NHK山梨
知事が富士吉田市アンケートに苦言 富士山登山鉄道構想関連(2024年02月02日 12時47分)
県が事業化に向けて検討を進めている「富士山登山鉄道構想」をめぐり、富士吉田市が独自に行ったアンケート調査について、長崎知事は「公正公平なアンケートとしては評価できない」と苦言を呈しました。
富士山登山鉄道構想をめぐり、反対を表明している地元の富士吉田市は独自のアンケート調査を行い先月、構想への賛否について回答者の全体の63%が「反対」「どちらかと言えば反対」とする結果を公表しました。
これを受けて長崎知事は1日の記者会見で「一般論として、反対の意思を明示したうえで行われたアンケートは回答を誘導するもので、公正公平なアンケートとは評価できない」と苦言を呈しました。
その上で「これは富士吉田市の1つのご意見ということで認識するが、この数字はまったく意味がないと私たちは考えている」と述べました。
2月1日開催された知事記者会見の記録 (2月2日県庁サイト掲載)
発表事項以外の質問事項
「富士山登山鉄道構想に関する富士吉田市が実施したアンケートについて」記者 富士山登山鉄道構想に関して、ちょっと前になりますが、富士吉田市がアンケート結果を公表されていましたけれども、知事の受け止めをお伺いしてもよろしいでしょうか。
知事
まず登山鉄道構想、前々から申し上げておりますように、様々議論をしていきたいということでありますので、そういう意味では富士吉田市さんの努力を歓迎したいと思いますし、敬意を払いたいと思います。
しかしながら、一般論として申し上げますと、反対の意思を明示した上で行われたアンケートというものは回答を誘導するものであり、およそ公正公平なアンケートとは評価できないと考えております。
記者の皆様もよく内容をご覧いただければお分かりになられると思いますが、富士吉田市のアンケートにおきましても、市は富士山登山鉄道構想に反対を明示して反対の理由を列記し、構想の概略のみを記載した上で登山鉄道構想について賛否を問うている、そういう形になっております。
これは反対多数の結果を導き出そうという意図が明白となっておりまして、これは公平公正ないわゆるアンケート調査とは言えないものだろうと思います。
しかも、富士吉田市の考え方とする反対理由には大変残念ながら事実誤認ですとか、意図的とも思われるミスリードも散見されるわけです。
従って、全国63%が反対ですとか、市民の反対86%という数字には意味がないと思います。
釈迦に説法で大変恐縮ですが、厳密な世論調査というものは、まず第1に調査目的、調査方法が明示されなければなりません。
2点目として誰を対象とするのかの調査母集団の規定もしなければなりません。
さらに、ランダムサンプリングなどを用いました調査対象者の抽出方法、こういうものが不可欠となって参りますが、いずれも不明確です。
このため、この種のアンケートで最も注意をしなければならない組織票の排除がなされた形跡を見つけることができません。
調査対象者はランダム抽出をしていないので、当然組織票の存在というものも懸念されるものとなっております。
特に市民1495人に関しまして、抽出方法や属性が明らかではなく、かつ全市民4万6765人の3%にすぎず、特殊な集団の可能性は一般論として否定できないわけです。
従って、このアンケートは、住民や市民の意見を代表したものと認識することは困難なものであると考えています。
なおかつ、さらにアンケートの末尾の方でプレゼントや景品などについての記載がありますが、これはそういう誘導をするというふうに受け止められる恐れもあり得るものであって、これはいかがなものかなと思っております。
従って、これは1つの富士吉田市さんのそういうご意見だと我々として認識をいたしますが、この何%何%という数字は全く意味がないと私たちはそう考えている次第です。
報道機関としてどうでしょうか。同じようなアンケート調査をもし我々がしたら公正な数字として扱っていただけるものなのでしょうか。
私はちょっとそういう意味では、これは意見表明であって、客観公正なアンケートとは残念ながら認識できないと考えています。
UTYテレビ山梨
富士山登山鉄道構想アンケート「反対多数の結果を導き出そうという意図が明白」知事が地元市を批判(2024年2月1日 19:55)
山梨県の長崎幸太郎知事は1日の会見で富士吉田市がインターネットで行った富士山登山鉄道構想の賛否を問うアンケートについて「反対多数の結果を導き出そうという意図が明白」と批判しました。
富士山登山鉄道構想に反対している富士吉田市は去年10月から先月10日まで、インターネットで構想への賛否を問うアンケートを行いました。
その結果、全国から1万4000人余りの回答が寄せられ全体で63%、富士吉田市民に限ると86%が反対、またはどちらかといえば反対と回答したと発表しています。
このアンケート結果について長崎知事は1日の会見で「一般論として申し上げると、市は富士山登山鉄道構想に反対と明示をして反対の理由を列記し、構想の概略のみを記載したうえで登山鉄道構想について賛否を問うている。これは反対多数の結果を導き出そうという意図が明白で、公平公正なアンケート調査とは言えない」と批判しました。
また、「この種のアンケートで最も注意をしなければならない組織票の排除がなされた形跡を見つけることができない」としたうえで、「特に市民に関しては抽出方法あるいは属性が明らかではなく、全市民3%に過ぎず、特殊な集団の可能性は “一般論として否定できない”」と指摘しました。