天使のカンパネラ・ダイアナ湯川デヴュー!

2007-09-30 00:00:51 | 音楽(クラシック音楽他)
ヴァイオリニストのことを音楽以外の観点で見るのは、避けなければならないのだが、CDジャケットに色々書いてあるので自然にわかってしまうこともある。「天使のカンパネラ・ダイアナ湯川デヴュー!」がそうだった。



湯川ダイアナさん、1985年9月16日生まれ。22歳。新進気鋭というところだ。ラ・カンパネラをクライスラー編曲で仕立てた一曲。さらにツィゴイネルワイゼンや、大江光の夢。全18曲の中にはスキヤキ・ソングがあり、さらにエレジーというある航空機事故に捧げた一曲が含まれる。

結局、彼女の生まれた時の事情から書くべきなのだろうが、父親は大手都市銀行に勤めていて、傍らピアノを弾いていたそうだ。そして母親は英国人だった。そして彼女が生まれる1ヶ月前の1985年8月12日、彼女の父親は520人の犠牲者を出した日航機事故に遭遇。


それから20年、英国生活の彼女は2005年8月に御巣鷹山でヴァイオリンを弾くために来日。微妙な問題で報道されなかったもののちょっとした騒動を起こしている。20周忌式典を脚本どおりに進めようとする人たちとの軋轢だろう。まあ、結果的には彼女の考えていた通りにことは進んだようだ。

で、その件は深く考えるのはやめたい。


全18曲を聴いた第一感からだが、「軽快」「正確」「快走」といったところ。面白いもので、今まで聞いたことがない透明感のあるツィゴイネルワイゼンである。そして、ラ・カンパネラ。すっかり、フジコ・ヘミングの十八番になっているのだが、元々はパガニーニがヴァイオリン用に作曲したものをリストが換骨奪胎してピアノ用に書き換えてしまった。もともと「カンパネラ」は「鐘」を意味するのだからピアノの音の方が向いているということもある。

リストがどれくらいヴァイオリンが巧かったかはわからないが、おそらく、別人がヴァイオリンを弾いているのを聴いてからピアノに書き換えたのではないだろうか。彼女の「ラ・カンパネラ」もリスト風の絢爛豪華ではなく、もともとのパガニーニの時代のかもし出す、荘厳でかつ清清しい小曲である。ちょっと感情をゆさぶるところがある。このCDのあと、サン・サーンスのコンチェルトもCD化している。これから得意分野をどちらに求めるのか。少し気がかりである。


しかし、ピアノ曲「ラ・カンパネラ」を壮絶な一生涯、弾き続けるフジコ・ヘミング。そしてヴァイオリン曲「ラ・カンパネラ」からデビューした湯川ダイアナ。どうしても二人の女性の中に流れる日欧の血のことを並べて考えてしまうのである。