令和5年7月19日 リニア中央新幹線建設促進山梨県期成同盟会
決 議 超電導リニアによる中央新幹線(以下「リニア中央新幹線」という。)は、東京・名古屋・大阪間の時間距離を大幅に短縮し、関東、中部、近畿の各地域間の交流 ・連携を一層強化するとともに、21世紀の我が国の新たな国土の大動脈として、経済社会を支え、成熟型社会の形成やゆとりある生活の実現、災害に強い国土づくりに大きく貢献できる社会基盤である。
本県においても、リニア中央新幹線の開通により、世界文化遺産である富士山エリアをインバウンドの柱とした観光交流の推進や新たな産業の創出などが期待されている。
現在、JR東海によって南アルプストンネル(山梨工区)工事や第四南巨摩トンネル(西工区及び東工区)工事の他、釜無川橋梁に続き笛吹川・濁川橋梁が着工するなど、明かり区間の工事についても着実に進められているところである。
リニア中央新幹線の早期実現に向け様々な取り組みが進められている中、県においても、「リニアやまなしビジョン」に基づき、県民生活の豊かさに直結させていくため、各種施策を展開しているところである。
今後も、JR東海と連携し、地域住民への丁寧な説明を行い、事業進捗への理解を得るよう努めるとともに、着実な事業の進捗が必要となる。
一方、南アルプストンネル(静岡工区)工事は、水資源や自然環境への影響があるとして、静岡県から着工に同意を得られない状況にある。
よって、我々は、リニア中央新幹線建設促進山梨県期成同盟会の事業目的の趣旨に則り、リニア中央新幹線の早期実現に向け、とりわけ次の事項について一致協力して強力な運動を展開するものとする。
1 JR東海は、東京・名古屋間について、早期開業に向け、工事実施計画に基づき、着実に事業を進め、早期整備を図ること。特に、静岡工区については、静岡県との課題を解決するための協議を迅速に進め、早期着手を図ること。また、国は、有識者会議において、科学的、客観的に検証し、静岡県が危惧する課題が早期に解決するための調整を図ること。
2 南アルプストンネル(山梨工区)において進められている先進ボーリング調査は、工事の安全確保や作業員の命に直接関わる極めて重要なものであり、地下水の流出量を科学的事実として把握するために不可欠であるため、JR東海は、速やかに県境までの調査を実施すること。
3 JR東海は、本体工事の発注に当たり、県内企業の受注機会の拡大に配慮するとともに、本体工事以外の取付け道路等関連工事についても、道路管理者等に委託し、地方自治体からの直接発注とするなど、地域の活性化に資するよう努めること。
4 JR東海は、建設工事を進めるに当たり、安全対策の徹底を図り、事故の発生防止に万全を期するとともに、沿線地域に対して丁寧な情報開示や説明に努めること。
5 JR東海は、リニア建設による生活環境の変化に対する不安について、沿線住民の理解が得られるよう誠意を持って対応すること。
6 JR東海は、リニア駅の建設に当たっては、駅利用者の利便性や駅周辺の景観との調和など十分配慮した施設とすること。
7 JR東海は、リニア駅の交通結節点としての機能が十分発揮されるよう、駅への停車本数をできる限り増やすこと。
8 JR東海は、山梨リニア実験線における実用化確認試験を着実に実施するとともに、超電導リニアの体験乗車の開催に当たっては、リニア中央新幹線の早期開業に向け、沿線住民を含めた多くの県民が乗車できるよう配慮すること。
9 リニア駅周辺の基盤整備等は、主として地方が行うことになり、地方に大きな財政負担が生じるため、国は、補助制度の創設や弾力的な運用なども含めて、十分な予算措置、地方負担に対する適切な財政支援を講ずること。
10 リニア駅と県内各地との円滑な移動を確保し、リニア中央新幹線開業の効果を全県に波及させるため、国は、地方が行うリニア関連交通インフラ整備に対し、補助制度の創設なども含めて、十分な予算措置、地方負担に対する適切な財政支援を講ずること。
11 リニア建設工事に伴う公共施設の移転整備等は、限られた期間に完了する必要があり、沿線市町が計画的に行っている事業に影響を与えるなど、大きな財政負担が生じるため、国は、補助制度の創設なども含めて、十分な予算措 置、地方負担に対する適切な財政支援を講ずること。