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マフラーの容量 特別編

2006年07月21日 | マフラーの容量

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ずっとこのシリーズで燃焼とマフラーの関係を解説してきました。主題については直接の説明は未だいたしておりませんが、体感できる現象は燃焼室にまで及んでいることが、ご理解いただけたと思います。

ココで唐突ですが、法規制について考察をしたいと思います。6月26日のプレスリリースというニュース性はもうありませんけれど、ワタシもようやくこの記事を皆様にお伝えする決心がつきました。

クルマと比較して20年も遅れてやってきた排ガス規制は、平成18年規制(ハーレーは輸入車特例により2年遅れ)により1足跳びに厳しい基準になります。これは何も日本だけのものではなく、ヨーロッパのユーロ3を初め各国でこれに準じた規制が行われているのは言うまでもありません。

ハーレーダビッドソンの来年モデルがウエブ上で発表され、無事に空冷エンジンも引き続き市販が行われるのは非常に喜ばしい限りであります。

ワタシは06ダイナの排ガス分析表を発売開始当初に見る機会があり、それから判断した結果は「現行規制をコレだけ下回っていれば、コールドスタートが加わっても大丈夫だろう」ということでしたから、それほど心配していたわけではありません。

新車規制が厳しくなるのは、この先どれほど販売台数が増加するかを予想する面も必要と思いますが、規制が2サイクルエンジンのように絶滅になった要因になる事もあります。昭和54年規制でまるで走らなくなったクルマを知っている方も多かろうとも思いますが、20年の技術の発展と蓄積は新たなバイクのハードルを越える原動力にはなっていますけれど、事、空冷エンジンに関しては、完全にユーザーを満足させるレベルに達するに、多少の年月を要するかもしれませんね。

一息ついたら次の問題が浮かび上がってくるのはこの世の常でして、規制は排ガスだけでなく騒音にも及び、やはり輸入車特例で94db規制が実効になったのは2003年の9月からでしたけれど、この94という数字は微妙でした。

弊社で今も販売しているエクトスマフラーの開発で苦労したのは、最高出力回転数の半分で近接測定するわけですから、アイドリングと加速でドコドコ音を出し、測定回転数では静かにしなければならない点でした。このバランスが困難で、規制音量が95程度であればカナリ満足するレベルになったのですがね~。

こうした設定を可能にしたのが、新車規制と使用過程車の規制の違いでした。新車規制は「マフラーの容量③」で説明している通りですが、使用過程車は定常走行と加速騒音の測定は困難という事もあって、最近継続検査でも行われている近接測定しか規制されていなかったからなんです。

下記が国土交通省から6月27日に発表されているプレスリリースの本文です。

  1. 経緯
  2.  自動車による騒音問題については、依然として厳しい状況にあり、特にマフラー(=消音器)の改造や交換等を行ったため、一般の自動車に比して騒音レベルが著しく高くなっている自動車に対する苦情も多く寄せられており、それら車両に対する対策が強く求められております。
     このような状況を踏まえ、平成16年7月、国土交通省と環境省は合同で『自動車排気騒音対策検討会』(座長:黒田道雄 成蹊大学名誉教授)を設置し、不適切な交換用マフラーを装着した車両等、騒音が著しく大きい車両を効果的に排除する方策として、

  3.  Ⅰ 基準に適合する優良な交換用マフラーの普及促進策
     Ⅱ うるさいと感じる車両を規制できるように規制値の設定レベル及び測定手法の改善

    の2つの柱について鋭意検討を重ねてきましたが、今般、主としてⅠの検討課題につき、これまでの検討結果が取りまとめられたのでお知らせ致します。
    (委員名簿及びこれまでの開催経緯については別紙1参照


    「Ⅰ 基準に適合する優良な交換用マフラーの普及促進策」の検討課題に関しては、主に次のような結論を得ました。

    • マフラー改造車※1に対して新たに加速走行騒音等の走行騒音基準を適用し、車検時に同基準への適合性を示す公的試験機関の試験成績書の提示を求めることが必要。併せて、規制の公平性を確保するため、非認証車※2に対しても新たに加速走行騒音等の走行騒音基準を適用することが必要。

    • 装置型式指定制度の対象としてマフラー(消音器)を追加し、良識あるユーザーや販売店の適切な交換用マフラーの選択に資するとともに、認証マフラー※3への交換を行った車両については車検時の公的試験機関の試験成績書の提示を不要とすることでユーザー負担の軽減を図ることが必要。

    • 今後も、交換用マフラーや非認証車の製造、販売、使用等の実態及びそれら製品の基準適合性について市場調査を行う等により施策の効果を把握・評価し、必要に応じて更なる追加的対策を講じることも視野に入れつつ、適切に対応していくことが重要。

     一方、「Ⅱ うるさいと感じる車両を規制できるように規制値の設定レベル及び測定手法の改善」の検討課題のうち、「近接排気騒音基準値の強化の検討」に関しては、本検討会で調査を行ったデータ収集結果を踏まえ、現在、中央環境審議会において検討がなされているところであり、「近接排気騒音の測定手法等の改善に係る検討」に関しては、今後、実用化の見通しを得るべく本検討会にて引続き検討を進めていく予定です。

    国土交通省では、この検討結果を受け、早急に制度改正及び所要の体制整備の検討を開始し、年内を目処に改正内容についてパブリックコメントの募集等の手続きを行う予定です。

  4. 中間とりまとめについて(概要については別紙2参照)
  5. 今後の対応について
     

 

※1 マフラーの改造や交換等を行った車 ※2 型式指定等の認証を取得しない車 ※3 装置型式指定を取得したマフラー

ワタシの注釈を加えると、 加速走行騒音等の走行騒音基準・・・・新車基準(73db)と同等であれば、近接測定値はノーマルマフラー(87db前後)と同じ程度になってしまう。

装置型式指定制度・・・・公的試験機関において基準に合格した製品に形式を指定、勿論取り付け対象車と製品形式が一致しなければ無効。

コレはどういうことかというと、建造物の耐震強度偽造のようにチェックを民間に開放したら、トンデモナイ事になってしまった例が後押しした感があり、新車時に装着されていたマフラーを交換したら試験結果を継続車検時に提出しなさい。しかし、政府が管理する形式指定を取得したマフラーならその限りではないという事です。

つまり、不正改造防止法という30万円の罰金が用意されている厳罰でも騒音は収束しなかったという深刻な事態があり、社会と政府はもう容赦しないということなんでしょう。

耳にハサンだ話では、フランスは違法マフラーは販売も禁止ということです。日本の法律で同じようにするには線引きが必要ということですね。

しかし、これで収束しなかったら次の手は?

今日は余り楽しい話題ではありませんでしたが、趣味も社会に与える影響が取り沙汰される時代なのは間違いありません。ペットだって可愛がっているうちは良いですけど、爬虫類のように大きくなりすぎて捨てられた例も多くなると社会問題に発展します。

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