼済みガスと新ガスの交換がうまくできるかの大事な瞬間です。

高回転でパワーを出したいエンジンでは、このオーバーラップ角度を大きく取り、ガス流速度が速い高回転時の時間的制約に対処しますが、反面では低回転時の充填効率の不足を招き、それは結果として低速トルクの低下になります。

S46_3

これはヤマハのエクザップと言われるデバイスです。1000ccというバイクとしては大排気量でも高回転のパワーを追及すると、低中速のトルクは痩せてしまい、ロードレースでも不都合があり、ソレを解消するために開発され実用されているのはご存知の通りです。低中速では回転に応じてバルブが閉じ、ガス流速をコントロールします。

S34_2

また関係ないと言われそうですが、現代の排気デバイスのハシリとなったヤマハのYPVSです。これは余程優れていたと見えて、他メーカーもこぞって同じ効果を上げるため特許逃れに複雑な機構を採用しましたが、最初のアイデアが一番シンプルで故障が少なく、効果も優れています。

番外編でも説明したように、エキスパンションチャンバーの効果は絶大ですが、圧力波を増幅して効果を得ているためパワーバンドは極端に狭くなってしまいます。

YPVSでは排気ポートの開口タイミングを変化させ、低回転時には排気タイミングを遅らせて掃気時の燃焼ガスを温存し、充填効率の向上を図ると解釈します。

エクザップとはエンジン形式も存在場所もまるきり違いますが、今回の記事を書くにあたって考察してみたら、目的も効果も同じなんですね。

S19_5 

これは一般的に良く言われている「新ガスも抜けてしまうからだ」という意見を基にした図です。しかし良く考えてみると、2サイクルエンジンでは限られた量の一次圧縮されたガスが抜けてはシリンダー内に確保される新ガスは少なくなってしまいますが、4サイクルエンジンではキャブレターを通して供給される新ガスはある意味無限です。

S57

これは排気行程の末期に差し掛かるタイミングです。上死点前に吸気バルブが開く直前だと思っていただきますが、排気バルブが開いてからは180度(クランクが)も回転していますから、燃焼済みガスの大部分は既に排出されています。

既に何回も書いていますけれど、バルブの大きさは高回転の充填効率のために出来るだけ大きく設定され、ポートや排気管の径もそれに応じた大きさになっています。

言い換えると、流速を一定にするためには、高回転のための設定では低回転においては大きすぎるということです。

ポートや排気管の内径を変化させる技術は、残念ながら未だ開発できません。

S32_6

つまりココで言いたいのは、この図のようにスロットル開度は大きくない低回転域では、燃焼済みガスのボリュームも大きくないので、抵抗の少ないマフラーでは肝心のバルブオーバーラップ時で排気ポート付近の流速は落ちてしまうのではないかということです。

抜けすぎるマフラーは「タメが無い」という表現がありますが、流速が落ちることまで言及していないので、どこまでの意味なのかは不明でありますけれど、中々言いえて妙だと思います。

S31_11

適度の抵抗があるマフラーでは、出口付近の流速を押さえ、バルブオーバーラップ時の燃焼済みガスのポート付近の流速を確保して、燃焼室内のガス交換を促進すると考えます。

燃焼室に残った燃焼済みガスは、新ガスの充填を妨げるだけでなく、EGR(注)効果により燃焼温度を下げる事になり、特に最近の希薄燃焼を狙った設定の薄い空燃比のガスではトルクが痩せるのは当然です。

実際には”抜け過ぎるマフラー”への交換による”低速トルクの痩せ”は空燃比の変更により対処が可能であるため、特に理由を追求されることはありませんでした。

地球環境のために益々厳しくなる排気ガス規制により、今やマフラーの存在は”石油燃料エンジンが生き残るため”が第一目的です。今回の記事はサバイバルマフラーを外す事による不満を解消するためのものではありません。

尚、今回の記事を検証するには、膨大な実験を行わなくてはなりません。只今のワタシには資材も費用も時間もありませんので、検証ができるまで仮説とさせていただきます事をご了承ください。

EGR Exhaust Gas Recirculation(排気ガス再循環)のことで、排気ガスを燃焼室に導入して燃焼温度を下げ、空気中の窒素が高温で酸化されることにより生成されるNOxを防ぐ方法。

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