5月28日補足・山梨県庁サイトに、この昭和町SCについて知事記者会見(平成19年5月22日)ページが出ていることを知りました。記者に配布された資料を参照しながら知事からかなり詳細な数値や説明があったことが記録されています。この記者会見記事には資料がPDFファイルで添付されていました。
記者の質問に対する知事の返答を読んでいて気が付いたのですが、『中心商店街の影響については、正直言って損益分岐点が6%というのは、全国平均のものであって、甲府の中心商店街がどれくらいなのか、個々の店舗がどれくらいなのかわからないわけでありますから、率直に言ってラフな推計にならざるを得ないわけであります。しかし、甲府の中心商店街の売り上げの減が9%になるというのは、かなり大きなものではないかと考えております。』
これについては、全国平均はどのように算出されたのかという点で奇妙な気がします。中央官庁が全国からデータを集める段階で県庁も何がしかの関与をしたはずでしょう。中央は国税確定申告などを使ったものなら、県庁は独自な方法でそれを検証して地域実態を把握しておく事も必要なはずです。ですから「全国平均ではこれこれだが、甲府市ではこれこれという違いがある」、と言えるようなデータが県庁にあってこその政策立案であるはずです。
念の為に記者会見記事添付資料を確認しましたが歩行量調査は甲府現地のデータとして言及されていても、損益分岐点については全国平均値で論じているだけです。県庁のツメは甘いと感じます。
なお、「修正ハフモデル」について検索してみました。応用について書いた記事も批判した記事もあります。米国の学者が産み出した商業モデルを通商産業省(経済産業省)がどのように「日本的」に修正したのか興味が湧いてきました。こういうのに詳しい友人がいるが・・・私が甲府異邦人になっていることも知らずにいる、すなわち交流は途絶えてます、残念だ。
野中さんのブログで「ハイブリッド列車試運転」を読んでいる時に、リンク先から2007年5月23日の読売新聞山梨版で 昭和SC計画 県、町に見直し要請「開業で周辺に渋滞」 という記事に気が付きました。
私はこの事については2月9日にケータイ掲示板に「甲府(市)都市計画のこと 」と題して投稿させていただき、野中さんからも『今回の常永地区の事は「甲府都市計画」とは食違っている』という私の意見にコメントをいただいています。
この昭和町SC問題の本質は、甲府市中心街の衰退でも交通渋滞でもなく、総合的な全体計画と地域部分計画の整合性の問題があまりにも手前勝手にジコチュウで行われる風潮にあります。
補足追記・無知から来るジコチュウは、総合計画段階での情報が公開されていないなら仕方ありません。しかし、甲府都市計画情報は野中さんがホームページで綿密に公開されていました。しかし今確認してみると2月9日に確認した県庁サイトの記事は見えません、せっかくの野中さんのリンク先は全滅だ、これだからダメなんですよ! 昭和町さん、どんどんおやりなさい、アンタがタイショウ(^o^)
日本経済新聞山梨版記事が、『再検討を求める根拠として(1)甲府都市計画区域マスタープランなどとの整合性がない(2)周辺の幹線道路に深刻な渋滞が発生する(3)中心市街地への人の流れが年間7%近く減る――の3点を挙げた。』と書き、
朝日新聞山梨版記事が、『横内知事は、周辺に新たな渋滞が発生することや、予定地が04年5月に策定した「甲府都市計画区域マスタープラン」で商業の中心地と位置づけられていないことから、SC誘致が県の都市計画に反すると判断したという。』 と書いたことだけが、この問題を正確に捉えていました。
交通量予測と分析の技法については、もう少し調べてホームページで書いてみたいです。しばらく遠ざかっていた数理的分野なのでリンク集だけになるかも(^o^)
とりあえず各紙の記事を参照します。時間があれば昭和町と県庁の関係ページも読んでおきます。
読売新聞の記事は以下の通りです--
昭和町常永地区への大型ショッピングセンター(SC)進出計画を巡り、県は22日、SC開業に伴い周辺主要道で渋滞が頻発し、都市計画上重大な影響が生じるとする調査結果をまとめ、昭和町に対し、正式にSC計画見直しを検討するよう要請した。横内知事は見直しに応じない限り、都市計画決定に関する手続きを進めない姿勢も示しており、町とSCを誘致している土地区画整理準備組合が計画を進めるためには事実上、SCの規模縮小が不可避となった格好だ。ただ、SC建設を担当するイオングループの「ダイヤモンドシティ」(東京都渋谷区)は「渋滞の根拠が不透明」と反発している。
