くじらのまち(2012年 映画)

2023-02-14 00:00:10 | 映画・演劇・Video
PIA FILM FESTIVAL2012のグランプリ作品。脚本、監督、編集のすべてが立教大学生だった鶴岡慧子氏の仕事だった。記録を見ると初めての作品のようだ。

地方都市にある高校の美術部の部室で一人絵を描き続ける朝彦は水泳部女子のまちがお気に入りだが、なかなか恋愛関係には至らない感じだ。一方、運動部のマネージャーほたるは朝彦がお気に入りで、一方的にコクってしまうが、朝彦の反応はイマイチ。

まちには朝彦関係よりもっと重大な問題があって、兄が6年前に家を出てから所在が不明。しかし兄の気配が感じられるフルーツギフトが家に届く。送付元は東京都。

ということで呑気でなにかと感情の薄い朝彦はほたるとまちと3人で東京へ。

ということで、ストーリー的には。①男1、女2の恋愛不等辺三角形関係、②失踪した兄の足跡を探すミステリーの二つが、同時進行するわけだ。

この2本立てストーリーはその後の鶴岡作品にも引き継がれているらしい。


なお、作品名にも使われる「くじら」だが、意味は計りかねるが、本作の中に三つのキーポイントがある。

最初にプールでの朝彦とまちの会話の中で、カリフォルニアに鯨を見に行こうというまちのセリフがあった。

そしてシロナガスクジラの原寸模型が登場。たぶん上野の博物館ではないだろうか。上野行きの電車で上京していたし。

三つ目は兄探しのために通船に乗るシーンがあるのだが、乗り場近くに「東京海洋大学」の看板が見えた。水産大学と商船大学が合併した大学だが、水産大学は捕鯨には深くかかわっていて、構内に鯨の骨格標本も展示している。

実はカリフォルニアまで行かなくても日本で鯨を見ることができる場所はある。迷い鯨ということではない。日本近海にもクジラはいるわけだ。

映画から離れて恐縮だが、新しい鯨の種が見つかったことはあまり知られていない。「ライスクジラ」という種で、メキシコ湾で細々と生き延びているが51頭しかいないそうだ。全長12m。51頭といえば学校のクラス並みだ。世界中で人間が一クラスしかいなかったら、という感じかな。