森ゆうこ文部科学副大臣記者会見録(平成23年12月1日)がテキスト版も公開されましたので、給食の放射能基準騒動と文部科学省通知の内容 に関連した部分だけを引用しておきます。
35分53秒の録画の中で、15:31 頃からこの質疑応答になります。
記者)
副大臣、すみません。学校給食の放射線に関する検査事業なんですけれども、昨日、17都県に通知をされまして、購入機種の選定に当たって、「検出限界は40ベクレル・パー・キログラム以下とすることが可能な機種とすること」とか、例示として40ベクレルを検出限界とした場合の対応等が出されましたけれども、これは文科省として40ベクレルというのを目安として、これを上回る食材は給食では使わないようにというそういうその方針を示したと考えてよいのでしょうか。
副大臣)
ええ、そのように考えていただいて結構です。
記者)
その場合、この17都県以外の西日本とか北海道の対応はどうするのでしょうか。
副大臣)
放射性物質の事前調査につきましては、3次補正で事前の食材の検査ということについての機器購入の助成金という形で要求をして参りまして、対象が17都県ということになりました。もちろん、もう既に私のところにも、なぜ全国でやらないのかというようなお声も既に頂戴をしているところでございますけれども、3次補正成立を受け、この予定をしておりました事業をできるだけ早くスタートすることがまず重要であるというふうに考えて、このような形で実施をさせていただきました。
なお、先日も申し上げましたように、これと並行いたしまして給食の丸ごと1食ミキサー検査、これはできるだけ全国的に実施ができるように、今、予算の調達に努力をしているところでありまして、もちろん今、御指摘がありましたように、全国一斉にできればよかったんですけれども、より心配な地域といいますか、そういうところをまずは優先させていただいたということで、予算の制約の中、早く事業をスタートをさせると、そして、こういう要綱、文科省としての考え方をお知らせするということが重要であるというふうに思って始めさせていただきましたので、このことについて、是非他のところでも御参考にしていただければというふうに思います。
記者)
その目安は、適用としてはいつからということになるのですか。現在、厚労省が暫定規制値の。
副大臣)
いや、これは今、厚生労働省が行っております暫定規制値とは、また今、新たに検討しております規制値と違いまして、あくまでも考え方、目安というものを示しさせていただいたということでございますので、参考にしていただきたいということです。
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記者)
副大臣、すみません。給食の話なんですけれども、目安と基準というのは、理解の中では違うということなのですか。つまり、基準というのは、まだ食品安全委員会で示されていない中で、あくまで目安ということなのか、これはどのように理解すれば。つまり、給食といった場合、全国的に実施されているもので、今回の17都県というのは、いわゆる今回の3次補正に関わるところのみですよね。副大臣の頭の中では、ひょっとしたら全国というものがおありなのかもしれないけれども、通知をただ素直に読めば、17都県、しかも機器の購入に当たっての、どちらかというと機器の性能を示したもののようにも読み取れる文章なんですけれど、なかなかあれをもってして、「給食の目安です」と言われても、ちょっとピンとこない部分が正直あるんですけれど、そこは率直なところ、どのように理解されているんでしょうか。
副大臣)
そうですね。やはり基準値ということになりますと、いろいろな手続が必要でございます。
ただ、一方、文部科学省として、この事業についての助成金を出すというからには、じゃあ、出てきた放射線についてどのように対応すればいいのか。もちろん、「給食の設置者であります実施者が、それぞれ御判断をいただくべきことです」という回答で終わってもよろしいんですが、それではあまりにも不親切といいますか、そういう意味で、今、来年の、その今の基準値、もう既に5分の1にするということが、今までの暫定基準値5ミリ・パー・イヤーというものから1ミリ・パー・イヤー、それでも高過ぎるという御批判もあるわけですけれども、一方でそのようなことで、今、基準の設定が進んでいるということもございますので、それをある意味先取りした形で目安としてお示しをした。あくまでも実施者において、それは御判断をいただくものでございますけれども、目安として示させていただいたということでございます。
記者)
関連して、先取り、厚生労働省の見直しが確定するより先行して、こういう数値を示した理由は何なのですか。
副大臣)
それは、子どもたちが食べるものだからです。
記者)
それは、子どもたちが食べるものを優先する政策判断のために、時間的に早く進めたと。
これまでの副大臣の発言の流れをたどってみると、あまりこういう独自の規制値というか、数値を示すということには、ちょっと慎重だったと思うんですけれども、突然こういう。
副大臣)
突然ではないんですね。
記者)
事業実施に当たって数値が出てきたので、この間、どういう政策判断があったのでしょうか。
副大臣)
ありがとうございます。私自身は、突然ではないんですけれども、これを実施するに当たっては、いろいろな留意点等々、文科省としての考え方も示さなければならないというふうに申し上げてきたと思います。ただ、独自の基準値という、規制値といいますか、それを示すことはなかなかというお話は、させていただいてきたというふうに思います。