計画ではSCは延べ床面積約10万平方メートル、売り場面積4万8000平方メートル。県は求める規模縮小の割合までは示していないが、横内知事は同日の定例記者会見で「協議の中で考え方を話す」と述べ、町などからの相談に応じて明らかにする考えを示した。
SCが当初計画通りで開業した場合の交通量予測によると、最も交通量が増加するのは建設予定地北側を通る昭和通りで、交通量(半日)が2万8200台と現状より9200台~1万3100台増加し、恒常的に渋滞が発生。このほかにも近くを通る甲府市川三郷線、町道378号線などで渋滞が発生しやすくなり、「道路の機能が低下する」とした。また、甲府市中心市街地の通行量が6・6%減少し、「今後予定する中心市街地再生の施策効果を損なう」と判断した。
一方、甲府市中心商店街(442店舗、年間売上高506億円)への商業的な影響はSC開業で売上高が6・5%減と試算。甲府市を商圏とする甲斐市で計画されている大型SC(事業主・ユニー、売り場面積約3万2000平方メートル)も合わせた影響では売り上げ減が9・2%程度に達するとした。
ただ、大規模小売店舗立地法が商業施設の立地規制を認めていないため、横内知事は計画見直しを求める根拠を「都市計画上の判断」と強調した。
要請を受けた昭和町の角野幹男町長は「調査結果は予想以上に厳しい」と困惑気味。ダイヤモンドシティに規模縮小の検討を打診している組合のある幹部は「納得いかない部分もあるが、計画を早く進めたい。事業者に協力を求めたい」と語った。ダイヤモンドシティ側は「渋滞緩和の方法はSCの規模縮小以外にもある」(広報)としている。
SC反対運動を展開してきた甲府商店街連盟の長坂善雄会長は「知事を評価したい。適正規模は現状の半分以下」と主張している。
日経は、昭和町のイオンSC、山梨県が町に内容の再検討を指示
山梨県は22日、イオングループのダイヤモンドシティが昭和町常永地区に計画中の大型ショッピングセンター(SC)について内容を再検討するよう、同町に通知した。交通渋滞や甲府中心街の人出の減少などが予想され、県の都市計画方針とも相反するためとしている。横内正明知事は「再検討しなければ(開業に必要な)都市計画上の手続きを進めない」と明言、規模縮小などの修正は不可欠となった。
横内知事は選挙公約以来、SC計画見直しを求める理由を「甲府市中心市街地へ壊滅的な影響がある」としていた。しかし、大規模小売店舗法上はその点を規制の理由にできないため、都市計画区域変更などの際に知事に認められた「広域調整」の権限を生かす。
県はSCが計画通りできると「都市計画に広域的な影響を及ぼす」と判断。その上で再検討を求める根拠として(1)甲府都市計画区域マスタープランなどとの整合性がない(2)周辺の幹線道路に深刻な渋滞が発生する(3)中心市街地への人の流れが年間7%近く減る――の3点を挙げた。
産経新聞山梨版では、町「渋滞の根拠分からぬ」
昭和町内でイオングループが県内最大級のショッピングセンター(SC)を計画する問題で、横内正明知事は22日、SC開業で昭和通りの混雑が現状の1.5倍になるとの試算を受け、同町に計画縮小を要請する通知を渡したと語った。町は「県の計算根拠が分からず、内容を精査し対応を検討したい」と戸惑いを見せた。
県都市計画課が公表した交通量試算によると、売り場面積4.8ヘクタールのSCが完成すると、昭和通りの通行台数(平日12時間)は2万8200台と現状より9200台増え、混雑度は1.35から2.00に跳ね上がる。このほかの混雑度では、甲府市川三郷線が0.97から1.35、国道20号は1.18から1.22になる。
また、商工労働部が参考に試算したSC完成に伴う甲府市中心商店街の売上高は6.5%減となり、横内知事は「影響は大きい」と述べた。
毎日新聞山梨版
昭和町の大型SC建設計画:県、計画見直し要請 「交通渋滞が激化」 /山梨
イオングループ「ダイヤモンドシティ」(東京都渋谷区)が昭和町で大型ショッピングセンター(SC)の建設を計画している問題で、県は22日、計画自体を見直すよう同町に要請した。県の交通量影響調査で、周囲の渋滞が一層激しくなるとの結果が出たためだが、町の調査と大幅に違う内容に、計画を進める同町常永土地区画整理組合の設立準備会は「県の調査が妥当かどうか早急に検討したい」と反発姿勢をみせた。
