ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

越えられない壁

2006-03-17 11:21:07 | 音楽あれこれ
昨日はヴァイオリンのリサイタルへ行く。演奏にはこれといった瑕疵があるわけではない。良く言えば優等生的な演奏であるが、意地悪な言い方をするなら何の面白味もない演奏だ。

もちろん本人はこの日のために大変な練習をこなしたには違いない。凡庸な奏者なら、きっと譜面を見ながらでないと演奏できない作品だったから。その意味では立派である。

しかし、頑張りはそこまで。残念なことに、この人の演奏には努力以上のものは感じられない。別の言い方をするなら聴き手に感銘を与えるまでの演奏ではないということ。

勝手な物言いをと思うかもしれない。でも先入観のない聴き方をしたワシの正直な感想なのだ。たぶんそこにいたほとんどの人も同様の感じ方だったのではないだろうか。

芸術はある意味で残酷である。表現者がいかに頑張ろうとも、その人にある種の狂気がないと相手にうまく伝わらないから。いや、狂気というより何かに馮依されるというほうが正しいかもしれない。

一般にヴィルトゥオーゾと言われる人には大体演奏を開始した瞬間に何かが馮依する。その「何か」が聴衆を魅了するのだが、それが何であるのかは未だにわからない。才能?狂気?

いずれにしろ、ソリストにはそうしたファナティックな要素は不可欠である。いくらミスの少ないこぢんまりとした演奏ができても、ソリストとしてやっていけるわけではない。何らかのオーラが発せられないとしたら、その人はオケの一員かアンサンブルのメンバーとして活動するほうが無難だと思う。
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