【承前 TPPに関する山本太郎議員の質問主意書】
山本太郎議員のホームページで公開されていた 環太平洋経済連携協定(TPP)に関する質問主意書 に安倍晋三総理の答弁が掲載されています。
平成25年8月19日現在-参議院質問主意書・答弁書一覧 第184回国会(臨時会)(平成25年8月2日~平成25年8月7日)で掲載されていましたので、PDFファイルを確認し、これをテキスト化しようと考えながら山本議員のページを確認したら既に掲載されていましたので、それを使わせていただきました。
答弁を質問文中に挿み込んだのは編者です。山本議員は「詳しい内容の解説は後日あらためて掲載いたします。」とお書きになっていますので、引き続きホームページを確認するつもりです。
なお、PDFファイルの各ページを画像化してこの記事の末尾に置きました。答弁中の年月日は漢数字からアラビア数字に変換しました。
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定(以下「TPP」という。)及び日米並行協議に関して、以下のとおり質問する。
1 日米間の協議結果の確認に関するマランティス米国通商代表代行発返書(平成25年4月12日)について、「TPP交渉と並行して、保険、透明性/貿易円滑化、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、急送便及び衛生植物検疫措置の分野における複数の鍵となる非関税措置に取り組むことを決定しました」とあるが、具体的には、どのような非関税措置について議論をしたのか。
それぞれの分野にはどのような非関税障壁があると米国は主張しているのか、示されたい。
また、「非関税措置について達成される成果が、具体的かつ意味のあるものとなること、また、これらの成果が、法的拘束力を有する協定」等を通じて実施されるとしているが、法的拘束力の中身はどのようなものなのか、示されたい。
一について
我が国の環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定交渉参加に関する日米間の協議の結果、日米間で取り組むこととなった非関税措置は、当該結果を確認する佐々江米国駐箚特命全権大使発さつマランティス米国通商代表代行宛ての本年4月12日付けの書簡(以下「日本側書簡」という。)及び同通商代表代行発同大使宛ての同日付けの返書(以下「米国側返書」という。)に明記されている九つの分野に係るものであるが、米国の主張等の詳細については、相手国との関係もあり、お答えを差し控えたい。また、お尋ねの「法的拘束力の中身」については、その意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。
2 日米間の協議結果の確認に関する佐々江駐米大使発書簡(平成25年4月12日)について、「2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認しました。」と表明されている「高い水準の協定」とは、具体的に何を指すのか。
二について
御指摘の「TPPの輪郭」が日本側書簡及び米国側返書にある御指摘の「包括的で高い水準の協定」の内容を示していると認識している。
3 我が国のTPP交渉参加に関するマランティス米国通商代表代行発米国下院議長・上院仮議長宛書簡(平成25年4月25日)について、「日本との二国間協議においては、TPP交渉参加国が追求している高い水準で包括的な目標を追求することについての日本の用意に焦点を当てた。我々はまた、交渉が進んだ段階に達しており、TPP各国は交渉を本年妥結させることを目指していることから、日本の参加が交渉を遅らせることがないことを確保することについても焦点を当てた。これらに対し、また、これらを完全に認識した上で、日本は、交渉に前向きかつ建設的に参加することを確認した。」とあるが、この「完全に認識した」とは、誰が、いつ、どのような形で、具体的にどのような交渉内容を「完全に認識した」のか。
また、「日本はまた、全ての物品(農産品と工業製品の双方)を交渉の対象とすること、及び他の交渉参加国とともに高い水準で包括的な協定を本年達成していくことを確認した。」とあるが、農林水産分野の重要5品目などの「聖域」もこの時点で交渉の対象にすると同意していたのか。
三について
米国政府の書簡の内容について、我が国としてお答えする立場にない。また、お尋ねの「この時点で」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国のTPP協定交渉参加のための日米間の協議で合意した事項については、日本側書簡及び米国側返書に記されているとおりであり、それ以上の詳細については、お答えすることは困難である。
4 本(2013)年6月16日付けの産経新聞が「米国が難色を示していた遺伝子組み換え食品の表示義務を受け入れる方針であることが分かった。」と報じているが、これは事実か。事実とすれば、これは日米二国間だけの合意なのか。あるいは、TPP交渉参加国全てに対して米国が受け入れた合意なのか、明らかにされたい。
