国道122号を桐生市からみどり市へ向かって走ると途中で童謡《うさぎとかめ》が聞こえてきます。これはメロディーロードと呼ばれるものです。メロディーロードは全国のあちこちの道路にあります。特に北海道と群馬県に多数設置されています。
原理を簡単に説明しましょう。舗装路面に特殊な切り込みを入れることでタイヤとの摩擦により音が発生します。切り込みのパターンを変えることで発生する音の高さが変わるので、これを利用するとメロディーを作ることができます。その施行された区間をクルマが一定の速度で走ると発生音がメロディーとなって再生されるという仕組み。
さて、《うさぎとかめ》を聴いてワシは何かに導かれたのかもしれません。というのも、向かっていた草木ダムへ行く途中、ある建物に目が止まったからなんです。それは、
「
童謡ふるさと館」…う〜ん、なんだろうな。立ち寄ってみようか。
建物の前をキョロキョロしていると中から係員の方が出てきて「内部をご覧になりますか?」と声をかけてくださいました。
「いやいや、ちょっと立ち寄っただけなので…」
「構いませんよ、まだ開館時間前なので」
「そうですか、ではお言葉に甘えて」
内部に入って驚きました。なんとここは《うさぎとかめ》を作詞した石原和三郎(1865-1922)に関する資料を集めた記念館でもあったからです。「呼ばれたな…」と思いました。
ふるさと館は音楽や芝居も上演できる小ホールと資料室に分かれています。資料室の目玉は下の写真にあるように子供が喜びそうな兵隊のメリーゴーランド。実に精巧に作られています。アメリカ製で電動で動くんですよ。まあ、これは石原とは全く関係がないらしいんですが。(以下の写真は全て許可をいただいています)
ふるさと館には当時の小学唱歌の原本をはじめ、様々な資料が展示されています。昔のピアノやオルガンなんかもあるんですよ(いずれも試奏可能)。
香淳皇后が使用されたピアノ:スタインウェイ社製(1931)
ウィーン式ハンマーアクションが特徴のグランドピアノ:ライラ社製)
懐かしいですね、足踏みオルガン。これは左右のペダルを踏みながら音を出すものです。音色は鍵盤の上方にあるストップを引いてセレクトすることができます。
リードオルガン:ベル社製(1900)
石原和三郎に関しては
旧花輪小学校記念館にも資料が展示されているので興味のある方は出かけてみてはいかがでしょうか。
童謡ふるさと館も旧花輪小学校記念館も運営はみどり市教育部が行なっています。郷里が地元の偉人を称えて箱物を作るのは良いことと思います。ただ、心配なのはその自治体の財政が悪化してきたときにどうなるかということ。景気が悪くなると文化関係のものは真っ先に「切られる」ことが多いからです。役所というものはこういう時には実に冷酷なんですよね。たぶん、もともと文化の価値がわかっておらず、その意味を理解していないから容赦なく閉館にしてしまうんでしょうけど…。
突然の訪問にもかかわらず親切に対応していただいた遠藤さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました!