先日アップロードした 山梨県での説明会記録は最終日10月17日の田富説明会記事が確認できたので、追記しました。
ここでは長野県内での説明会記録を 環境影響評価準備書 長野県 から一括して転載しておきます。環境影響評価準備書 のトップページは設定したのですが、残りの都県についても同様にブログに転載します。
阿智村
村内を貫くトンネル掘削に伴う残土輸送による影響などについて質問が相次いだ。
村内のリニア路線約3キロは全てトンネル区間。作業用トンネルの出入り口が下清内路の東部に設けられる。同社は、村内の国道256号を通る工事用車両の台数を「1日最大920台」とし、トンネル掘削に伴い村内に出る残土量は71万立方メートルとした。
残土輸送について、同社は作業用トンネルから国道256号までの村道を通行する車両は1日最大250台と説明。同920台は隣接する木曽郡南木曽町の作業用トンネル2カ所から出る残土を運ぶ車両も加えた数字とした。土砂輸送に使う既存道路の改良は同社の負担で行うとした。
残土の処理場所については県や関係市町村の調整に任せるとしたが、JR東海の担当者は、十分な場所がない場合、同社として腹案があるとの趣旨の発言もした。沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は終了後の取材に「現時点で腹案は持ち合わせていない」と述べた。
このほか、「(リニア建設に伴う)代替用地は地権者が自分で探すのか」との問いに、同社は「基本的には金銭補償なので本人の判断で探していただく。ただ、探すのが困難な場合は個別に話をする」とした。トンネル工事は24時間体制で実施することや、工事で発生する濁水や騒音については必要な措置を取ると説明。リニア用の送電線については「供給方法は電力会社で決める。送電線のルートがどこを通るか私どもでは決められない」とした。 (参加 100人 信濃毎日新聞 10月3日)
喬木村の男性は自宅などがルートにかかり、移転せざるを得ない場合の代替地について質問。JR側は整備新幹線建設時の対応を例に「金銭補償のみで本人に探してもらうのが原則。困難な場合は個別に協議したい」と答えた。 (毎日新聞長野版 10月3日)
質疑の時間は1時間半余にわたって設け、十数人の質問に応じた。
村内の工事概要について同社は「非常口から約2キロの斜坑トンネルを掘り、本線につながったら東にむかって掘削する」と説明。運搬に使用する村道や国道は「必要により道路管理者や地元と協議し、道路拡幅や待避所整備、橋脚の付け替え、カーブミラー設置などをする」とした。
「斜坑の工事はいつから始め、どのぐらいかかるのか」との問いには、「これから詳細な工程を詰める。工事実施計画認可後の工事説明会で具体的な工事内容や運搬車両のルートを伝える。工事期間は約10年間を想定しているが、実際に掘り進める工事は7年。その間は発生土を運搬するトラックが行き交う」とした。
本坑のトンネル工事は24時間体制で、明かり区間は原則、昼間に行うとし、運搬時間は「昼間に走行する」。騒音について「開業後、非常口から本坑の走行音が聞こえることはない」とした。
用地交渉をめぐり、時期や手法を質問する人もあった。同社は「事業説明会の後に測量をし、必要用地が明確になる。並行して用地取得の説明会を地権者にする」と説明。「開業後も残る非常口の用地は取得したいが、工事で必要な部分は用地を借りたい」との考えを示した。
用地はトンネルと地上の距離が5メートル以内を買収し、5―30メートルは区分地上権を設定した山梨リニア実験線を例に挙げ、保障は「整備新幹線と同様に国の基準に基づいて金銭で補償する」とし、代替地は「原則、本人の判断で探していただくが、困難な場合は、個別に話をする」とした。 (南信州新聞 10月4日)
飯田市
市民ら約200人が集まり、工事に伴う水枯れや残土の運搬、処理方法などを懸念する質問、意見が目立った。 JR側は地下水への影響について水質、水量を調査し、減水などが確認されれば早急に対応すると説明し理解を求めた。
