樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

カラタチの邸宅

2008年01月23日 | 木と歌
カラタチという樹があります。中国から渡来した柑橘類なので唐橘(からたちばな)、さらに略してカラタチと呼ばれるようになったらしいです。
この名前を聞いて、島倉千代子の「からたち日記」を思い出す人は私とほぼ同世代でしょう。
   ♪~こころで好きと叫んでも 口では言えず ただあの人と
      小さな傘をかたむけた あゝ あの日は雨 雨の小径に白い仄かな 
      からたち からたち からたちの花

       
        (カラタチの生垣。撮影中もトゲが頭にからんで痛かった)

私よりもう少し上の世代は、北原白秋の「からたちの花」を思い出されるでしょう。
   ♪~からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ
      からたちのトゲは痛いよ いい針のトゲだよ
白秋も書いているように、この樹には鋭いトゲがあって、昔は獣を防ぐために畑の周囲に植えたり、防犯のために人家の生垣にしたそうです。
そのカラタチの中国名は、枳殻(きこく)。この名前を冠した「枳殻邸」という名勝が京都駅の近くにあります。正式名称は「渉成園(しょうせいえん)」ですが、生垣にカラタチを植えたので別名「枳殻邸(きこくてい)」。

       
         (枳殻邸は敷地1万600坪の池泉式回遊庭園)

私は京都市内から車で帰る時、この「枳殻邸」の前を抜け道にするのですが、先日初めて電車と徒歩で行ってきました。車では気づきませんが、確かに周囲の一部にカラタチが植えてあります。
この「枳殻邸」は広い庭園に茶室や書院など珍しい建物が10棟ほど点在していて、観光客も少なく、ゆっくりと見学できます。京都の穴場スポットとしてお勧めします。
カラタチは生垣以外にも柑橘類の台木として利用されるようで、ミカンの実りが早く、病気にもならないそうです。
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6 コメント

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枳殻邸 (bulbul)
2008-01-24 05:05:44
 ちょっと変った建物があったりして面白いところですね、たまにどこかの局のモーニングショウのお天気カメラみたいのに出てきます。ここ一時期サギのコロニーになってました。近くなのにもう何年も見に行ってないけど...、追っ払われたんでしょうね、
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一説では、ここは (fagus06)
2008-01-24 08:25:23
「源氏物語」の光源氏のモデルになった源融の六条邸という話ですが、施設のパンフレットでは否定していました。
サギのコロニーらしきものは、私が行ったときは見当たらなかったですね。以前はもっと荒れていたそうですが、その頃の話ですか?
観光地化されていないので、また春にでも行ってみようと思っています。そういえば、テレビの対談番組をここでやっていたのを思い出しました。
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サギのコロニー (scops)
2008-01-24 22:39:45
ここは確か、ゴイサギのコロニーがありました。
十数年前になるのでしょうか、東側がうっそうとしていて、まだ拝観できなかった頃だと思います。

こんなに綺麗になったのはいつごろかは知らないんですが、そんなに昔じゃないと思うんですがね・・・
確かにここは京都観光の穴場です。
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ここは東本願寺の飛び地 (fagus06)
2008-01-25 07:41:07
になっていて、現在も東本願寺が管理しています。徳川家光が寄進した土地だそうです。
そうですか、昔は拝観できなかったのですか。今はきれいに管理されて、東側(河原町通り側)と北側に少し雑木林がありますが、ほとんどは庭園としてゆったり歩けるようになっています。
scopsさんもぜひ一度訪れてみてください。
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からたち (guitarbird)
2008-01-29 08:47:11
こんにちわ
カラタチといえば、北原白秋を最初に思い出しましたが、
島倉千代子にもそんな歌がなかったですか・・・
うちは両親が歌謡曲が大好きで小さい頃は聞くでもなく
耳にしていました(笑)。
1枚目の写真の茎(枝?)の曲がり方がちょっとだけ
ヤドリギみたいと思いました。
それと、こういう庭園というのは一度じっくり見てみたいです。
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そう言えば (fagus06)
2008-01-30 08:41:31
ヤドリギに見えますね。ヤドリギは痛くないですが…。
記事にも書いた島倉千代子の歌は、私も小学生低学年の頃、ラジオで聴いた覚えがあります。昭和33年のヒット曲らしいです。
その頃はもちろん、この庭園に行くまで、カラタチの実物を見たことがありませんでした。
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