一週間前だが、展覧会最終日に原宿の太田記念美術館に行く。
あらかじめ書いておくが、太田記念美術館の創立者とおおた個人は何の関係もない。美術館が私の物だったら所蔵品を全部サザビーに出品し、建物はディベロッパーに売り払い、館員へ退職金を払った残りの金額でシンガポールにマンションを買って移住したふりをして、地方都市のイオンの隣に住んで、犯罪小説でも書いているかな。
『国芳の団扇絵』
国芳とは歌川国芳(1797~1861)。幕末の浮世絵師。葛飾北斎(1760~1849)が有名すぎるが、北斎の次の時代を支えた巨人だ。北斎が独創とすれば、国芳は奇想。その国芳の団扇絵にこだわった展覧会で、多くの人で美術館は賑わっていた(最終日というのもあるだろうか)。
次に、団扇絵とは。団扇絵というものを今までみたことはなかった。団扇に絵が描いてあるもので、ふだん目にする団扇は、なんらかの広告が書かれているものばかりで、もらったものばかりだし、お値打ち感はゼロだ。
ところが江戸の団扇絵は違う。基本は浮世絵。そのまま団扇の骨に貼り合わされるため、長方形の4隅が丸く白抜きになっている。切ってから貼るのか貼ってから切るのかはわからないが、これらの団扇絵が残っていて、さらに美術館に多く収集されているとは驚きだ。展示品は団扇から剝がされたものではなく、団扇に貼られる前の状態で保存されていたと見える。