樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

丘の上のおバカさん

2006年09月26日 | 野鳥
この時期、バードウォッチャーは「タカの渡り」を見るためにあちこちに出かけます。
サシバとハチクマという種類のタカは、春、東南アジアから渡ってきて、日本で繁殖して子育てし、秋にはまた東南アジアに帰って行きます。その姿が、場所や日によっては1日に何千羽も見られるのです。

      
      (サシバ。幼鳥だそうです。翼の先から先まで115cm。)

      
      (ハチクマ。暗色型の幼鳥。翼の先から先まで135cm。)

愛知県の伊良湖岬が「タカの渡り」の名所で、私も単独で2回、野鳥の会のバスツアーで1回行きました。京都府では岩間山が知られています。琵琶湖の南、宇治市と大津市の境に位置する山で、長野県→岐阜県と飛んできたタカが琵琶湖東岸を南下するルート上にあります。
先週と今週の日曜日、天気が良くてたくさん飛びそうだったので2週連続で行ってきました。予想どおり、17日は約250羽、24日は約1,400羽と、その時点での今年最高の数でした。岩間山の過去最高は4,179羽、1997年9月21日の記録です。
山の頂上は開けていて、その中央に小さい丘があります。この丘の上に望遠鏡やカメラを構えて、日本野鳥の会京都支部の調査担当者がタカの種類や数、方向、高度、さらにオス・メス、成鳥・幼鳥を記録しています。

      
     (岩間山の丘。それぞれ双眼鏡や望遠鏡、カメラなどを構えています。)

バードウォッチャー仲間にはタカやワシなどいわゆる猛禽類のファンがいて、この時期は毎週末、仕事のない人は毎日、岩間山に集まります。それが、9月初旬から10月下旬まで2ヶ月続くのです。私の鳥友だちもその一人で、彼はビートルズの歌に例えて、岩間山の丘に登る自分たちを自嘲気味に「The Fool on the Hill」と表現しています。
私はタカファンと言うほどではないのでその仲間には入っていませんが、彼らのおかげで貴重な記録が残るし、多くのバードウォッチャーがタカの渡りを堪能できます。ほんと、敬愛すべき「丘の上のおバカさん」たちです。
おかげさまで、24日は数もたくさん出たし、近くを飛ぶサシバやハチクマをじっくり楽しめたし、タカ柱(上昇気流に乗って旋回する数十羽の群れ)も何度か見られました。天高く、タカ渡る秋。バードウォッチャーにとっては最高の休日でした。
なお、タカの写真(2枚)はこのおバカさんたちからお借りしました。岩間山のタカ情報はこちら

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夫婦円満の葉 | トップ | 芥川龍之介が怒った »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
バカで~す。♪ (scops)
2006-09-26 14:27:57
ご紹介ありがとうございます。

このごろ「丘の上のバカ」が多くなりましてね。平日でも結構な数のバカたちが、真っ黒になりながら空を見上げています。

こんなに夢中になれるのもがあって、幸せです。
返信する
scopsさん (fagus06)
2006-09-26 16:51:55
仕事ほったらかして(あるいは、段取りつけて)、平日にも行ってるらしいですねぇ。大丈夫ですか~? 

まあ、仕事よりこっちの方が大事か、今は。

私も人のこと言えないです。今日も仕事ほったらかして(いや、段取りつけて)伏見方面へ樹木の取材に行ってました。バカですね。
返信する
マジカルミステリィツァ (bulbul)
2006-09-28 05:19:58
 あのレコードのイントロは聞くと今でもわくわくします。フールオンザヒル、ブルージェイが好きでした。やっと週末タカ見に行けそうです。それも 2年ほど前海南で「帯」のように飛んでいた、なんてのを確かめるため、タカファン情報なんかでもまだもう一波残ってそうとか言われていますが...、どうなんかなぁ ?!
返信する
bulbulさんもおバカさんに (fagus06)
2006-09-28 08:32:18
なってください。

まだ、在庫は残っているようですよ。

24日はハチクマが多かったです。数はだんだん少なくなるので、帯のように、とはいかないでしょうが・・・。
返信する
Unknown (guitarbird)
2006-09-28 23:41:29
こんばんわ、guitarbirdです



そんなにたくさん飛んでるんですね。

そりゃ、行きたくもなりますよね。

ちなみに私は「おバカさん」である以上に「へそ曲がり」なので、

きっと、こういう、人が多い場所には行かないと思います。

それだと、死ぬまでその光景が見られないのか、

と思うと、寂しい気分にもなりはしますが・・・
返信する
北海道では (fagus06)
2006-09-29 09:04:24
タカの渡りは見られるんですか?

サシバやハチクマは北海道まで渡るんですかね。

逆に、冬鳥としてオオワシなどは渡ってくるのでしょうが・・・。

私もどちらかと言えば「ヘソ曲がり」で、珍鳥が出ても、人やカメラマンが集まるもう行かないです。

近所の干拓田にセイタカシギが飛来することがあるのですが、農家に迷惑がかかるので一切行かないです。
返信する
Unknown (guitarbird)
2006-09-29 22:15:43
ふたたびguitarbirdです



北海道では、室蘭の地球岬と、松前の、あれ、名前忘れた、が

タカに限らず鳥の渡りが見られる場所として有名です。

ハチクマは夏鳥としてやって来ますが、私は見たことがありません。

旭山近くでも目撃例はあるのですが。

サシバは、北海道の野鳥の図鑑には載っていません。

極めて稀な迷鳥か、まったく記録がないかでしょう。

オオワシは、多分渡りの途中の個体を2回、

旭山で見たことがあります。
返信する
オオワシは (fagus06)
2006-09-30 08:54:42
琵琶湖にも毎年渡ってきます。

湖北野鳥センターという施設がありまして、冬になるとその近辺の山に1羽が姿を現します。

私も一度見に行ったことがあります。



そうですか、北海道ではサシバは迷鳥ですか。

北海道に行った際、どこかの森でノスリが鳴いているのを目撃したことがあります。ノスリの声は初めてでした。何か、悲しげな声に聞こえました。
返信する

コメントを投稿

野鳥」カテゴリの最新記事