全国民分のワクチン6月確保の混乱は

2021-02-02 00:00:06 | 市民A
ワクチン確保の時期を巡って政権内で混乱があるように見える。その原因の前に、発言を順に整理すると。
1. 1月21日:坂井官房副長官
6月までに対象となるすべての国民に必要な数量の確保を見込んでいる。
2. 1月22日:河野ワクチン大臣
政府内で情報の齟齬があり、「6月までに」(坂井発言を)を取り消す。
3. 1月22日:坂井官房副長官
(河野発言を受け)取り消さない。
4. 1月25日:菅首相
6月までに確保をめざす。

最初に、官房長官がいるのに、なぜ副長官が登場しているのかよくわからない。長官は極秘入院でもしているのかな。

発言の内容だが、最初の坂井発言は、かなり怪しい日本語のわけだ。
「対象となるすべての国民」というところがよくわからない。アレルギーとかの既往症の問題があるので「すべての国民」ではなく「対象となるすべての国民」と言ったのだろうか。しかし、対象にならない国民の数は、あらかじめわからないので結局全員分を用意するのだろうか。もっと狭義に解釈すると、「6月までに対象となるすべての国民=医療関係者+高齢者+基礎疾患持ち=約3000万人」という程度の発言に過ぎないのだろうか。

さらに、確かによく読むと最初の坂井発言は「確保を見込んでいる」と第三者的に書かれている。言い換えれば、「もくろんでいる」ということ。天気予報的発言で、責任感が感じられない。

首相による最終的な、「6月中に、『確保を目指す』」という表現は、単に努力するといっているだけ。よく考えると確定的には誰も言っていない。

別の角度で考えてみる。

ここからは、想像なのだが、河野大臣は、ワクチン大臣になった後で、ファイザー社との契約書(原文)を読んだのではないだろうか。彼の実力なら英文契約書を読むことなど「医学専門用語」以外は何の苦労もないだろう。「専門用語」は日本語にしてもらえばいいだけだろう。

さらに想像だが、契約書は英文で、管轄裁判所は米国のどこかだろう。東京地裁(高裁)ということは絶対にないだろう。となると英米系の契約と考えられる。また、売り手有利の契約と思える。

ここで、坂井発言に戻るが、「確保」とはどういうことかというと、一般的には購入した目的物を手にした時である。デリバリーポイントが、米国の冷凍倉庫になるのか空港出発時になるのか日本の空港に到着したときかはわからないが、日本側の手配した輸送車や倉庫(あるいは飛行機)にあれば、「確保」したといえる。購入する契約を結んだだけでは確保とはいわない。履行されていないからだ。

では、契約したにも関わらず、様々な理由や何の理由もなく契約不履行になった場合はどうなるかというと、それは基本的に契約書に細かく書かれる。今回の契約書で、履行の遅延とか不履行、あるいは解約について、何を取り決めたのかは知る由もないが、遅延、不履行、契約解除については何らかの金額(あるいは金額算定式)が書かれているに違いないと思う。

日本の契約だと、多くは「契約の変更については双方誠意を持って協議する」とか不毛な言葉が書かれていて、裁判所で長い時間を費やすことになる。英米系の契約書では、いわゆる基本的な契約の内容と同じぐらいの分量で、それらの不履行についての取り決めが書かれる。

だから、購入契約を結べば、多少遅れても何とかなる、と考えてはいけないわけだ。契約を破れば違約金を払う、ということもできるが、違約金を払えば解約できるということにもなる。

ビジネスで考えれば、たとえば1000万人分のワクチンを日本対して違約金1000億円を払って解約して、例えば、違約金より高い価格(例:1500億円)を乗せて他国に売れれば、そうするはずだ。結局、現物確保=手当した、ということだろう。あるいは、契約に縛られない純粋の意味での国産ワクチンが量産できればということになる。