●SOF-HP
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=tobipub2
の解説です。
-----
今回の企画は年末に通信塾で行った「除夜の鐘」の授業に使ったものだ。大晦日だから除夜のという発想の安易さは抵抗があるのだが、今後の音のシリーズとのつながりがあるので取り上げことにした。今回は眺めてお仕舞いかなと思ったが、ネット検索の課題を残しておこう。
実は「鐘とエピソード」というとうんざりするほど作り話が付いてくる。それはそれで「つくり話の民俗学」が立てられるが、中高生には無理だ。知の見晴らしがある程度ないと、束ねる糸・さらう網目が見えてこないからだ。自然科学の場合はそれなりに散歩道がある。その意味で現代史から入るのがいいかなと思った次第。大きな歴史との接点では、第二次世界大戦の物資の供出がある。軍艦や砲弾作りに金属は供出させられた。鐘もまた鋳潰された。しかし、ここにも裏の政治が見え隠れする。国民統合の精神的支柱国家神道は地域の学校・寺社を通じて町内会などの地域組織に下ろされた。しかし檀家の寄り合いが行われている寺社の伝統までを取り上げることが出来ない地域があったのだ。古刹の梵鐘を守り抜いたところと失ったところの違いは、ダーク・ゾーンに沈んでいる。早乙女勝元氏あたりの関連サイトから広げられないかなと思っているが、今だ着手していない。
つまり事物は歴史を開く鍵なのである。そこから未知のエピソードを引き込んでくることには、インターネットはうってつけなのだ。手がかりをつかめば、そこから更に探索を進めていけばいい。それはオンライン上にとどまらず、図書館や現地取材などを行ってもいいのだ。どこから覗くかという手がかりをオンラインで検索していくのだ。その手法をつかんでもらいたい。この探索の話は折に触れ取り上げて行くつもりだ。なぜならそれは実践知なのでケース・スタディの形で入るのが近道だからなのだ。
もうひとつは技術史の話。ここは自然科学とも行き来する分野だが、梵鐘の鋳造の背後には歴史的な技術の集積がある。香川県丸亀市の田村遺跡の一角に梵鐘の鋳造工房跡が見つかっている。奈良時代の梵鐘工房遺跡なのだが、鋳型の画像が素晴らしい。これは現代の鋳造法(cf.鐘の音-京の名鐘/梵鐘の制作)と遜色ないようにすら見える。奈良国立博物館を経由するとさらにこの技術史探索は、古代史・極東アジア史・美術史へと架橋されるだろう。同サイトで時々、Q&Aに丁寧に答えているので、まずオンラインで質問し、了解を得て電話をかけてみると関連研究を行っている大学研究室の下部ディレクトリを紹介してくれるだろう。こういう実際に踏み出して調べるという技能も見につけてもらいたいと思うのだ。
この話は鐘と宗教との民俗学にもつながっている。鐘の音の波形とうねりがもたらす効果を宗教が取り入れている。その様子を世界の鐘を見ることの中から引き出せないかと思う。国内サイトの中では少数派のテーマなので、いくつかのキーワードから、断片を引き寄せられないかと試してみた。しかし欧米の鐘についている舌(clapper)ということすらわからなかった。友人に苦労をかけてしまった。これでは調べようが無いのでる。そこで梵鐘と鐘の概説的なサイトを探した。以前は「鐘楼・梵鐘について」という梵鐘百科サイトがあった。なくなったのは残である。また世界の鐘という意味で「Carillon カリヨン(世界の鐘の画像)」「韓国の梵鐘」を取り上げた。面白いことに中国の梵鐘は西欧の鐘に似て裾が開いているものがあることだ。ここを突いていけば何かが出てきそうな気配がある。
「東大寺の鐘」は冗談。また選外としたが撞木が全国一社独占されているとは知らなかった。その企業を紹介しておく。自動撞木も販売しているのだ。
●上田技研産業(株)(撞木生産シェア100%?)
