日本名城伝(海音寺潮五郎著)

2021-02-16 00:00:25 | 書評
tyogo「人に歴史あり」という言葉は、どんな無名人でもその人なりの大河ドラマがあるという意味だが、「城に歴史あり」というと、これは本物の歴史そのものなのだが、実際に城が整備されたのは戦国時代の末期から江戸時代の初頭の50年ほどの間で、特に江戸初期の城については、本格的な戦いは数少なく、実際には各藩ごと歴史といったところで、それもほとんど太平の世だったわけで、むしろ、お家騒動とか女性の絡んだ事件とかそういうものが多い。

また著者の海音寺潮五郎氏は歴史家ではなく、歴史小説家なのだから、小説の題材になるような事件を中心にこの本を書かれていて、素人はこういうようなものが好きだ。

とりあげた城は、熊本城、高知城、姫路城、大阪城、岐阜城、名古屋城、富山城、小田原城、江戸城、会津若松城、仙台城、五稜郭の12城だ。奇しくも現存天守閣の数も12だが、本書に取り上げられた中で現存12城に入っているのは姫路城だけだ。

特に岐阜城の描写がすさまじい。斎藤道三にはじまり信長をはじめ十代の城主が次々と不幸に飲み込まれていく様はそら恐ろしい。江戸時代に入ると、さっそく廃城となった。

そういえば、数年前に復興天守閣に行ったことがあった。