ただ、もう私が申し上げるまでもなく、放射能の影響に対して非常に感受性が高い子どもたち、そして、その子どもたちが教育の一環として食べる給食、その影響の大きさを考えますと、やはり既に新たな規制値というものが準備をされている段階で、じゃあ500ベクレルでいいのか、500ベクレル以下だったらいいのかということでは済まないという中で、目安としてこのような数値を示させていただいた。繰り返し申し上げますけれども、放射能弱者である、つまり放射能感受性の高い子どもたちが食べる、一日の中で大変大きな部分を占める非常に重要な給食であるからこそ、このような形で判断させていただいたところでして、その政策判断の過程というのは、詳しく申し上げるつもりはございませんけれども、私の中では当初から、そういう目安は示したいというふうに思っておりましたけれども、調整するのに少し時間がかかったのかなというところです。
記者)
学術的な見地からの助言とか、そういうアドバイスというのは受けたのですか。
副大臣)
新しい規制値は5分の1にするということは、既に専門家で議論をしていただいた食品安全委員会から、そのように示されているというふうに思います。
記者)
特に厚労省内での検討に加えて、文科省として独自に学術的な外部からの検討を加えたということはないんでしょうか。校庭とか園庭に関しては、確か原子力安全委員会とか、そういうところにある程度、相談しながらやってこられたと思うのですけれども、今回のこれはどうなんでしょうか。
副大臣)
何か問題がございます。
記者)
いや、そういうプロセスをちょっと一応政策判断を知る上では、やはり検証する必要があると思うんですけれども、どうして決まったのかというもの、これはやはり市民として知りたいと思うのですが。
副大臣)
ですから、先ほどから申し上げておりますように、現時点において新たな規制値の検討が行われておりまして、その中では、検出限界については、飲料水、牛乳、乳製品の現行の暫定規制値200ベクレルの5分の1ということで設定をさせていただきました。
記者)
では、特にそういう専門家の方の意見というのは、文科省独自には聞いたりは、今回の設定に当たってはしていないと。
副大臣)
文科省独自には聞いておりませんけれども、既に年間1ミリシーベルトに新たな基準値を設定するということで、厚生労働省で検討が進んでおりますので、先ほども申し上げましたけれども、飲料水、牛乳、乳製品の現行の暫定規制値200ベクレル・パー・キログラムの5分の1の40ベクレル・パー・キログラムを設定させていただいた、検出下限としてということです。
記者)
目安としての40にしても、規制値が実際に変わらない限りは、40を超える食材も市場に出回ると思うのです。
副大臣)
ええ、そうですね。
記者)
ただ、こういう目安が示されると、学校とか自治体は、なるべく40に抑えようとはすると思うのです。
副大臣)
是非そうしていただきたいと思います。
記者)
ですが、この機器の補助では、1件当たり5台ですよね。かなり検査体制が混乱したりしないかというおそれは、考慮されなかったのでしょうか。
副大臣)
全ての食材を測れればいいんですけれども、なかなかそこまでいかなかったということでございますけれども、厚生労働省、そして農水省の方でも、あるいはそれぞれの都道府県独自に、それぞれ食品の検査の体制が整ってきているというふうに思いますので、今回のことで更にきちんとした検査が進められればなというふうに思います。
記者)
これは、全国の都道府県に発出することはできなかったのでしょうか。
副大臣)
それは、あくまでも今回の通知は、3次補正の成立を受けて、この事業の助成・補助を受ける、その申請をこういう形でという通知でございますので、残念ながら、全国に対しては発出しておりません。
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記者)
給食に再度戻るのですが、その40を目安とするという考え方を、改めて全都道府県に通知するというお考えはないのでしょうか。この今回の17都県に対する通知だけじゃなくて。
副大臣)
給食の事後チェックの調査の範囲がどこまでできるのかということと併せて、そういうこともできればいいなというふうに思っておりますが、何せ3次補正で要求していなかったプラスアルファの部分ですので、今、予算ができるだけ確保できるように最大限の努力をしておりますので、今日の時点では、すみません。
記者)
それは、事後チェックと組み合わせなければいけない理由というのはあるのでしょうか。事後チェックの事業とか。
副大臣)
助成金を出していないのに、何か「これに」というふうなことが、なかなかというふうに。私だけの判断でできない部分がございます。相談してみたいというふうに思います。
この間、様々な食品の暫定規制値超えというものが、次々に明らかになっております。食品の監視体制というのは、徐々に強化はされてきてはおりますけれども、一方で、本当に安全なのかという不安、それは特に小さいお子さんをお持ちであるお母様方、お父様方、保護者の皆さん、大変不安を抱いていらっしゃるということで、先ほども、自治体からいただきました新たな要望として、やはり食品の安全確保、その環境整備に全力を尽くしてほしいという御要望をいただいたところでございます。
