子は鎹(かすがい) (演:金原亭伯楽)

2024-08-06 00:00:08 | 落語
『子は鎹』は『子別れ』という大作の後半部分を独立させたもの。前半は、大工の熊五郎が妻子を顧みず、女郎屋に通い詰めたため夫婦げんかになり、妻が子どもを連れ離婚して出ていったわけだ。

それから3年、『子は鎹』になる。熊五郎は水商売の妻と暮らしていたが、まもなく別れてしまう。そうなると一人になり、子どもの亀吉のことを思い出してしまう。妻のことを思い出すことはあまりないようだ。

そして、たまたま大工仕事に行く途中、亀吉と会ってしまう。そして、妻のその後の生活を聞き取り、妻が独身であることを確認。その日は仕事で忙しかったため、亀吉に50銭の小遣いを渡すとともに、「明日、鰻を食べに行こう」と誘惑した上、元妻には内緒にしてほしいと頼む。

ところが亀吉が家に帰ると、母親は50銭を見つけ、どこで手に入れたと問い詰める。実父との約束があるため、なかなか口を割らない。すると母親は盗んだものと決めつけ、玄翁(げんのう/金槌とかトンカチのこと)を持ち出し、亀吉を叩こうとする(DV発生事案だ)。手で殴られるのではないので、思わず亀吉は口を割ってしまう。根性がない。

それで、母親は亀吉が聞きだした元夫の現状を知ることになる。いわゆるカウンタースパイだ。そして、とりあえず独身に戻っているとことを知り、自らの生活の困窮度からして、元のさやに戻ることを考え始める。

そして翌日、元妻は亀吉と元夫が鰻屋に入るのを見届け、しばらくしてから鰻屋に入って、元夫と再開するわけだ。一流の鰻屋は客注が入ってから鰻を捌き始めるので、出来上がるまで1時間ほどかかってしまう。その間に元夫と元妻は元の鞘に戻ることになる。

そして、亀吉は、子は鎹ということで、だから玄翁で叩かれそうになったわけだとこどもながらオチをつける。


かすがいを知らない人が増え、また夫の身勝手が通らない世になり、理由はともかく子どもをトンカチで殴ろうとした母とか、リライトしないといけないような気がする。



一つ明らかになっていないのだが、遅れてきた妻は鰻を食べられたのだろうか。夫から半分、こどもから半分分けてもらったのではないだろうか。