10月下旬に京都大学宇治キャンパスの公開イベントが行われました。山中教授がノーベル賞を受賞した後だったせいか、宇治キャンパスには医学部の施設がないのに、これまでよりもたくさんの人出でした。
私の目当ては樹木に関する講演。今回、「木をみて木にまなぶ」「大気の環境変動と森林の関わり」という2つの講演を聴講してきました。
その中で興味深かったのは、前者の講演の仏像と木材の話。日本の仏像はほとんどがクスノキかヒノキで作られているのですが、京都の広隆寺にある国宝・弥勒菩薩像だけはなぜかアカマツで作られているそうです。
広隆寺の弥勒菩薩像(東京国際博物館アーカイブより)
当ブログでも以前ご紹介しましたが、朝鮮半島の主要木材はアカマツで、日本のヒノキのような存在。また、広隆寺を創建したのが百済から渡来した秦氏であることから、朝鮮で作られた弥勒菩薩を持ち込んだのではないかと言われているのです。
しかも、この独特のポーズの弥勒菩薩像は朝鮮半島にもたくさんあって、その一つ(金属製)は韓国の国宝。講演で写真を見ましたが、そっくりそのままでした。
ところが、後になって像の背中の一部にクスノキが使われていることが判明。クスノキは朝鮮半島には存在しないことから、謎が深まったのです。
メイド・イン・ジャパンかメイド・イン・コリアか、学者の間ではまだ決着がついていないようですが、私はメイド・イン・コリアと推測しました。
その根拠はコウヤマキ。古代の日本では棺にコウヤマキを使いました。日本特有種ですが、朝鮮半島でもコウヤマキ製の棺が発掘されています。つまり、日本と朝鮮半島の間では、木材の輸出入が行われていたので、弥勒菩薩にクスノキが使われていても不思議はない…。
こういう推測が勝手にできるところが考古学の面白さなんでしょうね。
私の目当ては樹木に関する講演。今回、「木をみて木にまなぶ」「大気の環境変動と森林の関わり」という2つの講演を聴講してきました。
その中で興味深かったのは、前者の講演の仏像と木材の話。日本の仏像はほとんどがクスノキかヒノキで作られているのですが、京都の広隆寺にある国宝・弥勒菩薩像だけはなぜかアカマツで作られているそうです。
広隆寺の弥勒菩薩像(東京国際博物館アーカイブより)
当ブログでも以前ご紹介しましたが、朝鮮半島の主要木材はアカマツで、日本のヒノキのような存在。また、広隆寺を創建したのが百済から渡来した秦氏であることから、朝鮮で作られた弥勒菩薩を持ち込んだのではないかと言われているのです。
しかも、この独特のポーズの弥勒菩薩像は朝鮮半島にもたくさんあって、その一つ(金属製)は韓国の国宝。講演で写真を見ましたが、そっくりそのままでした。
ところが、後になって像の背中の一部にクスノキが使われていることが判明。クスノキは朝鮮半島には存在しないことから、謎が深まったのです。
メイド・イン・ジャパンかメイド・イン・コリアか、学者の間ではまだ決着がついていないようですが、私はメイド・イン・コリアと推測しました。
その根拠はコウヤマキ。古代の日本では棺にコウヤマキを使いました。日本特有種ですが、朝鮮半島でもコウヤマキ製の棺が発掘されています。つまり、日本と朝鮮半島の間では、木材の輸出入が行われていたので、弥勒菩薩にクスノキが使われていても不思議はない…。
こういう推測が勝手にできるところが考古学の面白さなんでしょうね。
木材も行き来していたということですが、昔の人も「舶来」ものには魅力を感じたのでしょうかね。
アカマツが朝鮮半島では重宝されている話は何かの本でも読んだことがありますが、日本ではそこまでの材ではないと思い、国によって木も扱いが違うのも面白いです。