帰化人(上田正昭著)

2016-11-29 00:00:18 | 歴史
現代の帰化人の話ではない。古代の話である。半島や大陸から日本に何らかの理由で渡来し、そのまま日本に住むことになった人たちのことだが、といって日本人のルーツまで遡ることはない。大和国家が成立した後のことなのだが、正直言って、この本は難しい。

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実際には、帰化人のほとんどは朝鮮半島との関係の中で来日した人で、半島が3~4の国に別れて抗争をしていた中で、それぞれの国が中国と日本とのバランスの中で合従連衡を繰り返しているうちに、渡来されたままになったわけで、いずれの政権からの人たちがいる。さらに日本の政権も、それらの渡来人を取り込んでいたわけで、帰化人同士も政権闘争をしていた。

そのうえ、仏教伝来により、天皇家も純粋に神道だけを信じる人たちと、仏教に傾いていく人たちの抗争が起こる。長い目で見れば、この神か仏かという争いは続いているともいえる(どちらも地に堕ちたという人もいるかもしれないが)。

さらに、日本が必要として来日を乞うた人たちもいれば、半島にいる場所を失った人たちがやってきて、地方に住んでもらったという場所も多い。

というようなことが克明に書かれていて、本質的には日本の歴史と朝鮮半島の歴史を研究すべきテーマではあるのだろう。が、韓国(と北朝鮮)は、李氏朝鮮より古い時代の歴史にはあまり興味がないようで、まったく不思議な国になっているのが今の状況なのだろう。

ところで、読んだのは昭和40年代に出版された中公新書なのだが、ネットで調べると現在価格は13,000円位になっている。こういうのは、復刻されると、即1円になることが多いのだが。