十と八を組み合わせると「木」になるので、10月8日は「木の日」。これに因んで、京都のある材木屋さんが「銘木見学会」を催されたので参加してきました。
幕末には坂本龍馬をかくまったことでも知られる創業290年の老舗で、以前も当ブログで取り上げました。主に茶室や寺院建築に欠かせない銘木を扱っておられます。現在、除夜の鐘で有名な知恩院の修復工事にも木材を供給されているそうです。
いつもは建築関係者や大工さんなど専門業者しか入れない材木置き場や加工場の中を歩きながら、貴重な木材や北山杉の磨き丸太を見せていただきました。
材木置き場
北山杉の磨き丸太
説明の中で私が面白いと思ったのは、木を製材する際、たまに中に金属物が含まれていて、帯ノコが「チン」と音を立てるそうです。その原因は、猟師が放った銃の弾か、誰かが打ち込んだ呪いの五寸釘。銃弾はもちろん自然の森に自生していた巨木に、五寸釘は神社の境内にあった巨木に多いとのこと。
最近も丹波地方で買い付けたケヤキの巨木の製材中に「チン」と音がして、調べると林業用の針金が食い込んでいたそうです。金属が含まれていると、木取りの効率が悪くなるだけでなく、帯ノコも弁償しなければならないので、材木屋さんには大損。一種のギャンブルですね。
針金が食い込んでいたケヤキを製材したもの
値段がつけられないという屋久杉の銘木や天井用の吉野杉、秋田杉などは撮影禁止。素人には分かりませんが、プロが見るとその価値が分かるからだそうです。
撮影OKの屋久杉の銘木
きれいな縮み杢が表れたトチノキ
二条駅近くに材木屋さんが集中しているのは、国鉄時代に全国から木材が集荷され、ここに木場があったからだそうです。それまでは、淀川や保津川から運河を経由する船便でしたから、高瀬川沿いの木屋町が集荷場所でした。物流手段の変化によって木場も変わったわけですね。
撮影禁止の材の理由を聞いて納得しました。
もちろん私も見ても分からないでしょうけど(笑)。
また金属の音がするというのはリアルだなと思いましたが、でも銃弾は想像できても五寸釘はまだそういうことがあるのかと少々驚きました。
読んでいてこれはのこぎりに当たるとまずいのだろうなと思っていたらその通りでした。
私も草刈り機で石に当てて刃をダメにしてひんしゅくを買ったことがあります・・・
いずれにせよ木はいいですね。
そのケヤキの釘は五寸釘ではないのですか?
数百年前ならそういう風習が一般的に行われていたでしょうから、入っていても不思議ではないですね。
この日は「天井材」というテーマで、主にスギの銘木を見せてもらいながらいろんなお話を聞きましたが、私にはこの五寸釘と銃弾の話がいちばん面白かったです(笑)。
この材木屋の女主人は、「製材の最中にチン!と音がするとガクッとなる」と言ってました。買い付けの際は外見で判断するようですが、中身までは見えないですからね。
見学会場には木の香りが漂っていて、いい感じでした。
ギタバさんも草刈り機の歯を壊さないようにしてくださいね(笑)。
数百年前には今のような丸い5寸釘はありません。明治までの釘は和鉄を鍛えた断面が四角の釘なので、見ればわかるのですが、物置の奧に立てかけてあるので簡単に確認できないのです。
ところで、高校時代、田舎の神社の裏の松の木に、5寸釘がたくさん打ち付けてあり、その下に藁がいっぱい落ちていたのを見たことがあります。丑の刻参りが、自分の身近でも行われていたのを知り、ぞっとしたことを思い出しました。
清水神社の境内に、釘の跡が残っているスギがあるというので、見に行ったことがあります。このブログでもだいぶ前に取り上げました。
昔の釘、お寺の修復工事のテレビ番組で見たことあります。えらく大きな、カスガイみたいな釘でした。