ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

トランスミッションケース②

2006年01月24日 | トランスミッション
人気blogランキングへ*クリックお願いします。


Simg_0532
悪い例があったので紹介します。
前に書いたドレンボルト穴をヘリサートで直した例です。ドレンボルトは他の力がかかるわけではないので、密閉してムヤミに緩んで脱落しなければ良いのですが、ボルトとの当り面が多少崩れていてもネジ山さえシッカリしていればシールテープ(テフロンテープ)の使用でオイル洩れは防げます。
ところが、ヘリサートを使うとヘリサートの外側のネジ山を伝わってオイル洩れが起きますので、この場合ではドレンボルトを取り付けるだけの事になって密閉することは忘れられています。

S16_1
ココはメインドライブギアのベアリングが入るところです。
手に持っているのはドライブスプロケットスペーサーですが、矢印の示す磨耗の進んでいるところが、お互いに接していギアのスラスト(軸方向)を受けていますが、非常に興味深いのがスチール製のスペーサーのほうがアルミのケースの面より大きく磨耗しています。
ココが磨耗しているとオイルシールに接している面がスラスト方向に動くので、オイルシールの寿命が短くなってしまいますから何らかの対処が必要です。

Simg_0534
ココの磨耗の原因は大馬鹿ヤローのせいでした。
写真に見えるコルクのリングは’77前期まで使っていましたが、この’77後期のケースに使うとオイル穴を塞いでしまって潤滑不足になり磨耗してしまったのでしょう。

*スプロケットスペーサーのスラストをケースのアルミで受けてしまうのは’77後期から’79までなので、該当するモデルは特にミッションオイルの交換や量にも気を使いたいものです。
でも、どうしてアルミより鉄のほうが減るのかは今のところ分りません。

*実はこの部分は’77から5速ミッションがデビューするまでに5回も設計変更されていて、メーカーの苦悩と努力の跡が見受けられます。






トランスミッションケース

2006年01月24日 | トランスミッション
人気blogランキングへ*クリックお願いします。

ミッションケースの溶接修理が終わりましたが、ギアなどの組み立ての前にスタッドボルトを組み付けたりのジミーな作業がまだあります。

Simg_0508
ドレンボルトのネジ山を良く見て、まだシッカリしているようでしたらタップを使って修正と清掃をしておきます。
ネジ山は1/2-13です。
*ネジ山の現状を見極めるのは大事で、入り口が崩れてしまっているネジ山にタップを入れようとすると、元々のネジ山とタップのそれが合わないで、もう一つネジ溝を切ってしまいネジ山がなくなってしまう事態になる事があります。
そういう場合には裏側からタップを入れるなどの工夫が必要で、ここには安易にヘリサートを使用してもオイル洩れは直りません。

Img_0511
ミッション固定用のスタッドボルトです。
スタッドボルトは特殊であり、ミッションに入る側は7/16-14で外に残る側は3/8-24とミッション側が太くなっています。

*ミッション側のネジ穴は内側に貫通していますので、ロックタイトを使用してオイル洩れに対処しますが、ロックタイトは油分や異物があると効き目が悪くなるので、タップを使ってそれらを除去します。ちなみにこのタップは工具屋で¥1300でした。

Simg_0512
ロックタイトは緩み止めだけではなく、オイル洩れに対処するために使うのでタップリ塗ります。

*このスタッドのミッションケース側のネジ山の形状は、キツク勘合させるため?に山の幅が広くなっていますので緩みにくいのですが、そのためにスタッドボルトを最後までねじ込むのはかなりの重労働になりますね。

*スタッドボルトがキツクなっているのは、ミッションプレートに固定するナットを締めたり緩めたりするときに、スタッドが回らないようにする対処方法で、「それなら、敢えて抜かなくても良いのじゃあ?」というご意見もあろうかと思いますが、オーバーホールという作業はやり直したくないので、ワタシは手を抜きたくありません。

Simg_0516
スタッドボルトを重労働の末に入れ終わって・・・・。
ミッションプレートを置くとこんな感じです。

*キックスタートでは、トランスミッションに意外なほどの荷重が掛かります。エボリューションエンジンのミッションプレートはキックスタートを考えられていないので、ミッションプレートがモたないという意見も聞きくほどです。
ミッション固定ナットが緩んだまま運転し続けると、思わぬトラブルも起きますのでご注意を!

Simg_0510
ミッションケースが裸のうちに出来ることをやっておきます。
ドライブギアのオイルシールが入る穴の淵を面取りしておきます。これでオイルシールを入れるのが格段に簡単になりますね。ワタシはエアリューターで行いましたが、普通のヤスリでももちろんOKです。