ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

歴史的価値あり!…旧成相池堰堤

2023-02-12 07:02:36 | 兵庫(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。前回成相ダムを眺めた時に上流に何か見えたので今回はそこへ行ってみることにします。

おー、これですな。なんでしょうか。


上流側から見た様子。味のあるダムですね。


その付近から下流方向を眺めると成相ダムが見えます。(ちょっとズームしてますが)


このダム、道から少し下にあるので行ってみます。おー、このアングルも良いねえ。


そこには案内板が。三原川水系の「旧成相池堰堤」らしい。住所は兵庫県南あわじ市八木馬回(やぎうままわり)。

これは渇水時における下流域の水不足対策として1929年に計画され、1937年に着工。そして1950年に完成した粗石モルタル造りの重力式ダムだそうです。その後1999年、下流に成相ダムが築造されたためこの堰堤は役割を終えることになりますが、先人の苦労や熱意を後世に伝えるため湖中にそのまま保全されることになったとか。


農業用のダムではありながらその歴史的建造物は高く評価され、2021年には土木学会選奨土木遺産に認定されました。



で、ダム上を歩いてみようと思いましたが、フェンスに阻まれて行けず…。ふと、対岸に石碑のようなものが見えたので向かいました。


対岸のダム横に到着。篆書で「成相池之碑」と書かれています。その内容は右岸の案内板の記述の詳細で、下に転記しておきますので興味のある方はお読みください。


「池は諭鶴羽山脈の横谷成相渓に在り因って名つく昭和四年七月八木村成相耕地整理組合の設立と共に計画せられ同十二年四月起工二十五年三月完成す此間実に十有三箇年の久しき或は水利の調停資金の調達に或は世界大戦に伴ふ財界の変動労力資材の缼之等により幾度か共進行き沮まれしか幸に昭和二十二年十月県営に移され漸く組合長以下組合員積年の宿望達せられて遂に其竣功を見る池は直線式重力堰堤にして堤長百十三米高三十三米体積二萬八千立米に及び満水面積八町歩中央余水吐幅員五米七連を有し承水面積五百五町歩貯水量九十二萬一千立米を算し主として村の中央に灌漑す其支配面積三百有六町歩内新開田六十八町歩に達す又池と共に用水路を改修し一度樋を放てば忽ちにして全地域に奔流し茲に旱荒の憂を絶ち其増産米穀毎年数千石の多きに及び食糧の緩和に資する所大なるものあり嗚呼累々たる堤石は渓谷に聳えて●目構築の労を語り満々たる池水は●●の影を宿して往年桔槹の苦を嗤ふ冀くは後人よく先覚努力の跡を憶ふて永く殖産に其志を継がむことを
 昭和二十五年四月一日
 成相耕地整理組合長●英之助題 顧問河瀬脩二撰弁書」

左岸、上流側から見た堰堤の様子。


同、下流側からはこんな感じ。うーん、見れば見るほど味わいのある形ですねえ。


構造は現代のダムのほうが耐久性に優れているのかもしれません。でも、そのフォルムは昔のダムのほうが味があって、オリジナリティに富んでいるように思います。この先、何十年後、現代のダムは果たしてどれだけ土木遺産に認定されるんでしょうね。ちょっと興味があります。

ま、その頃ワシはおらんか…。残念!
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