新潮文庫100年

2014-09-24 00:00:52 | 歴史
「新潮文庫の100冊」ではないのだ。「新潮文庫創刊100年」だそうだ。

よく、100年!といって実は99年だったりすることがあるが、正真正銘の100年。1914年(大正3年)9月に第一期百冊刊行という新聞広告を大正3年9月18日に、東京朝日新聞に載せている(黒塗りなしだ)。

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売りが、『全譯』。意味は、元の作品を長いからと言ってカットしたり、意訳(翻案方式)したりはしない、ということだそうだ。ただ、直訳を意味しているわけではなく英語、ドイツ語、フランス語などからの二重翻訳(重訳)はあったそうだ。どうも、ドストエフスキーなどをロシア語から直訳できる新鋭翻訳者が増加したことが契機のようだ。

そして、最大のライバル岩波文庫は、1927年のスタートなので、版元が現存している文庫では日本最古だそうだ。創刊が一番早いのは冨山房の袖珍名著文庫(1903年)、立川文明堂の立川文庫がこれに次ぐ。

しかし、新潮文庫第一期はすべて海外文学の翻訳100冊となっていたが、実際は3年間で43冊を発行。


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今回、その中から5冊が復刻された。復刻プロジェクトは壮大なものだったようだが、今回、5冊セット箱入りで14,000円+税ということだそうだ。

第二期は、谷崎、与謝野、芥川などの日本の名著を中心に1928年にスタート。岩波を意識したのかもしれない(19点)。第三期は1933年から。現行の新潮文庫の礎となる内外の文芸各方面で構成される。大戦により1944年に中断(495点)。

そして、現在に続いた第四期。1947年(昭和22年)7月に再開する。第一作は川端康成『雪国』。第四期は今年9月に10000点を超えた。

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この文庫版『雪国』。初版ではないが第97刷を持っている。初版は昭和22年7月16日とある。『国境の長いトンネルを抜けると・・』で始まる川端代表作を一に選んだ理由は、3年間の中断が終わったことを新潮社が高らかに表明しているのだろう、とも思える。


そして現代。創刊100年を期して、ニュースタイルの新潮文庫nexが始まる。ペプシのおまけじゃないらしい。「紐しおり」がないというだけじゃなく、骨董品的作家を仲間はずれにするらしい。

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河野裕『いなくなれ、群青』、ありえないほど純粋なラブストーリーだそうだ。神西亜紀『坂東蛍子、日常に飽き飽き』、ネット上の小説に定価をつけて収録。今回は、計6冊同時発行。思えば100年前の新潮文庫も6冊で始まった。あと100年続くのかな。

一応、がんばれ!


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