(残土)-主に既存の道路を使う運搬は昼間のみと説明した。 (参加 200人 毎日新聞長野版 10月6日)
南木曽町
蘭・広瀬地区を中心に住民75人が参加し、工事の出入り口になる斜坑(非常口)が二カ所設けられることへの影響などを質問した。
予定されているルートの近くでは、木材を利用したバイオマス発電所の建設計画があり、住民からは「相乗効果で影響が大きくなるのでは」と交通まひを不安視する声が出た。JR東海側は道路の拡幅工事や誘導員の配置で対応すると述べた。
住民から地域に二つも斜坑を設ける理由を聞かれると、JR東海の担当者は「山岳トンネル工事の発生土を効率的に運ぶため」と答えた。三日の妻籠分館での説明会と同様、工事による水枯れを心配する住民もいた。 (参加 75人 中日新聞長野版 10月10日)
大鹿村
予定時間を30分ほど延長して、8人質問したところで、まだ挙手していた人がいたが打ち切られる。
「山梨実験線で想定外の水枯れが起こったことの検証がきちんとなされているのか。」という質問に対して、「今回の予測に際しては山梨実験線の渇水事例も踏まえて検討を行っている。」
その他、答えだけ引用しておきます-「今後、関係機関と調整しながらエコパークに影響を及ぼすことのないように進めていきたい。」
「排水計画はこれから検討していく。最終的には公共用水域に放出することになるが、河川法などを遵守し、関係者、関係機関と協議して決める。」
「発生土については長野県を窓口に調整をお願いしている。」
「パブコメ等を踏まえた国土交通省の交通政策審議会の審議があった後に、国土交通大臣から建設の指示を受けた。今、環境影響評価の準備書の段階。環境影響評価の手続きが終わった後に工事実施計画の申請をし、認可になって初めて工事に着工できる。ここで事業説明会を行い、中心線測量、用地の測量、用地の取得手続きに入る。それが終わって工事に移る際には工事説明会で詳しい位置などをお示しする。」
「方法書の説明会は58回行った。調査・予測・評価をしていた2年間に6都県で2回ずつ12回説明会を開催している。今回も92回説明会をする。縦覧については関係地域で行うことが法律で決まっている。インターネットに出ているので誰でも見られる。」
「発生土を処理できる場所を県と調整して決めてから掘り進めたい。」
「発生土全体に対して、すべてが決まらないと掘らないというわけではない。順番に掘っていくので、その都度場所は決めていく。」 (163人 大鹿村でのリニア説明会 10月10日)
JR側は村内ルート約13キロについて、大半がトンネルになると説明。トンネル工事に伴う村内の残土発生量は県全体の950万立方メートルのうち298万立方メートルを占め、工事用車両の通行量は国道152号の最も多い地点で一日に1736台と予測した。原則として既存道路を使うが、集落を避けるため一部で工事用道路を新設するという。
これに対し参加者からは、残土処理が周辺の環境や生活に与える影響を懸念する声が多く出された。「運搬ルートは生活道路になっている」「残土置き場が決まるまで着工すべきではない」などの意見もあった。 (毎日新聞長野版 10月10日)
参加者からは、運搬に使われる道路が現状では生活道路ながら狭く、住民への影響が大きいと指摘する意見が相次いだ。JR側は「道路管理者とも協議して対処したい」などと答えた。 (参加 163人 中日新聞長野版 10月10日)
「多くの人が少しでも事前に内容を頭に入れて説明会に臨んでほしいと思う。」・・・大鹿村に関係するところだけをピックアップして読んでいっても、要約書は付箋だらけだ。ましてや沿線各地域に、共通の問題、固有の問題が山積している。・・・準備書が出されてから、ようやくマスコミでも「夢の超特急」ではないリニアの問題点も少しは報道されるようになってきた。しかし、このまま行けば、来年には着工されてしまう。一般の人が意見を言える最後の機会である準備書に対して、ぜひ多くの人に関心を寄せていただき、疑問の声を上げてほしい。 (リニア準備書への疑問点 10月1日)
