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☆☆☆「わーくOnlie PicUp No.55 Ver.2」☆☆☆
2015/06/25 「わーく」編集部 編
(1面)
★災害弱者の被災経験から 若者の仕事を考える★
●長い期間、引きこもり青少年たちの社会復帰の支援活動をしていると、彼らは決して人間関係を遮断しているのではなく、SNSやオンラインゲームを通じて、その範囲の人間関係を保っていることに気かつく。心の危機やいわゆる境界の障がいの隣接圏にいる青年達は、そのオンライン上の人間関係とも接続できないでいる。私が訪問支援してきた青少年は、次第に後者の青少年に絞られつつあるが、伴走者として孤立して生きることを全否定はしないが、彼らが静穏を得た頃から、「理解者とともに生きることで、より豊かな人生を送れるだろう」と、社会参加活動に誘ってきた。もう一方のタイプの、嫌気に近い体験を契機に引きこもった前者の青少年たちは、オンラインに限定された世界の閉塞性は理解していることも多く、より充実した生活への契機を求めるために、青少年にフィットする社会参加活動のデザインを探っている。
●従来の社会参加とは、既存の企業への就労であったり、狭い門ではあるが就労継続支援A型の作業所への就労であり、そういうものと思ってきた。偶然、3.11の東日本大震災の、ボランティア活動、特に被災地に行った体験を伴う活動では、いあままでにない深い共感を彼らの中にもたらせた。
●この違いは何であろうか。従来の活動では、社会既存の組織枠の中に彼らをはめ込む活動で、いわば名刺を持つ活動だった。ところが災害ボランティアでは、「彼らは『必要とされる』経験」をする、つまり彼を取り巻く人々が関わりを求めるというか、周囲も同時に変わり、協力的に接するということが違っている。これは大きな違いだった。その被災者の集団に生まれた環境を「災害ユートピア」(ISBN:9784750510231)という著作の作者レベッカ・ソルニットによれば、
>>> 惨事に遭遇したとき、人はむしろ、「利他主義や相互扶助を感情的に表現するだけではなく、挑戦を受けて立ち、創造性や機知を駆使する」。こうして現出する「特別な共同体」を「災害ユートピア」と呼ぶ。>>>
とする、活性化し支援者を同胞のように積極的に認めて受け入れて行く人間関係があった。これは災害ボランティアには特に強い経験だが、社会参加の意味が明快なボランティアの経験には、「必要とされる経験」の機会がある。この社会経験のステップの大きさを今、強く感じている。
●しかし、ボランティアというと、社会は単なる受け皿であって、たとえば「植樹」「碑の建立」のように、役にはたつが、直接の被災者との接点を遠ざけた活動が主流となっている。それゆえに、青少年が支援者・当事者いずれの立場になっても、彼らのリアルな活動の形が求められる。「わーく」では、その個々の形を継続して探っていこうと思っている。
(2面)
<連載>個人医療情報QRカードの検討 No.015
~「マイナンバー医療情報メモリ」と「QRカード」の住み分けについて(下)~
☆年金機構の情報流出の影響☆
日本年金機構のネットワークから個人情報が大量流出した。個人情報管理の甘さが問題となっているが、この事件は個人情報を扱う他の団体にも「管理を見直す必要」を求めている。医療生活情報QRカードもまたその安全性の洗礼をうける必要がある。
それには次の2つの大きな枠組みを確認する必要があろう。
1) 「おくすり手帳」のQRコード化
(個人情報の機能分散)
2) 項目自主選択によるカード発行
1)は、管理効率化の発想から、個人情報の一括管理する試みは統治する側の都合であり、個人としては、漏洩リスクは分散管理をよしとする。本QRカードは災害時の救急救命と治療。そして避難生活の個人パスとして利用することに主眼がある。傷病者・認知症高齢者・乳幼児・外国人などの自己表明の力を持たない者の代弁を行う役割を持っている。それゆえ医療サイドのカードとして管理すればいい。治療・常備薬を記載する「おくすり手帳」は大きく、携帯性に難がある。QRコ-ド化すれば、常時身につけておけくことが可能になる。
2)は、QRカード内に記載する情報項目は、「氏名・年齢・住所・電話番号」等の「必要項目」と、「血液型・性別・病歴《治療歴)・アレルギーの有無・体重・身長・緊急連絡先・銀行口座番号(PWは抜く)・職場連絡先・etc.)等の選択項目があり、選択項目は、利用当事者が必要とするもののみを記入すればいい。(自己責任)
これらは、行政が管理するというより、公共性の高い第三セクタが発行し、元のデータは各人が管理し、発行団体側には保存しない。
こうした基本線が、年金機構の情報漏えい対策となっている。カードの申請から作成・配布段階の管理場面に漏洩防止策を講じる。また製作者には守秘義務が課せられる。この部分は、改めて検討を加えていく。
(資料)
■年金情報流出101万人、全都道府県で被害 年金機構が発表(2015/6/22 日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H7O_S5A620C1EE8000/?n_cid=TPRN0003
(3面)
★★「金曜災害ミニ・カフェ/レポート」★★
