東京新聞 2012年6月15日の記事、提供中止で小田原市議会が決議 「給食に冷凍ミカンを」 という記事が気になりました。
神奈川県内産冷凍ミカンから微量の放射性セシウムが検出されたので横浜市が学校給食で冷凍ミカンの使用を中止しているという情報は読んでいました。
ダメモトで小田原市議会サイトを開いたら、なんと! 農産物の学校給食使用に関する決議を可決(最終更新日:2012年06月14日)
6月14日(木)の小田原市議会6月定例会で、「農産物の学校給食使用に関する決議案」が7会派中6会派の代表者からの連名により提出され、賛成多数で可決されました。
この決議は、学校給食に使用予定であった県内産の冷凍ミカンについて、厚生労働省が定めた食品中の放射性物質の基準値を大きく下回るにも関わらず、県内の一部自治体において、学校給食の食材としての使用を取り止める措置が取られたことには、安全とされている農産物に対する風評被害の拡大にも繋がりかねず、食料の安定的な供給という責務を果たすべく農産物の生産に励んでいる本市を含む県内の農家にとって、農業の存続を危うくさせる大変憂慮すべき事態であるため、使用継続を検討されることを要望するものです。
「農産物の学校給食使用に関する決議」 本文のみならず、「農産物の学校給食使用に関する決議に対する議員ごとの賛否の結果」 までPDFファイルでアップロードされていました。以下本文を引用しておきます。
農産物の学校給食使用に関する決議
小田原市は、恵まれた自然環境の中で、水稲、柑橘をはじめとする様々な農産物を生産する1,300戸を超える販売農家によって、地産地消を進めるとともに、都市近郊に位置する立地条件の下、都市部への食料供給という重要な役割を担ってきた。
また、本市の様々な農産物は、神奈川の農業の中心的な農産物として、多くの品目が「かながわブランド」に認定されており、かねてより、品質や生産量、さらには供給体制の向上や安定を目指し展開している。
今般、学校給食に使用予定であった県内産の冷凍ミカンについて、厚生労働省が定めた食品中の放射性物質の基準値を大きく下回るにも関わらず、県内の一部自治体において、学校給食の食材としての使用を取り止める措置が取られた。
このことは、安全とされている農産物に対する風評被害の拡大にも繋がりかねず、食料の安定的な供給という責務を果たすべく農産物の生産に励んでいる本市を含む県内農家にとって、農業の存続を危うくさせる大変憂慮すべき事態である。
よって、農産物の学校給食の使用にあたっては、生産農家の現状を理解いただくとともに、風評被害を防ぐためにも、放射性物質濃度が国の基準を大きく下回った農産物については、学校給食における使用継続を検討されるよう要望する。
以上、決議する。
平成24年 6月14日
小田原市議会
私が読んでいたのは、「横浜ママパパの放射線だより」から、横浜市給食 冷凍ミカン 放射性物質検出の記事です。
2012年5月21日の情報が最新でしょう、『横浜市は21日、55検体(2680個)のうち46検体から1キログラム当たり3・2~8・8ベクレルの放射性セシウムが検出された、と発表した。』
横浜市健康福祉局健康安全課 - 平成24年5月21日作成 学校給食の冷凍ミカンについて・・・この記事は横浜市教育委員会の小学校給食食材の放射性物質関連情報について からリンクされていました。
小田原市議会、横浜市、どちらもネットから組織の姿がはっきり見えて、私はここに記録しました。どちらも迅速、的確な発信になんだかひどく口惜しい思いがしています、何故なのかな・・・甲府のキタリモンだって住めば都だからでしょうか。
小田原市議会の決議は大きな間違いを犯しています。お国が決めた基準値未満なら、ご自分の小さいお孫さんやお子さんにどんどん食べさせる。それも結構ですが、それは原発震災の責任を逃れようとする一味の策略にはまっているだけだと、私は考えています。
「大きく下回った」など曖昧な表現ではなく、「10Bq/kg 以下なら」・・・など自ら信ずる根拠に基づいて明確に値を示すべきです。それは安全を謳うメッセージには必要なことです。
風評被害というのは明確な情報がきちんと公開されないことから生じるのであり、横浜市の検査結果を見て、自分はOK、子供にはやめようと思うのは風評被害では無い。
情報が見えないから自分で安全サイドを判断し選択する。当り前の事です。情報はあるのに市民に判断力が欠けていると思うなら、そんな市民を教育して来た人々の責任を問えばよいだけのこと。
小田原市内で生産された農林水産物の放射性物質濃度について、現行制度の情報として、きちんとまとまっていると思います。
ちなみに、震災がれき(災害廃棄物)広域処理への対応については、小田原市議会だより(5月1日号、8/20ページ)に、
『また、災害廃棄物の処理については、放射能濃度が低いとはいえ、安全性が保証できる基準を設定することは難しいと考えており、住民の健康と安全を守ることを考慮すると、安易に受け入れを判断することはできないと考えている。
このような中、自治体として、被災地のがれき処理については、協力すべきと考えているが、これら課題を解決する必要がある。』との答弁が記載されています。「恵まれた自然環境の中で」「神奈川の農業の中心的な農産物」を産出する小田原市の首長としては、国の要請に対して礼儀を尽したさりげない「お断り」だったのでしょう。