大型店の出店規制は、誰のため?

2006-01-13 21:47:36 | MBAの意見
282d1079.gif数々の外資系スーパーの日本上陸がうまくいかない中、2006年、超大型店舗が上陸する。”IKEA”。IKEA Styleを標榜し、世界32カ国に202店舗を展開する、家具を中心としたスウェーデンの総合インテリア企業。以前から、日本ではいくつかの家具店と代理店契約していたのだが、中国沿海部への出店とあわせ、日本へ大型店舗を持ち込む。1号店は千葉県。2号店は横浜港北地区。この2店が2006年度中で数年以内に、関東に4~6店舗、関西に4~6店舗という計画だそうだ。すでに神戸ポートアイランドにも用地を確保したそうだ。1店あたりの店舗総面積4万平米、売り場面積3万平米というのは、日本最大と言っているIDC大塚家具の有明店とほぼ同じ。それを約10店も作ろうというのだから半端ではない。まず、自宅に近い横浜港北店の建設現場に行く。第三京浜港北インターの出口から300メートルくらいの場所に巨大な建物が建設中だった。およそ3つのビルが横に繋がったような構造になっている。交通量が多いため、運転しながらではゆっくり見られなかったが、きわめて大きい建物だ。この場所は以前は、外車輸入のヤナセの整備工場や部品センターだったのだが、大きな建物を解体し、更地にしていたので、何ができるのかなと思っていた場所。ただし、周りには駅はないし、クルマでくるしか方法はない(無料送迎バスとかはできるのだろう)。2006年9月開業予定と掲示されていた。ついでに建築中のビルの鉄骨を見たら、上階より下階にいくにつれ、鉄骨は太くなっている。建築士は良心的だ。それに家具は重い。実は、自宅には、IKEA製品がいくつかある。ずいぶん前に苦労して買っていた。最高の家具というわけではなく、「中の上」といったところだ。そして、部屋の中に一つ買うと、もう一つ欲しくなり、さらにもう一つ・・ということになり、結局、トータルコーディネートされたIKEAの部屋ができあがる。そういう意味で、世界の家具を集めた大塚家具とはだいぶ戦略は違う。しかし、戦略が違うと言っても、ユーザーの室内のスペースには限りがあるから、競合関係にあるのは間違いない。では、有明出店後の大塚家具はその後、どういう戦略になったかというと、結構迷走を感じる。まず、三越の不採算店に目をつけ、三越閉店後の店舗を次々に入手し、1万平米クラスの店舗を出店する(横浜、新宿南、多摩センター・・)。実は、大塚家具横浜店にも行ったことがある。元は三越横浜。家の中の小さなコーナーに、飾り棚かワインセラーとか購入しようとしたわけだ。引越ししたあと、ダンボールに入ったままの、食器やカップやその他の雑貨品を片付けようと思ったわけだ。そして、大塚家具に入ると、まず大げさな受付があった。勝手に店内に入ってはいけないわけだ。そして、入口で会員登録しなければならない。さらに、店内を自由に歩き回れないように、見張り役のセールスマン(IDCインテリア スタイリスト)が同行することになる。ちょっと困ったことに、こちらの前提は、「サイズ」「価格」「色調」「デザイン」といったところだが、特に「サイズ」は最重要なのだ。あくまでも縦、横、高さが不一致だと意味がない。ところが、店員の受けている教育は、顧客のグレードを判断し、まず、行くべき階の行くべきコーナーを特定する、ということから始まるからうまくいかない。結局、不毛な会話を延々と続け、店員の知らない「家具製造上の手の抜き方」を逆に教授しながら、店内(確か、通しで4階分)を歩き回った末、徒労の半日が終わった。まさに三越商法だ。そして、その横浜の店舗も今はない。今度は、大型店舗を閉鎖して、小規模のショールームでカタログ販売を展開しようとしている。業界内ではこういわれている。「小塚家具」。そして、おそらく、IKEAの大進出の前に、手痛い被害を受けるだろうと思われていたのだが、突如、神風が見えた。といっても見えただけで、実現するかどうかは別物だが。1万平米以上の大型店舗の出店制限が2007年に法案化か?ということ。もともと大店法というのがあって2000年に廃止になったのだが、1,000平米以上の店には出店規制があった。中小商店の保護という自民党政策に沿ったものだったのだが、海外勢からの外圧で廃止になり、大店立地法に変わった。事実上、巨大店が自由化された。その結果、郊外に大型店ができたり、多くはつぶれたりした、というのは、ご存知のとおりだが、一方、駅前の中小店舗がやっていけなくなり、いわゆる「シャッター通り」が出現した。実は、大型店舗とシャッター通りの因果関係はまったく不鮮明なのだが、現在、大型店舗規制の話が沸きあがったわけだ。この辺の事情は、まったく不透明であり、2007年と言えば、「小泉以降」。鬼がいなくなったらすぐに邪鬼が踊り、「規制社会に逆戻り」というのでは、ガッカリの極みなのだが、いったいどうなるのだろうか。実際、一度下ろしたシャッターが開く日が来るとは思えないし、以前、1,000平米の規制時代に枠外であった日本のライトサイドとレフトサイドの資金源の一部である農協店舗と生協店舗が、再び規制の網から逃げ出すかどうかは一つの要注意点なのであろう。そして、もう一つ、渋谷道玄坂に土地を確保したヤマダ電機やこのIKEAが猛烈な駆け込み建設に走るのかどうか、これも注目点である。そして、その他の需要の裏づけのない大型店舗が続々と駆け込み出店を続ければ、再び、人為的な、郊外商戦が過熱化し、シャッターの売れ行きがどんどん加速することになるかもしれない、と推測。  


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