http://www.namsystem.co.jp/
最後に、鐘の音の実践したわけではないが、昔、地域塾やっていた頃、藤沢遠藤の宝泉寺の鐘を子どもたちと撞きながら、「鐘が星型をしていたら音色がどうなるか」という話をしたり鳴っている鐘の中に入ってみたりして楽しんだことを思い出した。藤沢打戻には実際に撞いて試せる鐘楼もある。
以上
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=tobipub2
の解説です。
-----
今回の企画は年末に通信塾で行った「除夜の鐘」の授業に使ったものだ。大晦日だから除夜のという発想の安易さは抵抗があるのだが、今後の音のシリーズとのつながりがあるので取り上げことにした。今回は眺めてお仕舞いかなと思ったが、ネット検索の課題を残しておこう。
実は「鐘とエピソード」というとうんざりするほど作り話が付いてくる。それはそれで「つくり話の民俗学」が立てられるが、中高生には無理だ。知の見晴らしがある程度ないと、束ねる糸・さらう網目が見えてこないからだ。自然科学の場合はそれなりに散歩道がある。その意味で現代史から入るのがいいかなと思った次第。大きな歴史との接点では、第二次世界大戦の物資の供出がある。軍艦や砲弾作りに金属は供出させられた。鐘もまた鋳潰された。しかし、ここにも裏の政治が見え隠れする。国民統合の精神的支柱国家神道は地域の学校・寺社を通じて町内会などの地域組織に下ろされた。しかし檀家の寄り合いが行われている寺社の伝統までを取り上げることが出来ない地域があったのだ。古刹の梵鐘を守り抜いたところと失ったところの違いは、ダーク・ゾーンに沈んでいる。早乙女勝元氏あたりの関連サイトから広げられないかなと思っているが、今だ着手していない。
つまり事物は歴史を開く鍵なのである。そこから未知のエピソードを引き込んでくることには、インターネットはうってつけなのだ。手がかりをつかめば、そこから更に探索を進めていけばいい。それはオンライン上にとどまらず、図書館や現地取材などを行ってもいいのだ。どこから覗くかという手がかりをオンラインで検索していくのだ。その手法をつかんでもらいたい。この探索の話は折に触れ取り上げて行くつもりだ。なぜならそれは実践知なのでケース・スタディの形で入るのが近道だからなのだ。
もうひとつは技術史の話。ここは自然科学とも行き来する分野だが、梵鐘の鋳造の背後には歴史的な技術の集積がある。香川県丸亀市の田村遺跡の一角に梵鐘の鋳造工房跡が見つかっている。奈良時代の梵鐘工房遺跡なのだが、鋳型の画像が素晴らしい。これは現代の鋳造法(cf.鐘の音-京の名鐘/梵鐘の制作)と遜色ないようにすら見える。奈良国立博物館を経由するとさらにこの技術史探索は、古代史・極東アジア史・美術史へと架橋されるだろう。同サイトで時々、Q&Aに丁寧に答えているので、まずオンラインで質問し、了解を得て電話をかけてみると関連研究を行っている大学研究室の下部ディレクトリを紹介してくれるだろう。こういう実際に踏み出して調べるという技能も見につけてもらいたいと思うのだ。
この話は鐘と宗教との民俗学にもつながっている。鐘の音の波形とうねりがもたらす効果を宗教が取り入れている。その様子を世界の鐘を見ることの中から引き出せないかと思う。国内サイトの中では少数派のテーマなので、いくつかのキーワードから、断片を引き寄せられないかと試してみた。しかし欧米の鐘についている舌(clapper)ということすらわからなかった。友人に苦労をかけてしまった。これでは調べようが無いのでる。そこで梵鐘と鐘の概説的なサイトを探した。以前は「鐘楼・梵鐘について」という梵鐘百科サイトがあった。なくなったのは残である。また世界の鐘という意味で「Carillon カリヨン(世界の鐘の画像)」「韓国の梵鐘」を取り上げた。面白いことに中国の梵鐘は西欧の鐘に似て裾が開いているものがあることだ。ここを突いていけば何かが出てきそうな気配がある。
「東大寺の鐘」は冗談。また選外としたが撞木が全国一社独占されているとは知らなかった。その企業を紹介しておく。自動撞木も販売しているのだ。
●上田技研産業(株)(撞木生産シェア100%?)
http://www.namsystem.co.jp/
最後に、鐘の音の実践したわけではないが、昔、地域塾やっていた頃、藤沢遠藤の宝泉寺の鐘を子どもたちと撞きながら、「鐘が星型をしていたら音色がどうなるか」という話をしたり鳴っている鐘の中に入ってみたりして楽しんだことを思い出した。藤沢打戻には実際に撞いて試せる鐘楼もある。
以上