--- 今回は以下の教材の解説です。
●自学教材ヒント集《調べてつくる料理・02/丼物・孤食技を磨こう!》
今回は極端に実践的な「丼物」を取り上げた。昔、フリースペース的な塾の集まりで、「不登校の子は孤食が多い」という議論があった。「だから食事指導を」という話なのだが、僕は「余計なお世話」と退けた。
このとき取り上げられていたのが「親子丼」だった。「(不登校)親子丼」と挿入して嫌がられたが、生活技術としての自炊は要不要の棚に載せれば必要だろう。僕は調理の中の遊びを失いたくない。「賄い」としての「食事」に閉じるのも嫌だ。ましてや「指導」とは何事ぞというわけだった。
丼物を覚えると、調理が非常に気楽になる。いざとなれば何とか形に出来てしまうからだ。
その集まりでは塾の火口の数の少なさが、多人数の調理実践(実習と言わない)を難しくしているという話になった。カセット・プロパンボンベを挿入するガスコンロや携帯コンロでは火力が足らず、安定が悪く事故が多発するという問題が話された。今のガスコンロは安全装置がついているが、吹きこぼれで消えたコンロにライターで付けようとしてやけどした話もあった。焚き火は場所が難しいしムラが出る。どうしたらいいかという話だった。
料理教室の空き時間に部屋を貸してもらうという話もあったが、僕が持ち出した案は、昔の「練炭コンロ」だった。一酸化炭素が出るので室内使用が厳禁だが、これなら屋外調理も数が揃えられるし、火力も強い。ただ着火に熟練がいる。うちわでぱたぱた扇ぐのも楽しい。
これは防災用品としてダイクマとか東急ハンズなどにもある。陶芸窯に転用も出来るから結構いい。
大きく脱線してしまったが、この丼物は、ひとりで調理挑戦する子にも「器」という「フレーム(枠)」を与えてくれる。丼はパッケージなのだ。これがイメージしやすさに繋がっている。
何種類も見つかるから、片っ端に「たくわん丼」とか「ネギミソ丼」とか命名して書いてみるといい。相手がいると、これは結構楽しい。そしてその中の一番美味そうな丼を作ってみる。相手がいれば試食会も楽しい。椀を小さくすれば多人数分すぐにできるのも、丼のパッケージ性あればこそだ。
ここでは「食材の対比」ということが美味さの背後に隠れている。「ひきたてあう関係」というか。そのことに気づいてくれれば、調理の大きなカギを握ったことになるだろう。
あとはインターネット、レシピめぐりをすればよし。淀みは排除。食卓は明るくして、目と鼻でも、いただきます…だ。