不況にミソでカツ

2009-02-10 00:00:53 | あじ
不況の時こそ、新しいチャンスが生まれるのだが、今、「味噌」がブームになっている。味噌といっても、名古屋特産の八丁味噌である。普通の味噌と異なるのは、原料が、大豆と食塩と水だけであること。蒸した大豆を味噌玉にし、それを豆麹にして水と食塩で仕込み、そして二夏二冬以上天然醸造させる。永く仕込み置くため、色も濃く固くなる。普通の味噌は、白味噌で1~3ヶ月、赤味噌で3~6ヶ月程度の醸造期間と言われるのに対し、遥かに長期間である。

これは、原料の仕入れから製品の販売までの期間、つまり資金滞留期間が長いことを意味し、自己資本比率とか手元現金とかが厚くなければとても作れないわけである。「名古屋経済学」については詳しくないのだが、ある意味このあたりが、「名古屋のミソ味」が全国化しなかった理由のひとつだろうか。

ところが、名古屋企業が外に出てこないのを逆手にとって、東京方面で妙な味噌カツが繁殖を始めた。

味噌カツというのは、おおざっぱに言うと、トンカツに普通のトンカツソースではなく、味噌カツソースをかけたもので、名古屋でトンカツを頼むと、ソースが二種類あったり、味噌カツソースの場合、50円とか100円とか余計に取られる場合がある。ただし、関東人が一緒だと、名古屋人は味噌カツを頼むことはないようだ。

ところが、関東の新製品は、トンカツ+味噌ソースだけでなく、さらに飯が一緒になって丼仕立てになった。せっかちな江戸っ子は、おかずと飯と別に食べる時間がもったいないと、丼文化を作ったのだが、これに味噌が加わった。

まず、東京中心にチェーンを展開する「小諸そば」。

ミニ味噌ヒレカツ丼セット。飯の上にキャベツの千切り。そしてヒレカツをのせて味噌ソースをかける。つまり、最近ブームになっているソースカツどんのソースをトンカツソースから味噌ソースに換えたメニューである。

味は予想の範囲内である。かなり「近い」味と思うが、ヒレカツにかけられたソースの量が少ないような気がする。本物の八丁味噌なのだろうか。仕込から完成まで2年もかかるので、そんなことはないだろうとは思うが、ある程度、熟成期間をかけているように思った。セットに蕎麦がついている。


次に、全国展開で急成長中のとんかつチェーン「かつや」。

こちらは、冬季限定で、「味噌カツ丼」。普通の溶き卵ベースのカツ丼。

これが、驚きのメニューだった。

溶き卵に味噌が含まれている。というか、辛口の味噌の味そのもの。しかもツユダクでご飯にかかっているため、丼の中は、ぐじゃぐじゃである。ご飯に味噌汁をかけて、猫に食わせる「ネコマンマ」状である。見苦しいが旨い。

クセになりそうな味である。おそらく、10回位たべて、突然嫌いになるのだろうか。とりあえず、もう一回は食べるだろう。


ところで、名古屋と言えば、都内で妙なポスターを見かけた。



名古屋開府400年祭」

意味不明である。

どうも、名古屋城が完成して2010年が400年目らしい。普通は、築城400年記念というようだが、清洲城を移転し、清洲の住民ごと、この地に連れてきたそうだ。

早々とホームページができていて、これが面白い。名古屋以外の人が見ることを予感していないような油断した作りである。その中の「みんなで作る、なごや自慢400」という自己満足的な投票コーナーがあって、その中に「全国のなごや」というコーナーがある。ある程度まとまったら、ランキングが公開されるようだ。

今後、ちょっと楽しみなホームページである。