5/15 19:00~21:00 第29回 NHK 計120分
「いま僕達にできること 神戸と福島をつなぐ高校生たち」
「2015女川いのちを守る会~1000年後へのメッセージ」
●ティーンズの災害ボランティアの試みは、学校という場を背景にして行われる。学校は同世代集団という性格を持っている。この集団が「外の」地域社会に関わるという形になる。被災当事者とともに活動を作って行く、地域滞在の大人の活動の形はなかなかとれない。不登校の子たちと議論していくと、「大人は”学校で学ぶ”ことが第一義という。でも大人だって”生業を働く”ことが第一義じゃないの」という発言が必ず出てくる。私達は「ボランティア」という「社会活動」と「その体験」がこどもを大きく育てて行くことを知っている。だから、この議論に必ずしもかみ合っているとは限らないのだが、彼らの活動が「今、なにが必要なのか」という議論が全くといっていいほど欠けていて、「自分達に何が出来るか」から出発してしまう。これは教員が黒子になっているからのように思えるのだが、「まず当事者と会い」「状況を知る」というステップを踏んで欲しいと思うのだ。緩やかな大人のバリアが彼らの周囲に張られているように見えてならない。
●後者の番組は、地元の中学生が津波の記念碑をたてる活動の記録だ。津波の到達地点に、彼
らなりの碑文を考え大人とともに複数箇所の碑を建てた。彼らの碑も後世に伝えられていくだろう。しかし、いままでの震災碑がどのように避難に利用されていたかが中学生に伝えられていない。従来の震災津波の常識を裏づける安心のモニュメントが震災碑であり、圧倒的多くの震災碑は、役割を果たせず無視されたという、やりきれない現実がある。その碑は活きるのか、その碑を活かす活動が継続していける方法はないかを考えて行くことが肝心ではないか。また、「現在の災害情報によらず、ここより先が安全という誤解釈されること」に対する手立てはないか。つまり碑の活用法を考えることに踏み込むべきだろう。「津波はここまで来た」ではなく「ここまで津波がきたことがある。地震津波情報をつかんで下さい」という警告の碑にするという具合だ。中学生ならこの程度という大人の判断が質の浅さを作り出してはいないか。
●一転して、阪神淡路大震災の被災地神戸の高校生と、地元の高校生との交流は、当人の自主行動に貫かれている。お互いの地元を訪問し、そこで「自分たちは災害とどのように向かい合ってきたか、自分達になにができるか」を考えている。人と町の震災復興の相互理解を進めるには、お互いが出会い、交流することが大事だ。彼らの将来に必ず体験が活かされるだろう。その意味で、この交流を生み出す企画者を知りたいと思う。ところがその反面、番組に登場する高校生は、どうやらエリートだ。自分の未来を切り開く力を持っている。この高校生の相互訪問交流活動を各地の高校生に広げて行くには、大枠のプログラム作りと、実費バックアップの大人の活動を生み出す必要がある。ここに出てくるエリート高校生たちなら、企業カンパを引き出す活動も可能だろう。活動の経験を活かして欲しい。しかし普通のハイ・ティーンズが活躍できる場とは、それが知りたい。
(4面)
***2015年企画/金曜ミニ・カフェ
3.11被災者支援と湘南の防災 上映懇談の会***
●月2回、金曜の夜に軽い上映懇談をしましょう。映画は無料です。被災者支援と湘南の防災関係のTV録画番組などを見ながら、今後の災害ボランティアの課題を考えましょう。
●とくに「要援護者」といわれる災害弱者のことについて、話題提供していきます。
<今後の予定>
(茅ヶ崎市民活動サポートセンターにて19時~)
7/3 第32回 ☆シリーズ東日本大震災
「元気に老いる ~生活不活発病・被災地の挑戦~」
(NHK-G 2015/06/13 50分)
>仮設と軟禁生活の病い
●東北の高齢者は元気だ。夫婦で農業・漁業・水産加工の仕事をしていたり、自営業の比率も高い。その生活が3.11震災津波で生活を奪われた。避難生活は、心も折れるし、やることがない。じっと、生活再建のときを待っている。動かない、こもった生活が心身の健康を奪う。目に見えない老いを進める病魔といかに戦うか、孤立を深める単身者という課題を考える。
7/17 第33回 東北☆未来塾 湯浅誠コミュニティ講座1&2(ETV 計40分)
「はじめの第一歩」
「難問に挑む その前に」
●3.11震災津波は地域とひとを押し流し、地域コミュニティを破壊した。見知らぬ人と仮設で暮らす。やっと知り合いが出来たころ、被災者は復興住宅にまた移住し、再び見知らぬ隣人と、慣れぬ高層団地生活が始める。その地域コミュニティ不在、地縁の空白が災害弱者を追い込んでいる。
以 上
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本誌には「懇話会ニュース No.13 中村雅彦氏ゲスト 7/2 懇話会CM」添付しています。)
「わーく」編集部は「懇話会」を支持しています。
「懇話会ニュースNo.13」
2015/07/02(木) 18:30~20:30 茅ヶ崎市分庁舎5F会議室
「あと少しの支援があれば」その後 ゲスト:中村雅彦氏(福島県点字図書館館長)
・中村氏が3.11被災直後、知り合いの全障がいの方々の消息を追ったレポート。
被災障がい者の抱える4年余の課題を論じます。