2013/03/04 記
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「マイナンバー制」が国会に提出された。タイミングの悪さに少々落ち込んでいる。個人情報は一元化すると危険だ。しかし甚大災害の時、傷病者・病弱者の健康管理は少人数の医療関係者が救護にあたるとき、以前のカルテが治療現場にあることは少ない。状態をつかみ、服用薬を探り当てる作業は、膨大なる労力を要する。
例えば、看護師が「医者からもらっている薬の名前」を聞くとき,どのくらいの割合で、被災者は薬品名を答えられるだろうか。意識を失い、または幼いために、答えられない者もいる。「胃の薬と、アレルギーの薬です。赤いつぶと粉薬です」とは答えられても「○○マイシン5mg」という風に答えられるだろうか。たとえ自分の治療中の病名を答えられても、アナフィラキシーショックの経験者と、確実に答えられるだろうか。
消防署などでは、茅ヶ崎では「安心カード」という紙製手書き医療メモが配布されているが、これをQRコードに置き換えた電子メモを健康保険証の注意書き部分に貼り付けて携帯する。そうすると、普及品携帯QRコードリーダーで、「カンマ区切りテキスト」として読み取れ、エクセルなどの表アプリに直に転送することができる。もの言わぬ者・傷病者の医療基礎データが、ICカードリーダーのような特別の機器を持ち込まずとも、停電の現場でデータ処理できるのだ。
またこのカードは、避難所などの集団生活を送るときの配布チェック(衣類・食物等)や、生存証明、母センター機によるメールチェック等のIDカードにもなる。制作も安価だ。
記録項目は多岐にわたるが、項目自主選択制とし、カードも希望制を守る。入力者は他地域障がい者の仕事とし、行政と民間の共同管理の室内で入力を行い、入力後は申請書をデータ部分を焼却処理する。
カード申し込みは、地域拠点病院と市行政窓口が受付ける。まずは市立病院から初め、民間拠点病院、さらには個人開業医院に広げていく。情報回収とカード返却も障がい者の仕事とする。制度上も情報の転用を禁じる。
体調の変化という情報の更新は、紙製やICカードも同一の問題を抱えるため、QRコードカードだけの問題ではない。
シールの耐久性や更新重ね貼りや、剥がし交換も実験済みでクリアしている。しかし、このアイデアが市民権を得るには、「マイナンバー制」が論議される中では、カードを落としたら問題ではないか、マイナンバー制の水先案内となるのではないかという議論に耐えなければならなくなった。
たとえば、病院の受診カードには、堂々と生年月日が入っているし、ポイントカードの中には、住所が書かれていたりする。運転免許証などは、いわんやおやだ。紙製安心カードは冷蔵庫保存が主としているが、これは昔の火災風水害モデルによるもので、家屋はもとの位置にある。しかし津波の経験をした私たちは、家が流され、倒壊したことを知っている。救急医療には、個々人の情報携帯が基本となる。津波で流されなくとも、冷蔵庫の多数は蓋側に倒れ、冷蔵庫が開かないとか、倒壊家屋に入らねばならない危険を伴う。流された冷蔵庫の中身は無事でも、その捜索に時間がとられる。
携帯電話は連絡用だけではない。その機能を使えば、特殊読み取り機や、停電時の利用が可能ということで、役に立つはずの提案が、大局的な個人情報管理論争や、政治対立の渦中に投げ出されるのだ。だから、このかーどはNPO管理のもとに置くのだ。タイミングが悪い、まいったなと、方策はないものかと思案している。
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父の入所している老健も二年半になるために、特養への移転を勧められている。空き待ちという状態。そんな中、特養の空き待ち更新の時期となり、依頼していた特養から調査員がやってきた。家族の立ち会いと、家族への調査もあるということで、老健で、現在の老健のケアマネさんと、調査員さん(先方のケアマネさん)と3者で話し合った。しかし空かない。順位が上位になったとはいえ、もう二年半たっているのだ。
明らかな老い、認知の後退、死の影が忍び寄っている独特の印象が、心に重い。
調査員さんの元気な高齢者向けの声かけが、いっそう虚しく。つい現状を口にして、検査中という険しい顔に会う。父は元気な頃「さくら・猫・電車」を暗唱していた。だから単語を変えろと言っているのに、「さくら・猫・電車」を反復する。今は応答の言葉のない父に「さくら・猫・電車」を試みている。教条的というか、この硬さが入所者に向けられるのだと思うと、うんざりする。
まずは、話が終わった。私が×いちの理由を求められた。まったく失礼な話。きっと人間失格なのかもと言おうとして、老健のヘルパーさんが飛び込んできて、場面が代わって終わった。経験不足、ケアマネがこれでは…。
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糖尿病だというのに、厄払いでスパゲッティナポリタンが食いたくなった。店の前を行ったり来たり。電車の時間だと言い聞かせて、ホームに降りたら、電車が行ってしまった。
少し時間が空いているので、茅ヶ崎で下車。黒田さんの講演会に参加してくれた行政関係者3課を周り、追加資料と飛田レポートを置いてきた。
岩手県庁から資料が届いていたので、それを見ながら出勤。運転手が欲しい…。気持ちは陸前高田に飛んでいた。
夜間傾聴>ひとり
