芝生の復讐(リチャード・ブローティガン著)

2024-08-09 00:00:34 | 書評
カウンターカルチャーの旗手、リチャード・ブローティガンの短編小説集。短編と言ってもかなり短い。藤本和子さんの翻訳の文庫本254ページに61篇なので、一篇あたり4ページぐらい。星新一のショートショートとほぼ同じだ。



そして、第一編で、「わたし」の祖母の話が出てきて、禁酒法時代にバーボンの密造で大金持ちになったと書かれていて、小説なのか、自伝的エッセイなのか判別できなくなってしまう。61篇のすべてが主語が「I」つまり私なので、エッセイのようでもあり小説の様でもある。小説ならリアリティがなくてもかまわない。

彼の有名な作品で「アメリカの鱒釣り」というのがあるのだが、途中で、アメリカの鱒釣りの中で2篇の原稿をなくしてしまったので、それには追加しないで、あらためて本書に書いたとあるので、いかにもリアルなのだが、最後の方では、「アメリカの鱒釣り」を書いたブローティガンには申し訳ないが、わたしも同じようなテーマで書いてみたい、と別人を装ってみたりする。



書棚を探してみると、ペーパーバックで三冊見つけた、一冊は、上記の「アメリカの鱒釣り」。もう2冊は詩集。詩集。もう一度読む気力はない。