学者を殺した男の運命は?

2009-02-25 00:00:31 | 書評
anie中央大学教授殺人事件は未解決である。教授が、アナログ回路の研究を行っていたということから、当初は、第一目撃者の「留学生」が犯人、かつ産業スパイではないかと思っていたが、命の値段の安く産業スパイの大勢いる近隣諸国からの留学生ではないかと思っていたら、「スイス国籍」とのこと。白っぽい。

都会の中心での犯行が捕まらないということになれば、問題だ。五輪誘致にもマイナスだ。早期解決を願いたい。

そして、昨年末には厚生労働省元次官を狙った連続襲撃事件があった。身の回りに捜査が近づいてきたと感じた犯人が、警視庁に乗り込んでくるという例のない結末であったのだが、犯行計画が、自宅から近い順に実行するようになっていたため、捜査網が絞られていったのだろうが、自宅から遠い順に犯行が行われていたら、はたして逮捕できたのだろうか。

その時の犯行は、宅配便業者になりすまし、段ボールを持って被害者の玄関があくのを待つという方法であり、その当時は、パトリシア・コーンウェルの小説『証拠死体』と似ていると思ったのだが、もっと似ているミステリがあった。

アニーの冷たい朝(黒川博行)

特に、読む必要もないと思うが、簡単に書くと、「連続殺人」である。そして、動機がなかなかわからない。

小道具として。宅配便が登場するが、段ボールを持っていると、自然にドアを開けてくれるようだ。荷物が小さいとドアはなかなか開かないそうだ。

小説の方には、もう一つの筋が存在するのだが次官殺傷とは無関係だろう。


ところで、次官殺傷事件の犯人は、理不尽な勘違いで殺人を犯したのだが、江戸末期にも同様の事例があるようだ。

文久2年(1863年)12月21日、国学者の塙次郎が暗殺された。盲目の大学者、塙保己一の息子である。

塙次郎は、老中安藤信正の依頼で、外国人のもてなし方を研究していたのだが、孝明天皇退位の研究をしていたと思いこまれてしまった。長州藩の志士が勘違いで天誅してしまった。犯人は、伊藤俊輔。のちに、日本最初の総理大臣となる。

つまり、日本は、テロリストが総理大臣になる結構な国であるわけだ。

のちに伊藤は、ハルビン駅で暗殺される。その事件も、若干の勘違いから起きたもののような気がする。