運命の日、3月11日近づく

2011-03-09 00:00:57 | 市民A
運命の日といっても、同日、都知事が出処進退を都議会で表明する話じゃない。

サウジアラビアで大規模集会が起こるか、起こらないか。そういう問題である。

現在のところ、政府は徹底的に抑え込もうとしているようだが、圧力をかければかけるだけ、爆発したときのエネルギーは大きくなるのが常だ。

もちろん、サウジアラビアが崩壊し、ただのアラビア共和国になるなら、それは一つの選択なのだろうが、現在と未来の間のプロセスが大問題なわけだ。

多くの少数勢力による独裁国家が、国家を維持するための方策は、「ばらまき」と「恐怖」である。既に崩壊した国もそうである。北朝鮮では「ばらまき」ができなくなった分、「恐怖」だけに頼るようになっているのだが、それは無理だろうということで、すでにガスが充満していて、着火源を待つだけになっている。

中国は、「ばらまき」できる財源を持っているので、まだ粘れるような気がする。

サウジアラビアは、「ばらまき」も「恐怖」も格別なので、その分、もちそうなのだが、一方、王家側の問題は、後継者問題。サウジ家の伝統的なルールでは、初代王の後継として王の子供たちの兄弟が順に王位を継承したものの、ついに孫の時代となる。子沢山のシステムなので、孫の代(第三世代)にはかなり多くの皇子がいる。そういった複雑な王室が、今後機能するのかという問題を抱えている。

ところで、ディジタル版フォーサイト誌で、池内恵氏は、独裁国家の自滅・自壊シナリオについて、以下の段階的プロセスを提示している。

①大規模デモが出現する

②政権が従来通りの手法で弾圧を行ない、死者が出る。しかしデモは収まらない

③政権が国内・国際的な正統性を喪失し、デモがさらに大規模化する

④政権が小刻みな譲歩案を示すものの実質的ではなく、かえってデモは拡大・先鋭化する

⑤政権首脳が「大弾圧」あるいは「大混乱」をもって脅す演説を行なうか、あるいは「米国」「イスラエル」「アルジャジーラ」など「外部勢力の陰謀」に責任を帰す演説を行ない、当事者能力の欠如を露呈させる

⑥政権崩壊


つまり、デモという火が第二段階に至ったら、止まらないわけだ。


では、リビア。

政府軍と反政府軍が全土で交戦中ということになっている。数千人が既に亡くなっている。昔の日本軍と同様、言うこと聞かない兵士は、どんどん射殺しているようなので、死者はもっと多いかもしれない。

一方、アメリカは、今のところ、口先介入をしているだけだ。

よく考えれば、「他国の民主化」を喜ぶような考え方は、まさに稀な部類に属するのだろう。たとえば、中国が民主化して、日本や米国のような国になって大発展したら、日本にとって幸せなのだろうか。手に負えなくなるだけだろう。サウジだって、米国に頼らない民主的な共和国になったら、それだって米国の手に負えなくなる。

米国にとっては、嫌米的な独裁国が倒れても喜ぶだけだが、親米的な独裁国が混乱することを期待したいわけでもないだろう。

と思えば、リビアで民衆の犠牲者が増えていても、今のところ口先介入にとどまっているのは、「民主化には、大きな犠牲が伴う」という「恐怖」をサウジ国民に、見せているということではないだろうか。

つまり、3月11日のサウジの結果によって、その後のリビア対策が変わっていくのではないだろうか。


余談だが、主にスイスの銀行にあるらしいカダフィ大佐の資産2兆円が凍結された、と言われる。想像するに、個人資産を積み上げるためには、国民の払う税金を集める方法もあるが、それはバレた時に失脚につながるわけだ。おそらくは、石油や天然ガスの輸出にあたって、何らかの薄いマージンを手数料としてスイスの個人口座に払い込ませ続けていたのだろう。ということは、彼に支払っていた会社が、そのうち明らかになるはずだ。