高知県立大学永国寺図書館の蔵書の除却について(高知県立大学 掲載日:2018年8月18日更新)
このたびの報道につきまして、県民の皆様の知的財産である公立大学図書館の蔵書を管理する立場にある大学として、除却に際しての配慮が十分でなく、多数の図書を焼却するに至ったことについて、お詫びいたします。
永国寺図書館の蔵書の除却については、平成29年4月の新図書館への移転に向け、平成25年度以降、約4年にわたり慎重な討議を重ねてまいりました。しかし、結果としては多くの本を焼却してしまうこととなり、このことについては、より細心の注意を払う必要があったものと深く反省しております。
本学の蔵書は、歴史的には高知女子大学、高知短期大学、旧高知女子大学保育短期大学部の図書を統合しつつ、このたび高知工科大学の一部の図書を含めたものであり、永国寺キャンパスの整備にあわせて新図書館を新しく開館いたしました。この新図書館は、広さを約1.5倍としたうえで、旧図書館にはなく、近年求められているディスカッションルームや集いスペースなどのグループ学習室を新たに設置し、座席数も大幅に増やすなど、大学図書館としての機能を充実させました。一方で、蔵書の収蔵能力は旧図書館と同程度を保ちつつ、将来も増加し続ける蔵書のことも考慮し、大学として慎重に検討を行い、3.8万冊程度を除却するという決断をいたしました。
除却にあたっては、複数の司書と分類ごとに専門性のある教員が、破損により補修不能であるものや重複しているため保存の必要がないものなど学内規程に定める除却の基準に基づき、除却候補リストを作成しました。その後、全学の教員に確認する工程を繰り返すなど、時間をかけて手続き的にも慎重に行った結果、重複図書約18,700冊、雑誌約12,700冊、書籍約6,600冊、合計約3.8万冊を除却することを決定しました。そして、この決定後、池図書館への配架移転や教員研究室、学生研究室への移管などを行い、大学としての有効活用にも努めてまいりました。
しかしながら、この除却に関しては、県内の公立図書館や大学図書館、県民の皆様などにお知らせして、広く活用の道を探ることも必要であったと考えています。
今後においては、今回の除却に係るこうした課題を重い教訓として受け止め、しっかりと検証を行うとともに、公立大学の図書館として、貴重な財産である蔵書の適切な管理に努めてまいります。
平成30年8月18日
高知県公立大学法人高知県立大学 学長 野嶋 佐由美
【編注・池図書館】
この学長文書では明確ではないが、「全学の教員に確認する工程」に際して「学内規程に定める除却の基準」には焼却処理が含まれている事、今回の除却でも配架移転されないものは全て焼却することを伝えていたか。
伝えていて、それを読んだ全教員が認めていたとは思えないので、おそらく情報発信の不適切と考えられる。情報発信がおろそかな図書館だからこそ起る事例だろう、何処でも何にでも起り得る事だ、他山の石としたい。
また、配架移転される図書には「高知県立大学図書館蔵書」印が無効となっている事を示す「高知県立大学図書館廃却」のような公式印が押される事も明示されていたのか。
私がこの情報を知ったのは、gooニュースの <高知県立大>蔵書3万8000冊焼却 学長「配慮足りず」(毎日新聞の配信記事 2018.08.19 11:25)です。驚いて地元紙 高知新聞 を確認。
◇ 高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数(2018.08.17 08:45)
『焼却したのは3万8132冊(単行本や新書などの図書2万5432冊、雑誌1万2700冊)。2014~16年度中に断続的に13回に分けて、業者に委託して高知市の清掃工場に運び込み、司書らが立ち会う下で焼却した』
◇ 高知県立大焚書 知の機会奪う 職員「移行へダイエット」(2018.08.17 08:38)
・・・過去数年間で行なわれた事が今になって明らかになったのは何がきっかけなのだろうか。おそらく新聞記事以外のネット情報が既に出ているかも知れないが、後日にする。
かなり昔ですが私が神保町などで古書店めぐりをしていた頃、ふと気になるタイトルで書架から取り出した本に「図書館印」が押されていて「廃棄処理」のような印も押されているのに気付いたことがあります。上に書いた事はそれを思い出したからです。
坊さんが簪を買う土地柄は学問・教育に携わる人々が焚書もするのでしょう。環境首都をコンクリートジャングルにしたり太陽光発電パネルでうめつくせば地域が活性化すると考える土地柄と似たようなものですね。「*** オワッタ」とか言われないように気を付けたい・・・