飯田市
市民ら約450人が参加し、10人が質問を寄せた。
質疑では、計画路線上や駅のエリアに居住する住民から、用地取得に関する質問が相次いだ。
用地取得は、全国新幹線鉄道整備法に基づいて自治体に委託するため、「交渉は自治体に行っていただく」とした。
「使う部分を買収し、その他は買収しない」と加え、残地など個別の事情は「大きさにもよるが、用地説明会で対応する」。用地確定の時期は「来年度に事業着手し、そこから1年後ぐらいまでに用地を確定し、地権者の皆さんに説明したい」とした。 (参加 450人 南信州新聞 10月12日)
「用地買収確定は着工1年後 リニア説明会」
JRは今後の手続きについて、「工事実施計画が認可された後に、事業説明会を開催し、ルートの中心線や用地の測量の作業に入る」と説明。その後、地権者らに用地取得に関する説明会を開き、そこで買収する用地を明らかにする。
また、買収の対象については「実際に使うところは買収するが、その他については買収しない。ただ、個別の事情があれば、用地取得の説明会で話をうかがいたい」とし、用地買収で不整形な土地が発生した場合に、相談に応じる姿勢を示した。 (中日新聞長野版 10月11日)
リニア中央新幹線:中間駅の利用者1日1万人 JR東海が設定 /長野
JR東海は準備書作成の前提として、中間駅利用者を1日1万人と設定したことを明らかにした。
出席者からは工事中の騒音・振動の測定に地元住民の立ち会いを求める意見や、駅舎とトンネルの排水処理に関する質問が出た。また、高架駅や高架橋による地域の分断を懸念する声もあった。 (毎日新聞長野版 10月12日)
14日は下伊那郡大鹿村交流センターで2回目の説明会もあり、約110人が参加。JR側は、主に県道松川インター大鹿線を使って残土運搬するとし、県や沿線自治体と協議して道路改良するとした。工事用道路を大河原地区の上蔵(わぞ)集落付近に新設することも示した。一方、質疑開始から1時間半ほどでJR側が質疑を打ち切ったため、まだ質問していない参加者らが「納得できない」とJRの担当者らに詰め寄る場面もあった。 (参加 110人 信濃毎日新聞 10月16日)
質疑応答でJRは、工事の作業時間について「トンネル工事は昼夜両方、橋梁や変電施設の工事はほとんどが昼と考えているが、時間設定については地元と相談したい」と述べた。
また、トンネル掘削で出る残土の運搬経路については「県道59号が主体となると思う。道路管理者である県や大鹿村、中川村と調整して対策を計画していく」とした。
これに対し、出席者からは土砂運搬の車両の通行が村民の生活に与える影響を心配する声などが続出。説明会終了後、出席者の一部がJRの職員に詰め寄り「住民の気持ちを理解してほしい」と訴える場面もあった。 (中日新聞長野版 10月16日)
「説明会、大鹿で2回目 約110人が参加」
終了予定時刻を約30分すぎた午後5時半ごろ、まだ数人の発言希望者がいたにもかかわらず、JR東海が質疑を打ち切ったため、参加者の一部がJR社員に詰め寄る場面も見られた。
質疑では、JR側が中川村を経由して大鹿村と中央自動車道松川インターチェンジを結ぶ県道の拡幅や改良について早急に県と協議する意向を示した。トンネル工事の残土や資機材の主要な運搬ルートと想定する県道は道幅も狭く、生活道路になっているため、ダンプカーなどの頻繁な通行に懸念を示す住民らの質問に答えた。県道の通行を巡っては、中川村の村長や村議も、これまで村への説明が一切なかったことを指摘し、協議を求めた。 (毎日新聞長野版 10月16日)
「大鹿村でのリニア説明会・2回目」
