湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

8/13 避難所・地域における急性期と治療支援&保健活動を切り出す(7)他

2015-08-14 05:55:58 | 地震津波災害ボランティア

祖母と嫁さんは、高台の高校体育館の避難所の一角に、居場所をを確保した。数百人が1つのフロアを利用する大規模避難所だ。避難所には公民館の大広間を利用した数十人規模の中規模避難所や、寺の宿坊や、学校の教室利用の規模の避難所もある。農家が部屋を開放して作った私設避難所もある。これらの場合は数家族で利用する程度が限度で、小規模避難所と呼ばれる。その避難所の一室の様子の違いが、利用者の健康の質を大きく買えて行く。

病人がいたため、1畳あればいい程度の広さがふたりに与えられた。すし詰め状態であり、夏場なら蒸し風呂状態になっていただろう。プライバシーを守るためのダンボールの壁で仕切ったとしても、逆にこの壁が邪魔になって、トイレや水の確保のために移動するときも、細心の注意を払っても、たてかけた衣類を床に落としてしまうとようなことも、しばしばおきていた。利用者が見知らぬあちこち他地域からの避難者だったこともあり、歩行時、足を救われて転倒せぬように、そして「ダンボール城」の会話もひそひそ話をするなど、なおさらに気の休まるときが無かった。

祖母は津波の汚染水におぼれて助かった経過をたどったこともあり衰弱が激しく、交渉の末、学校の備品の体育用マットを借りることが出来たが、周辺にも体調を崩している方がいるということで、体調の悪化の際は周囲の感染を避ける意味でも、救護所や病院への移動を条件づけられ、数日間の有期限の条件がついていた。救護所や病院は収容人数を超過しており、重症者優先の方針があったため、板ばさみのような状態におかれていた。

この「発症者」ではない「衰弱高齢者」「慢性病者」が、ケア不十分の状態で放置されていたことが、東日本大震災のとき、死者の増大という形で現れ問題化した。過剰入院者数に過労状態にあった看護師・保健師は、地域の巡回ケア担当者の応援に振り向けるわけにもいかず、医療専門職自身の家族も被災しており、疲労は極限に達していた。

医療専門職周辺支援ボランティアの避難所における必要性は、特にこの「衰弱高齢者」「慢性病者」のケアと経過観察にあてられるよう企画していく必要がある。極端にプライバシーに慎重を要する分野だけに、地域医療専門職の助言が必要だ。

東日本大震災のとき、「衰弱高齢者」「慢性病者」が肺炎のような症状で次々に亡くなっていた。これは意外なことが原因になっていた。飲料水が少ないために、歯磨きや口ゆすぎ(口腔清浄)が励行されていなかったため、特に入れ歯をしている高齢者の口の中(口腔)に雑菌が繁殖していたのだった。飲み込む力が弱まっている高齢者は、飲食時、むせて肺のほうに雑菌に汚れた食物のかけらが飛び込み(誤嚥)、体力の落ちている方から肺炎を引き起こしていたのだった。「誤嚥性肺炎」と呼び、高齢者入所施設でも、入所者が死に至る危険な病いだった。

この病いは歯科医師会では常識として、予防措置を行ってきたが、一般の医師会の方では、徹していなかったという経過があり、従来は汚染水を誤飲したことによりラジオネラ菌感染症という、一見風邪のような感染症に目が向いていた。ところが気仙沼市の調査から、口腔清浄不足が原因の誤嚥性肺炎が被災者の重症化例に頻繁に見られることがわかってきた。

誤嚥は咳き込むことが多く、これが原因で食事が取れなくなることで衰弱し発症するという蟻地獄の壁面のような循環が待っている。根気強いケアが必要で、発災数日後、自衛隊やDMATなど災害医療医師チームが入るが、予防措置までは手が回らない。家族の「介護者がちょっと席をはずせるケア」の補助活動が必要になる。

●「東日本大震災後に気仙沼市内で発生した肺炎アウトブレイクの実態調査」気仙沼市立病院・埼玉医科大学国際医療センター/助教 大東久佳氏
●「東日本大震災の教訓から次に備える震災後の肺炎アウトブレイクを防ぐために」大東久佳氏
●「被災地におけるレジオネラ症について」国立感染症研究所細菌第一部・感染症情報センター


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墓参一日目。雨の天気予報がはずれて、なんとか済ませてきた。親戚筋も途絶え、墓参者は母と私と弟夫婦。日が重なり弟夫婦がこないので、母の体調次第で私ひとり。いつか母を送ることになる。花を供えても言うことなし。心霊写真でも出てこいよと、ばかな独り言を言って墓を撮影。母の土産にした。

神戸に行って来ると墓につぶやき、墓地を後にした。死者との対話ではなく、生ある者との実のある対話が欲しいと思う。贅沢ではあるが。

明日がもう一箇所。なんともはや。

時間切れ。


夜間傾聴>ふたり


(校正1回目済み)

 

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