第40期名人戦第10局終局前後

2020-08-15 00:00:46 | しょうぎ
叡王戦が実質的に第8局で、叡王の3勝2敗2持将棋1千日手。総手数1232手ということで、決着はついていないものの今までの番将棋の長手数記録1230手を超えた。仮に次局以降、対局者のどちらか、あるいは両者ともに何らかの原因で長期入院した上、スポンサーがシリーズ終了&来年度の契約を解消と宣言しても、現段階で新記録は確定した。たぶん、スポンサーがテレビ局に変わるのではないかと勝手に憶測している。(もっぱらの話題は長手数ではなく、両者とも秒読み時間切れ後に指したかどうか、ということのようだ。ゴルフ番組で打つまえにボールが動いたのを見たというようなものだろう。)

ところで、今までの記録は第40期名人戦。中原誠名人に加藤一二三十段が挑戦し、全10局行われ、持中加中加千加中千と死闘が続いた。9局目の千日手は8手一組の千日手だ。そして最終局は将棋会館で行われたのだが、その同時解説会がスポンサーの毎日新聞の本社がある竹橋のパレスサイドビルのホールで行われていて、友人と一緒に観戦していた。解説は石田和雄八段(当時)だった。この年の挑戦者決定リーグ(現在のA級リーグ)では加藤一二三十段は8勝1敗で挑戦者になった一方で、石田八段は0勝9敗と屈辱的な成績で陥落していた。

この一局、最終盤で加藤十段が即詰を見つけた時に奇声を上げたと言われるが、解説会場には何手かずつ電話で連絡が来るということで、実は奇声を上げたのは石田八段だったのだが、本局は矢倉戦で46手目から中原名人が攻撃をはじめ、加藤十段の一方的な守備が82手目まで続いたわけだ。そして一手の余裕を得た挑戦者が敵陣に飛車を打ち、矢倉囲いに横から圧力をかけたところから、なぜが解説会場への棋譜の到着が遅れ、突然まとめて棋譜が会場に届けられ、「突然、詰んだようです」と石田八段が驚きの声を出したわけだ。誰しも中原勝利と思っただろうが、大盤に並べられたのは逆の結果だった。

その時の石田八段の驚き方こそ、棋史に残したいのだが、そういうことにはならないだろう。その場にいた将棋ファンの個人的棋史に残るのだろう(半分ぐらいの方の棋史は煙になっているでしょうが)。

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掲載図は、ここから即詰めにした図で、▲3二銀成に△1二玉と逃げた後の手を秒読みの中で見つけたそうで、中原名人は既に気付いていたそうだが奇声には気が付かなかったそうだ。敗戦の弁を考えていたのかもしれない。後手が端歩を突いていれば詰まないのだが、先手が3七銀の形で、1六歩を突いたのが35手目。これに応じると先手が得意の棒銀になるので、名人は端を受けずに一手の価値を中央の総攻撃にかけ、そのため3七銀は▲4六銀と方向を変えざるを得なくなり、名人の作戦が大成功になったと思われたのだが。棒銀の威嚇に負けて端を受けなかったというべきなのだろうか。


さて、8月1日出題作の解答。

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初手の飛成の誘惑と角の成り捨てがテーマ。

動く将棋盤はこちら。(flash版・Edge非対応)

gif版。
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今週の問題。

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不動駒が多いが、使用枚数より手数の方が長い。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。