慙愧(ザンキ)にたえない充実の日?

2007-09-15 00:00:31 | しょうぎ
yahoo!のポータルサイトに将棋の話が登場するのは、たいてい将棋の話ではない場合だ。今度は、「引退勧告」。流行の言葉だ。某首相、某横綱、某監督兼捕手、某若手長身サッカー選手などが追い詰められている。今度は将棋指しだが、またも登場したのは武者野六段。

日本将棋連盟(社団法人)は次の発表を行った


武者野勝巳六段 不戦敗の処分について

平成19年8月6日、棋士の第一公務である対局義務を怠った理由により、100万円の罰金と不戦敗した棋戦の次回出場停止の処分を受けておりました武者野勝巳六段(53歳)が、9月11日(火)、王座戦(対 沼春雄六段戦)に不戦敗いたしました。

今回の不戦敗を受け、弊連盟理事会は、武者野六段へ引退勧告を本日付で通達いたしました。このような事態を招いたことは、弊社団として慙愧にたえないところであり、今後このような問題が生ずることの無いよう、棋士全員が一丸となって弊社団の社会的責任を自覚し、伝統ある将棋文化の発展に寄与していく所存です。

平成19年9月12日 日本将棋連盟 理事会


また、毎日新聞記事より。


将棋連盟:武者野六段に引退勧告 対局不参加繰り返す
 日本将棋連盟(米長邦雄会長)の理事会は12日、公式戦の場に現れず不戦敗を繰り返し罰金などの処分を受けていた武者野勝巳六段(53)が11日にも不戦敗したことから、同六段に対し引退勧告を通達した。同連盟による棋士への引退勧告は初めて。本人が受け入れれば引退棋士となる。勧告に強制力はないが、極めて厳しい処置だ。

 同六段は過去20年で6回も不戦敗をし「棋士の第一公務である対局義務を怠った」として、8月9日に罰金100万円と当該棋戦の次回出場停止処分を受けた。しかし、11日に予定されていた王座戦1次予選の対局に姿を見せなかった。

 同連盟は「今回の事態を招いたことはざんきに堪えない。今後このような問題が生じることのないよう、棋士全員が社会的責任を自覚し、伝統ある将棋文化の発展に寄与していく」としている。

 ▽武者野六段は「対局不参は申し訳なく思うが、11日の対局設定については連盟事務局と認識の違いがある」と、過失ではないと主張している。
 毎日新聞 2007年9月12日 20時42分


どうも、本人は、対局通知の通知が郵送されていない、ということを言っているようだが、それはなかなか理解しがたい話でもある。

まず、本人が、対局場に所定の時間にあらわれなかったのは確かだろう。しかるべき、遅刻許容時間が経過すると、不戦敗になる。本人が、対局通知を受け取ってないというのだから、何ら連絡はなかったのだろう。そして、もちろん、1ヶ月前に重大な処分を通告されたばかりなのだから、関係者が頭を抱えたのは言うまでもないだろう。

そこで、武者野六段の言う「対局通知が届いていない」ということが、あるのかどうか。考えられるのは、「郵便事故」または「罠に嵌められた」という可能性。

しかし、多くの将棋ファンは日本将棋連盟のホームページに、「最近一週間の結果」と「今後一週間の予定」のページがあるのは知っているはず。棋士の最大の関心は、自分の参加している棋戦のトーナメントの次の相手。また、タイトル戦の結果や、自分が既に敗退していたとしても他の棋士の星勘定のはず。武者野六段は米長連盟会長とソフト盗作裁判を争ったくらいの棋士なのだから、パソコンを見ないということはないだろう。少なくても1週間に1回でも、この対局予定のページを見れば、自分の名前を見つけることはできたはずだ。

また、そのページに記載されているということは、敵対関係の会長派が意識的に対局通知を郵送しないで、罠に嵌めようとしても、本人が罠に気付いてしまう確率が極めて高いのだから無効だ。

つまり、本人が「郵便が届いていない」と言うことは可能で、主張を否定することはできなくても、それを信じる者はいないだろう、ということ。

それでは、なぜ、対局ボイコットしたか?

将棋よりも重要な用件が発生し、やむなく不戦敗したのだろうか。あるいは、総理と同様に気力喪失ということだったのだろうか。是非、本人から説明を聞いてみたいと思える。

このまま、引退勧告を無視すると(たぶん、そうなる)、棋士総会で除名になるのか、あるいは、将棋連盟が対局を割り当てないという行為に出るのだろうと思うが、まあ、後は、正々堂々と裁判で争ってもらいたい、と思うのである。


ところで、日本将棋連盟の発表した声明だが、その中に、「弊社団として慙愧にたえないところであり」という記載がある。この慙愧(ザンキ)にたえないというコトバだが、「慙愧=自分の見苦しさや過ちを反省して、心に深く恥じること」という意味なのである。したがって、慙愧にたえないというのは、将棋連盟自体が反省する、ということなのだが、特に会長以下の責の話はまったくない。

しかも、将棋連盟の米長会長がネット上で公開している「さわやか日記」の9月12日のところには、次のような記載がある。


充実した一日 投稿者:米長邦雄 投稿日:2007年 9月12日(水)17時25分59秒

 火曜日は私の個人事務所へ週刊誌の取材者3名来訪。私の6ページ特集が出るのです。決定しましたら詳報をお出しします。約2時間でした。
 7回目の不戦敗をした者が出た。忙しい時に困るんだよなぁ。総務と渉外に指示を出す。
午後4時半に日本自転車振興会へ。来週の評議員会の打ち合わせです。
 午後6時半からは新喜楽で旧知の友人2人と部長氏を加えた4人で会食。うまい、うまい。酒が料理に合うので次から次へと注文。楽しい酒でした。


慙愧にたえないが充実の日だったそうである。引退勧告を発した後の酒は、さぞかし旨い酒になっただろう。歴史を遡れば、織田信長が浅井・朝倉連合軍を打ち破ったあと、敵の大将3人から切り取った頭蓋骨の頭頂部分に金箔を貼って、勝利の酒盛りをしたことを思い出してしまう。時に朝倉義景41歳、浅井久政47歳、浅井長政29歳。そして武者野六段53歳である。


まあ、この辺で、仲直りのしるしに、一緒にモンゴルに行って温泉に浸かってきたらどうなのだろうか(あちらにはモンゴル将棋というのがあって、2手連続で動く皇太子も詰めなければ勝てないらしい)。


73dc684f.jpgさて、9月1日出題問題は、余りにも易しかったかもしれない。

正解は、

▲2八銀上 △2九玉 ▲3八銀 △同玉 ▲4七龍 △2九玉 ▲3八龍 △同玉 ▲5六角までの9手詰。要するに押し売り問題。名古屋の朝日新聞拡張団員真っ青である。銀を三ヶ月契約で売りつけたあと、龍を6ヶ月契約で売りつける。入り口のドアから外に引きずり出された後、つかまってしまう。

狙いを単純化して易しく作ってみた。




73dc684f.jpg今週(9月15日)の問題は、妙なところに双玉がいる。盤面、相互に質ゴマだらけで、駒を取るのか取らないのかもはっきりしない。実際は盤面駒数は2減1増である。不動駒が多いのがキズかな。9一の玉が金ではいけないのか、と言われると弱いが、一応、金だと余詰がある。

わかったと思われた方は、コメント欄に、最終手と手数と酷評をいただけば正誤判断。






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