私は、これに関してもっと早く実施をしたかったなという気持ちですけれども、今回こういう形で、まずは実施をさせていただける。それから、遅ればせながらでございますけれども、もう既に各自治体でどんどん取組が始まっております。そういう意味で、我々の考え方を初めてお示しすることができた。今、いろいろな御質問を頂戴いたしましたけれども、子どもたちを放射能から守るその対策、できるだけの対策を、しかも迅速にやるべきであるというふうに思いますので、今後とも全力を尽くして参りたいというふうに考えております。
(了)
それぞれ質問した記者達の所属する新聞社が不明なのが残念です。
森さんが「ありがとうございます、」とおっしゃってから答えられた意味は含みが深いと感じました。森さんのような方が現状のような政策決定のプロセスの中で、どのように考え行動されているかを考えさせられます。
国民主権、あるべき政治主導について考えている優れた政治家を守るのは国民しかないことを痛切に感じます。ですから政治のレベルは有権者のレベルだと言われるのでしょう。
森さんが「何か問題がございます。」と受けられた記者の質問、「プロセス」とか「市民」という言葉を使う記者、私もよくこの言葉は使います。しかしここで記者の使い方と私のそれとは異なるように感じます。「村の有力者達」と相談することが「プロセス」なのでは無い。東京第5検察審査会疑惑の時にも、これが「市民の意思」とか書いていた記事があったことを私は忘れてはいません。自分達の都合よく「市民」をだしにしているだけの連中が、政治のレベルを落としてきた現実がないかどうかを、しっかり考えねばなりません。間もなく12月8日。
中川正春文部科学大臣記者会見録(平成23年12月2日)のテキスト版が読めましたので追録しておきます。
記者)
昨日、森副大臣の会見で、学校給食の測定機器の中で、40ベクレル以下というスタンスの話をしていたんですけれども、今日、厚生労働省の方でそれについて否定していたように把握しているんですが、1キロ当たり40ベクレルは文科省は目安として示したというふうに言っていいのか、もう一度確認させていただきたいのですけれども。
大臣)
大分説明に誤解があったというか、受け止め方が、ちょっと我々が意図していたところと違ったようでして、見出しが違っていて、中身はうまく説明はしていただいているんですけれども、見出しが違っているということですね。
あれは17県、1県当たり5つという目安で、いわゆる機種にそれぞれ補助金を出すわけですが、放射能の測定機器に対して。しかし、どれぐらいの精度のものを買ってもらうということが、実際周辺の人たちに対して、信頼度が出てくるかということだと思うんです。
非常に精度が高過ぎるといわゆる価格も高いものになるし、あまり精度のよくない、いわゆる低いものになると、せっかく機器を備えても実際の安心感につながっていかないということであるものですから、一応目安を作っていかないといけないなというので、その機器の目安なんですね。それが40ベクレル以下のところまでは、だから40ベクレルまでは計れるような、そういう機器にしてくださいということですね。
機種としては、「NaI(TI)シンチレーションスペクトロメーター」というんですかね、これを原則として買ってくださいと。それの精度というのが40ベクレル・パー・キログラム検出限界、これが以下ということでお話をしたということなんですが、この40ベクレルというのが独り歩きしてしまったということです。
記者)
関連ですけれども、森副大臣は、「目安としていいのか」という質問があったんですけれども、「そう受け取ってもらって結構だ」というお答えをされたんですけれども、大臣が修正されるということですか。
大臣)
いや、これは基準と違って、これが目安ですよということを言いたかったんだろうと、基準とは違うということを言いたかったんだろうと思うんです。
記者)
ただ、それは学校給食における内部被ばくの一定の目安として受け止めていいのかという趣旨の質問だったと思うんですけれども、それはあくまで修正に当たっての目安だということですか。
大臣)
そう、機種選定の目安で申し上げたということなんですが、もう一つ、その基準そのものは、今、厚生労働省でもう一回見直しということで作業はしています。ですから、最終的な厚生労働省の基準に基づいて、現場では諮った結果、対応をしていくということになっていくと思います。
ただ、厚生労働省の方向としては、5ミリシーベルトから1ミリシーベルト、年間ということで、ぐっと下げていますので、そのことを前提にして機械の精度もこれぐらいのものにしないと、厚労省の基準を前提にした中で信頼度が出てこないだろうという、そういう予測はしていますよ。そういう予測はしていますけれども、これが基準との関わりの中で、これが基準になりますということではないということです。
(了)
質問をした記者の意図は何処にあるのでしょうか。
前記事に書いた茨城県常総市教育委員会のように、すでに 30Bq/kg の検出下限で測定して、検出された食材は給食メニューから外すとしている自治体もあります。
上からの指示待ちでしか動けない、動かないような、子供たちを守るにはあまりにも脆弱な行政システムに対して、ジャーナリズムとして警鐘を鳴らしたいと壮大な意図を持った質問なのでしょうか・・・そうであって欲しいと私は思います。