午後、父を主治医のところに連れて行った。昼にヘルパーさんが清拭を済ませていたので受診は清潔な状態で望めたが、すべては陰の演出、わかるひとにしかわからない。
尿は動物が存在を示す印に使うほどに、微量でも匂ってくる。介護したあと手足の清浄は不可欠。食事のときに掌からなんとなく匂ってくる。入浴と清拭・着替えは手を抜くと結果がすぐに出てしまう。
それはともかく、今回は大小3つの試みを入れ込んだ。ひとつは「歩行器と介助だけで通院すること」、ふたつめは「介護慣れしていないひととの連携」、みっつめは「タクシー昇降時の工夫(毛布)」である。これらを行うには、本人の調子が大きく響いてくるが、昨夜の騒ぎの時点よりは自意識が明瞭で、調子の波があることがはっきりと現れた。
とにかく一貫して父は外出に緊張している。ただそれは、歩行器で歩き車に乗って通院するという一連の流れに、自分を乗せようとする意識ではなく、無防備な動物が危険に晒されるときの緊張に近い。
宗教団体の信者さんが、予定より30分早く家にやってきて私を慌てさせたが、とりあえず階段を降り、玄関先で椅子に座って靴を履き、庭を抜けてタクシーの横にたどりつくという場面は、左右のガードで、歩行の疲労以外は無難に切り抜けた。タクシーは運転者の後ろ側に毛布を敷いて座らせた。運転席の後ろからの昇降は、広い通り側からの昇降の意味がある。毛布は漏らす事への配慮もあるが、降りるときに毛布を引けば父の体を引き出しやすいと考えたからだ。これは失敗だった。当人が試みを理解していないために、毛布を膝にかけようと、制止してもはがしてしまうため、くしゃくしゃになってしまうのだ。
医院では約束どおり車椅子を用意してくれて、別の信者さんとの合流もできたのだが、慣れていないためか手荷物(買い物)を持ってきてしまうことや、待ち時間にゆとりがなく、荷物を家に一度置きに帰るというハプニングがおきた。転倒してしまうひとを誘導する体験がないために、腕を持って前に引こうとしたり、倒れそうになると腕を持ち上げてしまうために、バランスがとれなくなってしまうこと、ポシェットをしているので、危なくなると当人はつかまることが出来るものになんでもしがみつくので、ポシェットの紐がちぎれそうになるということが起きた。女性は他人の男性を触ってはいけないという戒律があるらしく、男性信者以外使い物にならない始末だった。
医院に到着したとき、医院の前の通りを廃品回収業のアナウンスを流しながら走る車と遭遇し、父は奇妙な行動を取った。歩行器を無視して、通りに向かって両手を差し出した状態で、足がまともなら走り出ようとする行動に出た。車を睨みつけるように、追い始めたのだった。通行量の多い通りでもあり、段差もあって身体を張って進行を阻止した。異様な行動だった。一貫して私が声をかけ、進行方向を指差すことで、歩行の方向を修正して進む形で、今、医院に向かっているという目的を歩行が持っていないのだった。
最後、ベッドにたどりついたとき、父は私たちに背を向けて背を丸めて眠ってしまった。疲れもあるが、こわかったのだと思う。
終了が16時50分。夕食を作って、慌てて橋本駅に向かった。橋本2君(仮名)は、祖父母宅が隣にあり、生活は別。それでも干渉が煩わしいという。大津和夫著の「介護地獄アメリカ」を引用して、アメリカ像が明るい核家族のイメージがあるのは、実は中産階級の上流からであって、圧倒的な庶民の家庭は、公的保険制度の保護も無い民間医療保険に頼り、高齢者介護が若手にのしかかっていることを話した。ムーアの「シッコ」(DVD)を見てみろと伝えた。彼は独立を夢見ていた。専門学校から大学への行きなおし。家計にゆとりを保てるなら、金融恐慌時モラトリアムの時間を取るのは、彼の場合賢明なのかもしれない。
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つい先ほど、父が全裸で階段を降りようとした。漏らしたのだ。電話の使い方が分からず、母を呼ぼうとしたのだった。母を起こすわけにはいかない。清拭と着替えの戦争騒ぎをして20分ほど前に、続く朝食を終わらせたのだった。昨夜使えた電話が使えなくなっていた。何が起きているのか、考えてしまう。しかし階段を降りるとは、油断できない、困ってしまう。
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JICAの知り合いに再度メール。タイ民間生活支援活動のFHCYさんにもメール。自転車輸出の見通しをたてるための情報収集を今日と明日、事務所訪問の予定。
夜間傾聴:******君(本人)
(校正1回目済み)
p.s. Kさんから、プライベートな予定を書きすぎると空き巣に情報を提供することになりかねないとご指摘をうけた。母と私はどちらか在宅しており、ふたり留守にするときのために、貴重品は銀行金庫(大げさ)に入れてある。現金も家に残さないので、取るものが無いのだ。救急入院がありえるので、取った処置。ご心配かけました。家にしかけもあるし。(父の抜け出し防止用)
