樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

桂祭

2013年05月27日 | 木と宗教
京都三大祭のひとつ、葵祭を見てきました。京都市や宇治市に住んで40年になりますが、わざわざ見に行くのは初めて。
人の多い所が苦手で、祇園祭も時代祭もほとんど出かけたことがありませんが、葵祭にカツラの葉が使われていると知って、人の少なそうな北大路通りまで足を伸ばしました。
御所から下鴨神社を経て上賀茂神社まで練り歩く都人の頭や胸に、アオイの葉とカツラの葉で作った鬘(かずら)が飾られています。



なぜ、葵祭にアオイの葉とカツラの葉が使われるのか? 調べてみると、下鴨神社と上賀茂神社の縁起に行き着きます。
下鴨神社に祀られているのは、古代の京都を拓いた賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)と、その娘である玉依媛命(たまよりひめのみこと)。
玉依媛命が鴨川で禊(みそぎ)をしていると、上流から一本の矢が流れてきた。それを拾って床に置いたところ、矢が美しい男神となって結ばれ、賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)が生まれた。これが上賀茂神社のご祭神。
しかし、賀茂別雷命は雷鳴と共に天へ上ったため、玉依媛命はわが子に会えなくなった。再会を願う母の夢に賀茂別雷命が現れ、「アオイとカツラの葉で蔓(かずら)を作り、祭事に飾って待てば現れる」と告げた。
果たして、その通りにすると賀茂別雷命が降臨して再会が叶った。以来、賀茂の祭にはアオイ(フタバアオイ)とカツラの葉を飾るようになったそうです。


アオイの葉は萎れ、カツラの葉だけが目立ちます

アオイの葉は徳川家の家紋で知られていますが、あのハート形の葉はカツラとそっくり。よく似た葉の形に何か由来があるのかも知れません。


わが家のカツラ

私はカツラが大好きで、樹木に関心を持つきっかけもこの樹でした。わが家のシンボルツリーとして玄関にも植えています。カツラファンとしては、「葵祭」ではなく「桂祭」という名前にしてほしいのですが、無理かな~(笑)。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2013-05-27 07:41:58
おはようございます
私もカツラはなぜか妙にひかれるものがあります。
カツラが大好きということで、円山公園に1m以上のカツラが何本も見やすい場所に生えているので、札幌にいらした際はでは、まずは円山公園で樹木ウォッチングしましょう(笑)。

人ごみは私も苦手ですが、昨年東京の桜を見に行って、人ごみも悪くないなと思いました。
私の場合、行った先が込んでいるのは構わないけれど、その途中が込んでいるのが嫌なだけかもしれない(笑)。

で、「カツラマツリ」だと、「ツ」が2回出てきて音が強すぎて若干響きがよろしくないかな、と、あくまでも言葉上からは思いました(笑)。
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やっぱり (fagus06)
2013-05-28 07:41:11
「カツラマツリ」は無理ですかね~。名称変更はあきらめます(笑)。
私は、まだ樹木に関心がない頃、近くの公団住宅の緑地にカツラが植えてあって、丸い葉がヒラヒラ風に揺られているのを見て、「ヨーロッパの森に生えていそうな木だな」と思いました。そのカツラの下に座ってビール飲んだりしていました。
樹木の心地よさをその時に感じました。その後、栃の森の樹木の名前を憶えたいと思ったのがツリーウォッチングのきっかけです。
カツラがヨーロッパ原産ではなく日本固有種と知って意外でした。考えてみると、あんなに巨木になる樹種で葉が対生というのはちょっと珍しいですね。
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