武家の歴史(中村吉治著)

2015-10-15 00:00:46 | 歴史
日本の歴史といえば、その八割方は武士の歴史と言ってもいいかもしれない。平清盛から西郷隆盛まで。階級闘争的にいえば明治維新は市民革命の変型ということさえできるかもしれない。

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とはいっても、サムライを職業とするには、その生活基盤としての収入と、武士が武士であるべき各種戦闘用具や馬と言った投資資金が必要なわけで、そのあたりの「武士の成立」といった観点で書かれている。

また、平安初期には、平、源、藤原といった「氏」よりも、実利として誰の味方になった方がいいかというような観点で、豪族が動いていたことや、当然ながら「平」の味方になったり「源」の味方になったりしたのだから、情勢をみながら勝組に乗りかえていたわけだ。もちろん、戦争の途中で所属するチームが負けそうになると、逃げ出して自分のエリアに身を隠して次のチャンスを待つわけだ。(現代的に言うと東京にでてきて具合が悪くなると大阪に立て籠もって地方政党になりすますとか)

で、結局は「武士道」のような右か左か、生か死かというような考え方は、実際には存在しない空想的概念で、結局、秀吉や家康による身分制度の確立とか統制型社会への移行によって、全国均一的な管理体制になり、武士は全員、役人になり、一部が浪人という完全失業者となったわけだろう。

ドラマや小説ではあまり描かれない平安中期が本来面白いのだろうが、たぶんその頃には「正義」という概念がなかっただろうから、裏切りや猜疑、陰謀や虐殺というような現代人いや近代人にとっても受け入れがたいストーリーに陥ってしまい、意外に人気はあってもスポンサーが付かないことになるのだろうか(スポンサー不要の民主的な歴史番組専門局もあるけど)


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