調査は、SCの売り場面積や現在の交通量などを参考に、計画地周辺の国道20号や県道昭和通りなど幹線道路6本で実施。その結果、休日の渋滞が特にひどく、平均速度は今より10キロ遅い約15キロで、なかでも昭和通りなど3本は従来の2倍近い渋滞が発生するとした。
横内知事は「慢性的な渋滞に見舞われれば、本来はいらない道路改修に巨額の費用を投じる必要が生じる」と見直しを要請。現在の県の都市計画で、拠点とされていないSCが建設されれば、計画で中核地区としているJR甲府駅周辺の機能が低下し、都市計画全体に悪影響が出るとした。
一方、同町は04年8月~06年11月に環境影響評価を行い、現状を大きく上回る交通渋滞は起こらないと予測。山本栄彦知事(当時)は、影響評価の内容を認めていた。
準備会の関係者は「町の予測をいったんは認めたのに、今ごろになって矛盾するような結果を出すのはおかしい」と反発するが、県都市計画課は「車の動き方まで含め詳細な分析をした結果」と説明した。
県はまた、甲府市中心商店街への影響調査も公表。SC建設などで、商店街全体の売り上げ高が全国の小売業者の利益率5・9%を大きく上回る9・2%(約46億円)減少すると予測され、相次ぐ閉店が懸念されるとした。【宇都宮裕一、中西啓介】
朝日新聞山梨版、「県、渋滞予想を根拠に都市計画変更認めず」
昭和町常永地区で進められているイオン系の大型ショッピングセンター(SC)の誘致計画で、県は22日、町が申請していた誘致のための都市計画の変更について、「周辺に渋滞発生が予想され、認められない」とする通知を出した。一方で、横内正明知事が1月の知事選で、SC誘致反対の理由に挙げた甲府市の中心商店街の活性化については具体的な方策は示さなかった。予定地の地権者団体からは「最初に結論ありきで、問題のすり替えだ」と県の対応に疑問の声も上がっている。
横内知事は同日の記者会見で、「(SC計画の変更がなければ)手続きを進めない」として、必要な県都市計画審議会への諮問をしない考えを示した。同時に、「町の再検討には対応する」として、SCの計画の規模縮小を求めた。
県は同日、SCが出店した場合の周辺交通量の予測調査結果を公表。調査によると、県道「昭和通り」では平日の交通量が現在の約1・5倍、休日には約1・9倍となり、常に渋滞するようになるほか、県道「甲府市川三郷線」でも時間帯によっては渋滞が発生するようになるという。
横内知事は、周辺に新たな渋滞が発生することや、予定地が04年5月に策定した「甲府都市計画区域マスタープラン」で商業の中心地と位置づけられていないことから、SC誘致が県の都市計画に反すると判断したという。
合わせて同日、昭和町のSCに加え、甲斐市で計画中の大型SC(ユニー、売り場面積3万2千平方メートル)までできると、甲府市の中心商店街の売上高を1割近く減少させるとの試算も公表した。
昭和町のSCはイオン系の不動産開発会社「ダイヤモンドシティ」(東京都渋谷区)が出店を計画。売り場面積は県内最大規模の約4万8千平方メートルになる予定で、県内全域を商圏に見込む。
横内知事は1月の知事選で、甲府市の中心商店街に「壊滅的影響がある」として、SC誘致反対を訴えていた。
地権者団体「昭和町常永土地区画整理組合設立準備委員会」の武井正征副会長は「県は今まで中心商店街の活性化のため、反対と言っていたのに、渋滞に理由をすり替えた」と、県に不信感をあらわにした。
同会では今後、誘致実現のため、規模縮小をダイヤモンドシティ側に提案することも検討するという。
山梨日日新聞では、
昭和町の常永地区土地区画整理事業への大型ショッピングセンター(SC)出店計画について、山梨県は二十二日、「渋滞激化など都市計画上問題がある」との調査結果を同町に示し、大型SCの規模縮小を含む計画の見直しを求めた。
調査結果の内容から、大型SC完成により、甲府市中心商店街の年間売り上げが三十三億円減少する推計も明らかになった。
県によると、大型SCはイオングループのダイヤモンドシティが計画。売り場面積四万八千平方メートル、延べ床面積九万七千平方メートルの予定で、完成すれば県内最大の商業施設となる。
この日は小野忠県土木部長らが昭和町役場を訪れ、角野幹男町長に調査結果内容と計画の見直しを求める要請書を提出。角野町長は「計画を推進する事業組合と相談して対応したい」と述べるにとどめた。
大型SC出店による交通量影響調査の結果では、昭和通り(県道)で許容交通量の二倍に達するなど慢性的な渋滞が起きるほか、甲府市中心街を訪れる人が年間約百六十万人(6・6%)減少すると予測。「渋滞解消に巨額の投資が必要で、計画的な基盤整備を阻害する」と結論づけた。