10月14日に開催された大鹿村2回目の説明会での質疑の概要。前回の質問者はすべて大鹿村民だったが、今回はお隣の中川村・曽我村長やイヌワシ研究会の方などからも質問があった。地元で30年間調査してきた人の意見と、アセスで2年調べただけの結果と、どちらが信用できるかは明白。【編注・質疑応答の詳細は記事をお読みください】 (「美しい村」の議員日記 10月16日)
大鹿村では10月9日と14日の2回開催され、私は14日のに参加しました。
準備書説明会は、いってみれば、住民とJR東海とが接触できる最後の機会です。このあと、もろもろの手続きはありますが、当該知事が「リニア計画は妥当である」との意見書をJR東海に提出すれば、JR東海は国から着工の認可をもらい、来年度からの着工が可能となります。
ただ一つ、「住民の反対を押し切ってまで工事をするつもりはない」と言ったことだけがまっとうな回答でした。【編注・詳細は記事をお読みください】 (これで準備書説明会が終わってもいいのか!? 10月16日)
15日夜、県内説明会を飯田市座光寺小学校で開き、2日から続いた沿線7市町村での12回の説明会を終えた。延べ約2250人が参加。会場での質疑を通じて、生活への影響が大きい地域住民らが、残土運搬や移転・用地買収などに大きな不安を抱いている現状が浮き彫りになった。
県内中間駅位置にかかり、保守基地の設置も予定される座光寺地区の説明会には約280人が参加。路線が地域を横断することによる移転や代替地への質問が目立った。準備書で路線にかかるとされた団地の住民からは、団地全部が移転対象にならなかった際、「残された数軒では合併浄化槽を管理できない」との声も。JR側は「個別事情を聴き、どう対応できるか話をさせていただく」と答えた。
座光寺地区での説明会後、JR東海の内田吉彦・環境保全統括部長は「多くの質問に十分に説明できた」との認識を示した。 (参加 280人、県内延べ約2,250人 信濃毎日新聞 10月16日)
保守基地は敷地面積約3ヘクタールで、保守用車車庫や資材庫が建設される。JRは質疑応答で「土地造成や建物建設を合わせて、3年くらいかかる。工事開始の認可から早くて1年くらいで、用地取得の話をしたい」と述べた。
また、用地取得に伴う補償については「金銭が基本だが、代替地を探すのが困難な場合は個別に相談に応じたい」とした。 (中日新聞長野版 10月16日)
保守基地の設置が予定されている飯田市座光寺地区の市立座光寺小学校体育館では15日、県内最後の説明会があった。同市内では3回目。 (毎日新聞長野版 10月16日)
大鹿村での工事車両の通行が予定されている隣村で説明会が開催されなかったことは、大鹿村の情報から知りました。膨大な準備書なので一般市民が他地域まで確認するのは大変ですが、各地の行政はそれもきちんと行いながら、我が地域におけるリニアプロジェクトの進め方を考えていると思っています。
行政区分で区切って判断していると、思いがけない錯誤が生じる可能性はありそうです。
大鹿村での話で出てきたのですが、山梨リニア実験線での水源枯渇問題について学習した事が今後適用されるらしい。しかしこの事例について山梨県行政側ではどのように対応したかという報告記事を私は未確認です。私は不勉強なことが多くてJR東海宛に準備書への意見を投じられるかどうか・・・
2011年10月の環境影響評価方法書説明会の時には、何も分かっていないのに、とりあえず聞きに行こうかと出かけたのですが、今回の準備書からなんとなくプロセスの理解ができそうな状態です。
リニアプロジェクトというのは、Windows 8 や 8.1 のパソコンをショップに出かけて手に入れたらオシマイというのとは違いますね。ハード、ソフトの両面から使用目的を第一において一つ一つのパーツを仕様から検討して購入し、必要な工具を揃えてパソコンを組み立てていくようなものだと感じています。
そういう目線から、もう一度山梨県リニア影響基礎調査の最終報告あたりから読み直してみたいと思います。