新宿でハノイ・フィルを

2012-10-08 00:00:10 | 音楽(クラシック音楽他)
asia先週、東京オペラシティで開催されていたアジア オーケストラ ウィーク2012でハノイ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴いた。2002年に始まり11回目となるが、なんとなく規模が拡大しているというよりも縮小しているのではないかと思えるような感じがあるが、文化庁の予算と関係あるのだろうなあ、と想像している。今年は海外からは2組で、韓国のモッポ市立交響楽団と、ハノイフィル。

なにより文化事業ということでチケットが安いこともあり、当日券売り場で、何げなく前の方の席を選ぶと、実際には4列目のはずだったのだが、2列目の中央寄りだった。1列目と2列目は、実在しない席だった。

ということで、1メートル90センチはあろうと思われる指揮者のクリスティアン・シューマン氏から10メートル以内だし、チェロ奏者の女性群からは6メートルほどの距離。打楽器の方は、ステージ高が80センチ位あり、よく見えない。

もちろん、ホールのまん中で音のハーモニーの余韻を楽しむというのが王道なのだろうが、せっかくの場所なので、演奏家一人ひとりの演奏が直に聴こえてくるわけで、それを楽しむことにする。

演目の1番はド・ホン・クァン作曲「ベトナム狂詩曲」。作曲家の多くは、ソ連時代にモスクワで勉強したそうで、ショスタコービッチの影響があるということだが、本当のところはよくわからない。欧州のドナウ川にあたるメコン川が流れるのだから、そういう悠々としたメロディをイメージしたのだが、大きくハズレ。ヨーロッパとベトナムの音楽の融合を目指しているようだ。滝廉太郎みたいなものかしら。

続いて、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。有名過ぎる曲。ピアノはルー・ホン・クァン。実際は、こういう有名な曲を弾くのは大変だろうなと思うのだが、若さと体力で完投勝利をおさめる。22歳の彼の今後の課題はダイエットかもしれないけど。

そして休憩をはさみ、「新世界から」。何度聴いても飽きない名曲だ。しかし、アメリカと戦争をして勝った国が「新世界」とは・・。もうベトナム戦争は風化しているのだろうか。目前の敵は、その時の盟友だった中国ということなのだろう。

ちょっと硬い感じがして、シューマン氏が指揮棒を振りまわしている。実は、指揮者に近い席だったので感じたのだが、ステージ全体の音がハーモニーとして聴こえるのではなく、楽器ごとのエリアから音の束のように聴こえてくるわけ。

さらに、耳を澄ませば、席の横の方とか後ろの方とか、リアルな音とは違い時差ずれで音の束がまとめて流れてくることもある。

演奏者にも同じように聴こえているのだろうから、ステージ上では、戦場で銃声や爆撃音や悲鳴に囲まれながら機関銃を打ちまくる二等兵みたいな状態になっているのだろうと想像。

そして、ついに終了。二等兵たちに拍手。

アンコール曲はハンガリー舞曲(ブラームス)。やたらと巧い。


本当は書いてはいけないのかもしれないが、ベトナムの人って、顔相が様々だ。日本人も様々だが、もっと種類が多い。どちらかというと怖い顔だ。中国的、マレー的だけじゃなく、フランス人的な人もいるし、男女を問わず、多くは恐い系の仕事師風。もっとも、「日本はマニアックな音楽マニアだらけ」と誤った予備知識を仕込まれていて、緊張の限界だったのかもしれない。

ところで、指揮者のシューマン氏だが、有名な作曲家のシューマンの末裔ではないかと調べてみたのだが、はっきりしない。シューマンは愛妻クララとの間に8人のこどもを持ったのにもかかわらず、どこかでもらった梅毒で死んだのだが、子どもたちはそれぞれに音楽の才を発揮したことになっているが、それ以上の調査は困難だった。