水槽(2022年 映画)

2024-08-26 00:00:29 | 市民A
主人公は(おそらく)高校女子。図書館で、彼女の心を一瞬で捉えた男子校生が、ボードレールの「悪の華」の1ページを切り取ったのを見て、彼をそっと追いかけると理科室で水槽の中の金魚を解体しようとしていた。



しかし、二人の会話はどうしてもすれ違ってしまう。

近付きたくても遠ざかる。遠ざかるようでも近付いていく。孤独感があふれていき、二人の出した結論は、そして水槽の運命は?

「水槽」という言葉は、映画では、やや不吉なイメージがあるのだが、本編では「水槽」の持つイメージ的不吉さではなく、水槽そのものが不吉なことになるわけだ。

監督の中里有希さんは21世紀生まれ。公開時は東北芸術工科大学に在学中。翌年に次作も撮っていて卒業。この大学山形市にあり、軽く調べたところ、大学で映画制作を学べる最北端の学校のようだ。もっといえば、関東より北では唯一のようだ。

おそらく優等生なのだろう。そういえば、現代は高額なフィルムを用意したり、切ったり張ったりしなくても映画が撮れる時代だ。大成されることを信じたい。