四について
お尋ねの報道については承知しているが、交渉に係る個別具体的な内容については、お答えを差し控えたい。
5 米自動車政策会議のマット・ブラント会長が「為替操作を禁止する強力で強制力を持った規則がTPPに盛り込まれる必要がある」と発言し、TPPに為替操作に対する新たな規定を追加するよう米国下院議員226名が署名してオバマ大統領へ書簡を送った。
フロマンUSTR代表も「為替操作は重要な懸念事項」と発言しているが、為替操作に対する規定の議論が日米並行協議の中で出ているのか。
為替操作に対する規定が盛り込まれれば、金融政策に対する内政干渉となり大問題であると思うが、この点について、政府の見解を明らかにされたい。
五について
日米両国政府がTPP協定交渉と並行して行う自動車貿易に関する交渉は、日本側書簡の附属文書である「自動車貿易TOR」に従って行われているが、それ以上の詳細についてはお答えを差し控えたい。いずれにしても、我が国として国益を最大限実現するために全力を尽くす考えである。
6 本(2013)年4月19日、米国シンクタンク戦略国際問題研究所で開催された講演会において、麻生太郎副総理が、「水道というものは、世界中ほとんどの国では、プライベートの会社が水道を運営しているが、日本では自治省以外ではこの水道を扱うことはできません。しかし水道の料金を回収する99.99パーセントというようなシステムを持っている国は、日本の水道会社以外にありませんけれども、この水道は全て国営若しくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します。」と水道民営化に言及している。
1 TPPでは政府調達の分野も含まれており、外国企業の参入を拒めなくなるはずである。水道のようなライフラインを外国企業に買収されてしまえば国家安全保障に関わる問題となる。この点について、政府の見解を明らかにされたい。
六の1について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、交渉に係る個別具体的な内容については、お答えを差し控えたい。いずれにしても、我が国として国益を最大限実現するために全力を尽くす考えである。
2 米国には国家安全保障を脅かす外国企業の活動を制限できるエクソン・フロリオ条項があるが、日本版エクソン・フロリオ条項のようなものの導入は検討していないのか、政府の見解を明らかにされたい。
六の2について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「日本版エクソン・フロリオ条項」が具体的にいかなるものを指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
3 愛媛県松山市において、ヴェオリア・ウォーター・ジャパン株式会社への水道事業の業務委託が始まっている。松山市は業務委託によって水道料金が値上がりすることはないとホームページで公言しているが、同ホームページによれば、平成25年度から平成28年度にかけて水道料金の大幅値上げが計画されている。ヴェオリア・ウォーター社が参入したことと、この料金値上げとの間に本当に関連性はないのか、政府の見解を明らかにされたい。
六の3について
水道料金は、水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)の規定に従い適切に定められているものであるが、その設定には様々な要因が影響するものであることから、御指摘の「関連性」について、政府としては、一概にお答えすることは困難である。
右質問する。
2013年8月18日 元農林水産大臣 山田正彦さんのブログ記事-「TPPについて大変重要な手紙が米国のパブリックシチズンのローリー・ワラックさをから私あてに15日faxで届きました。」 「今度のブルネイでの交渉が日本にとって最初で最後の交渉になるのではないかと書かれています。」
2013.03.05 TPP「投資条項」の漏出文書について を書いた時に役立ったのが 「リーク文書を掲載している市民団体パブリック・シチズン」 という情報でした。
◇ 2013/08/20 IWJブログ:「『聖域』を守るという自民党の公約や決議は、各国の交渉官にほとんど知られていない」 ジェーン・ケルシー教授、ロリ・ワラック氏が、日本のTPP交渉に渾身の提言! は山田正彦さんが受け取ったFAXの原文と邦訳を紹介する記事です。
◇ 2013年08月19日、過保護は大ウソだった 日本の農業が衰退した本当の理由
◇ SankeiBiz(サンケイビズ)、TPPブルネイ会合 閣僚協議で交渉加速、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉会合が8月22日にブルネイで開幕する。今回は閣僚による会合も22、23日に実施し、日本を含む12カ国は関税など難航する分野の協議の加速を狙う。日本は甘利明TPP担当相が出席する。
◇ TPPブルネイ交渉に大抗議!宣伝とリレートーク