--- 今回は以下の教材の解説です。
●自学教材ヒント集《橋に隠された技術・パスタ模型を作ろう》
今回は「橋の技術」がテーマだ。建造物には歴史が隠れている。文化史と技術史の視点から見直してみると面白い発見がある。
教育の分野で「建築構造と技術」が取上げられることは少ない。技術家庭科の「住居」ぐらいのものだろうか。内容に一歩踏み込むとすぐに高度な計算が出てくるからだろうか。
子どもにとっては、ただその場所を見学するというのは、「前からあったもの」を見るにすぎないことが多い。大人のように変遷の中で風景を見ていないからだ。だから「建造物」を扱うときは、エピソードや模型作りのような再構成の過程を提供して、問題意識を喚起する必要がある。こういう前提にたてば、漠然と見ていた世界は多彩な秘密を明かし始めるだろう。
今回紹介したサイト群は、奥のディレクトリまで覘いてみて欲しい。そこには橋の構造の概括的な説明や、視点が書き込まれているからだ。
U.S. Vanier College では、パスタを使った橋作りの技術教育が行われている。日本ではストローが素材として試みられてきたが、いつの間にか話が消えてしまった。あの弾力が返って邪魔になるし、加工しにくかったのだろう。パスタを使うという案は、もっと練られていい。ただ、強度のことだけでなく、重量や景観デザインを取り込んでもいいように思う。競争にすれば判断基準の明確化が要求される。それが、競技の視野を狭くしてしまう。アメリカはこのコンテストが好きだが、この視野のことは注意しなくてはならない。指の間から抜け落ちるものの価値をどう拾うかということだ。
また石橋ではなく「流れ橋」と「潜水橋」を生み出した日本の技術観も、味わってみると面白いだろう。ただこれは解説が入りそうだ。
またここでは取上げていないが橋脚保護の治水技術も、粘土板に川を描き、環境を作ると実験できる。川の湾曲の話と組み合わせて、橋脚の土台が削れる現象や、漂流物が溜まる現象などを再現できないだろうか。橋の形は橋脚も含むのであるから、今後の課題である。
(補充サイト)
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●引っ張り」を体感!~人間フォース橋~
http://www.gijyutu.com/kyouzai/kakou/hipari.htm
(参考資料)
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●岡山文庫205『岡山の流れ橋』 July'00
(ISBN:4-8212-5205-8 渡邉隆男著・日本文教出版(株)刊)
●アーチの力学 橋をかけるくふう Aug.'04
(ISBN:4-7735-0179-0 板倉聖宣著・仮説社刊)
茅ヶ崎市立図書館
0113382782 /501イ
●橋の文化史 桁からアーチへ June 1991
(ISBN:4-3060-9320-4 ベルト ハインリッヒ著・鹿島出版会刊)
●橋 ものと人間の文化史 Oct.1991
(ISBN:4-5882-0661-3 小山田了三著・法政大学出版局刊)
茅ヶ崎市立図書館
0111379384 /380モ
平塚市立図書館
西館 300451019 /515.02 /T
(補)橋は様々な話も生み出している。
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●橋と遊びの文化史 July 1994
(ISBN:4-5600-2238-0 平林章仁著・白水社刊)