(校正1回目済み)
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「マイナンバー制」が国会に提出された。タイミングの悪さに少々落ち込んでいる。個人情報は一元化すると危険だ。しかし甚大災害の時、傷病者・病弱者の健康管理は少人数の医療関係者が救護にあたるとき、以前のカルテが治療現場にあることは少ない。状態をつかみ、服用薬を探り当てる作業は、膨大なる労力を要する。
例えば、看護師が「医者からもらっている薬の名前」を聞くとき,どのくらいの割合で、被災者は薬品名を答えられるだろうか。意識を失い、または幼いために、答えられない者もいる。「胃の薬と、アレルギーの薬です。赤いつぶと粉薬です」とは答えられても「○○マイシン5mg」という風に答えられるだろうか。たとえ自分の治療中の病名を答えられても、アナフィラキシーショックの経験者と、確実に答えられるだろうか。
消防署などでは、茅ヶ崎では「安心カード」という紙製手書き医療メモが配布されているが、これをQRコードに置き換えた電子メモを健康保険証の注意書き部分に貼り付けて携帯する。そうすると、普及品携帯QRコードリーダーで、「カンマ区切りテキスト」として読み取れ、エクセルなどの表アプリに直に転送することができる。もの言わぬ者・傷病者の医療基礎データが、ICカードリーダーのような特別の機器を持ち込まずとも、停電の現場でデータ処理できるのだ。
またこのカードは、避難所などの集団生活を送るときの配布チェック(衣類・食物等)や、生存証明、母センター機によるメールチェック等のIDカードにもなる。制作も安価だ。
記録項目は多岐にわたるが、項目自主選択制とし、カードも希望制を守る。入力者は他地域障がい者の仕事とし、行政と民間の共同管理の室内で入力を行い、入力後は申請書をデータ部分を焼却処理する。
カード申し込みは、地域拠点病院と市行政窓口が受付ける。まずは市立病院から初め、民間拠点病院、さらには個人開業医院に広げていく。情報回収とカード返却も障がい者の仕事とする。制度上も情報の転用を禁じる。
体調の変化という情報の更新は、紙製やICカードも同一の問題を抱えるため、QRコードカードだけの問題ではない。
シールの耐久性や更新重ね貼りや、剥がし交換も実験済みでクリアしている。しかし、このアイデアが市民権を得るには、「マイナンバー制」が論議される中では、カードを落としたら問題ではないか、マイナンバー制の水先案内となるのではないかという議論に耐えなければならなくなった。
たとえば、病院の受診カードには、堂々と生年月日が入っているし、ポイントカードの中には、住所が書かれていたりする。運転免許証などは、いわんやおやだ。紙製安心カードは冷蔵庫保存が主としているが、これは昔の火災風水害モデルによるもので、家屋はもとの位置にある。しかし津波の経験をした私たちは、家が流され、倒壊したことを知っている。救急医療には、個々人の情報携帯が基本となる。津波で流されなくとも、冷蔵庫の多数は蓋側に倒れ、冷蔵庫が開かないとか、倒壊家屋に入らねばならない危険を伴う。流された冷蔵庫の中身は無事でも、その捜索に時間がとられる。
携帯電話は連絡用だけではない。その機能を使えば、特殊読み取り機や、停電時の利用が可能ということで、役に立つはずの提案が、大局的な個人情報管理論争や、政治対立の渦中に投げ出されるのだ。だから、このかーどはNPO管理のもとに置くのだ。タイミングが悪い、まいったなと、方策はないものかと思案している。
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父の入所している老健も二年半になるために、特養への移転を勧められている。空き待ちという状態。そんな中、特養の空き待ち更新の時期となり、依頼していた特養から調査員がやってきた。家族の立ち会いと、家族への調査もあるということで、老健で、現在の老健のケアマネさんと、調査員さん(先方のケアマネさん)と3者で話し合った。しかし空かない。順位が上位になったとはいえ、もう二年半たっているのだ。
明らかな老い、認知の後退、死の影が忍び寄っている独特の印象が、心に重い。
調査員さんの元気な高齢者向けの声かけが、いっそう虚しく。つい現状を口にして、検査中という険しい顔に会う。父は元気な頃「さくら・猫・電車」を暗唱していた。だから単語を変えろと言っているのに、「さくら・猫・電車」を反復する。今は応答の言葉のない父に「さくら・猫・電車」を試みている。教条的というか、この硬さが入所者に向けられるのだと思うと、うんざりする。
まずは、話が終わった。私が×いちの理由を求められた。まったく失礼な話。きっと人間失格なのかもと言おうとして、老健のヘルパーさんが飛び込んできて、場面が代わって終わった。経験不足、ケアマネがこれでは…。
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糖尿病だというのに、厄払いでスパゲッティナポリタンが食いたくなった。店の前を行ったり来たり。電車の時間だと言い聞かせて、ホームに降りたら、電車が行ってしまった。
少し時間が空いているので、茅ヶ崎で下車。黒田さんの講演会に参加してくれた行政関係者3課を周り、追加資料と飛田レポートを置いてきた。
岩手県庁から資料が届いていたので、それを見ながら出勤。運転手が欲しい…。気持ちは陸前高田に飛んでいた。
夜間傾聴>ひとり
(校正1回目済み)