尿は動物が存在を示す印に使うほどに、微量でも匂ってくる。介護したあと手足の清浄は不可欠。食事のときに掌からなんとなく匂ってくる。入浴と清拭・着替えは手を抜くと結果がすぐに出てしまう。
それはともかく、今回は大小3つの試みを入れ込んだ。ひとつは「歩行器と介助だけで通院すること」、ふたつめは「介護慣れしていないひととの連携」、みっつめは「タクシー昇降時の工夫(毛布)」である。これらを行うには、本人の調子が大きく響いてくるが、昨夜の騒ぎの時点よりは自意識が明瞭で、調子の波があることがはっきりと現れた。
とにかく一貫して父は外出に緊張している。ただそれは、歩行器で歩き車に乗って通院するという一連の流れに、自分を乗せようとする意識ではなく、無防備な動物が危険に晒されるときの緊張に近い。
宗教団体の信者さんが、予定より30分早く家にやってきて私を慌てさせたが、とりあえず階段を降り、玄関先で椅子に座って靴を履き、庭を抜けてタクシーの横にたどりつくという場面は、左右のガードで、歩行の疲労以外は無難に切り抜けた。タクシーは運転者の後ろ側に毛布を敷いて座らせた。運転席の後ろからの昇降は、広い通り側からの昇降の意味がある。毛布は漏らす事への配慮もあるが、降りるときに毛布を引けば父の体を引き出しやすいと考えたからだ。これは失敗だった。当人が試みを理解していないために、毛布を膝にかけようと、制止してもはがしてしまうため、くしゃくしゃになってしまうのだ。
医院では約束どおり車椅子を用意してくれて、別の信者さんとの合流もできたのだが、慣れていないためか手荷物(買い物)を持ってきてしまうことや、待ち時間にゆとりがなく、荷物を家に一度置きに帰るというハプニングがおきた。転倒してしまうひとを誘導する体験がないために、腕を持って前に引こうとしたり、倒れそうになると腕を持ち上げてしまうために、バランスがとれなくなってしまうこと、ポシェットをしているので、危なくなると当人はつかまることが出来るものになんでもしがみつくので、ポシェットの紐がちぎれそうになるということが起きた。女性は他人の男性を触ってはいけないという戒律があるらしく、男性信者以外使い物にならない始末だった。
医院に到着したとき、医院の前の通りを廃品回収業のアナウンスを流しながら走る車と遭遇し、父は奇妙な行動を取った。歩行器を無視して、通りに向かって両手を差し出した状態で、足がまともなら走り出ようとする行動に出た。車を睨みつけるように、追い始めたのだった。通行量の多い通りでもあり、段差もあって身体を張って進行を阻止した。異様な行動だった。一貫して私が声をかけ、進行方向を指差すことで、歩行の方向を修正して進む形で、今、医院に向かっているという目的を歩行が持っていないのだった。
最後、ベッドにたどりついたとき、父は私たちに背を向けて背を丸めて眠ってしまった。疲れもあるが、こわかったのだと思う。
終了が16時50分。夕食を作って、慌てて橋本駅に向かった。橋本2君(仮名)は、祖父母宅が隣にあり、生活は別。それでも干渉が煩わしいという。大津和夫著の「介護地獄アメリカ」を引用して、アメリカ像が明るい核家族のイメージがあるのは、実は中産階級の上流からであって、圧倒的な庶民の家庭は、公的保険制度の保護も無い民間医療保険に頼り、高齢者介護が若手にのしかかっていることを話した。ムーアの「シッコ」(DVD)を見てみろと伝えた。彼は独立を夢見ていた。専門学校から大学への行きなおし。家計にゆとりを保てるなら、金融恐慌時モラトリアムの時間を取るのは、彼の場合賢明なのかもしれない。
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つい先ほど、父が全裸で階段を降りようとした。漏らしたのだ。電話の使い方が分からず、母を呼ぼうとしたのだった。母を起こすわけにはいかない。清拭と着替えの戦争騒ぎをして20分ほど前に、続く朝食を終わらせたのだった。昨夜使えた電話が使えなくなっていた。何が起きているのか、考えてしまう。しかし階段を降りるとは、油断できない、困ってしまう。
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JICAの知り合いに再度メール。タイ民間生活支援活動のFHCYさんにもメール。自転車輸出の見通しをたてるための情報収集を今日と明日、事務所訪問の予定。
夜間傾聴:******君(本人)
(校正1回目済み)
p.s. Kさんから、プライベートな予定を書きすぎると空き巣に情報を提供することになりかねないとご指摘をうけた。母と私はどちらか在宅しており、ふたり留守にするときのために、貴重品は銀行金庫(大げさ)に入れてある。現金も家に残さないので、取るものが無いのだ。救急入院がありえるので、取った処置。ご心配かけました。家にしかけもあるし。(父の抜け出し防止用)