ホタルの母(演:桂竹丸 落語)

2024-08-21 00:00:09 | 落語
8月18日のNHK日本の話芸は「ホタルの母(演:桂竹丸)」。演者の出身地は鹿児島県鹿屋。今は自衛隊の町だが太平洋戦争末期には特攻隊の基地だった。また錦江湾を挟んだ知覧も同様に特攻隊基地で全国から若者が送られていた。

『ホタルの母』はその知覧基地の指定食堂の女将だった鳥濱トメを主人公とした反戦噺。ということでオチがない。無理に枠にはめれば人情噺だが、いささか趣が違うのは人情噺が扱うのは人間社会の矛盾の結果、悲しい思いをする人々の話だが、『ホタルの母』は国家指導者が始めた戦争により、終戦の機会を失い、特に敗戦の年、1945年に軍も市民も壊滅的悲劇に追い込まれた歴史的事実が題材になっていること。

むしろ、講談的なのかもしれないが、現代の講談では取り上げられないだろう。

出撃前夜の隊員が、トメのところにきて、検閲で破られないよう両親への別れの手紙を託していた。またトメが隊員の家族に出撃した日をこっそり連絡していたといわれる。

知覧のホタルは隊員の化身と言われていたそうだ。

本高座は4年前の録画だそうで、今年も師匠は8月には各所で本題を演じているようだ。

なお、師匠の桂米丸師匠は本年8月1日に99歳で他界。米丸師匠は新作落語を数多く手がけていて新作落語は一門のお家芸なのかもしれない。